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- 60代ヨガトレーナー実践!理想の体を手に入れる方法
「いくつになっても動ける体づくり」をテーマにヨガ指導を行う峯岸道子さん(67歳、取材当時)。加齢による体の変化や、54歳で心臓にペースメーカーを入れた経験を経てたどりついた、心身を健やかに保つ知恵とは。ぽっこりお腹も気にならなくなりますよ。
峯岸道子(みねぎし・みちこさん)さんのプロフィール
ヨガの指導とメソッドの開発者、Body&MindYoga スタジオを主宰。日本のフィットネスシーンの草分けとして約25年の活動後、2000年にヨガに移行、第2次ヨガブームをけん引し、国内外に多くの指導者を育成。トータルで40年の身体動作の指導開発に関わり、現在は、機能解剖学に基づく「人の身体に無理ない指導」で高く評価されている。
以前の自分と比べ「こんなはずじゃなかった」……
※インタビューは2022年4月に行いました。
私のスタジオにも「お腹をどうにかしたい!」と駆け込んでくる50代・60代の生徒さんがたくさんいます。ぽっこりお腹の原因の一つは、ゆがんだ姿勢や座り方など、長年の体のクセによって骨盤が後傾したり、腹直筋や腹横筋が弱くなってしまうことですから。
しかも、私たちの世代はお腹だけでなく、腰や肩、膝の痛みが出るなど、加齢により体のあちこちが弱まり、悩みも増える一方。さらに厄介なのは、体の不調に伴い心も弱まってしまうことです。
以前は簡単にできたことができなくなり、「こんなはずじゃなかった」と、自分にダメ出しすることが重なり、自信を喪失。負のループに陥る……。私自身がそうだったんです。
20代から運動指導を仕事にしてきて、「体」には自信がありました。でも公私ともに過酷な仕事量をこなし、過度な負担を体にかけてきたせいで、54歳で心臓にペースメーカーを入れることに。そのために大胸筋に負担をかける動きに制限がかかり、その後も関節の痛みや体力の激減……。
体の不調が一気に押し寄せてきました。思うように体を動かすことができず自分にダメ出しばかり。自信は崩れ去り、「こんなはずじゃなかった」と自分を肯定することができない。50代はまさに負のスパイラルの日々でした。
無理せず、今の自分の体を受け入れればいい
普段は平静を装いこれまで通り仕事をこなしていましたが、情けない姿を隠して人前に立っていることがつらかったです。弱くなった“今の自分”を受け入れられなかったのです。
67歳(取材当時)になった今も加齢や体の使い過ぎによる不調から完全に抜けてはいません。でも今の私は、弱くなった自分を知り、「できないことはできない」と、一つずつ折り合いをつけられるようになりました。
骨がもろくなるとか内臓機能が衰えるとかは“手に負えない老化”です。しかも女性は出産や更年期など体の変革期が何回も訪れます。閉経を迎えた私が子どもを産む前の私と比べて、あれができない、ここが弱った、となげくのは意味がないと悟ったのです。
あらがえない老いに直面し、弱い自分をようやく受け入れることができた私が、これからプロとして提案できること。それは“今の自分”を受け入れて、諦めず、体を動かすこと。それによって自分の体のポテンシャルを高めることでした。
そしてあらためて気付いたのは、体は義務や嫌々ながら動かすものではなく、「気持ちよく動かすもの」だということ。やっぱり、体と心はつながっているのです。
心も体も気持ちよく動かせたら「自分を高く評価」する
私が学んだトレーニング理論でも、「体は意識の持ち方によって効果が変わる」と言っています。嫌々ながらやる運動はいい効果を生みません。逆に、心が「気持ちいい」と感じる動きは体にポジティブな影響を与えます。
そして何より、「体を動かす気持ちよさ」を知ることは、自分の体と折り合いをつけることでもあります。
自分の体の声を聞いて、どこをどう動かせば心地いいのか。そもそも、私たちの体が持っている“伸びしろ”(今後どれだけ動けるか)は一人一人違います。だから運動は他人と比べるのではなく、「何回クリアできた」と回数をゴールにするのでもなく、「気持ちいい」と感じることのできた自分を高く評価してあげたい。
67年間生きてきてわかったことは、年を重ねることの魅力は経験と知恵がつくこと。だから、できないことが増えて自信を喪失して、負のスパイラルに陥りそうなときこそ、自分の体の声に耳を澄ませる。
そうして体が喜ぶ動きをして心身を健やかに保っていきたいと思います。
峯岸さんの「心と体をリセットする」メソッド
肩を左右にゆらして上半身のこわばりをほぐす
床に座り手を後ろにつき、全身の力を抜いてだらりと座る。
体重を左手、右手にゆっくりと移動させることで、首と肩、背中のこり固まった筋肉がゆるみます。ポイントは胸を張らないこと。
寝そべってできる!体幹リセット
あおむけになり両足、両ひざを90度に曲げます。
片方の足をゆっくり下ろし、足の指で床をつかむように床にタッチ。このとき息は思いっきり吐きましょう。床をタッチしたら足を元の位置に戻し、同じ動きを左右交互に行います。
息を吐く際にお腹に力を入れて背骨を反らさせないよう意識し、骨盤は動かさずに足だけを動かすことで、より効果的にお腹の深層にある筋肉を刺激、体幹の安定と強化につながります。
体と向き合ってきた峯岸さんのこれまで
28歳
フィットネスインストラクターとして、日本のフィットネスエクササイズ創成期の普及に奔走
48歳
過労とともに心身の疲弊を感じ、ヨガを学ぶ
50歳
独自のヨガのスタイルと考え方を追求してスタジオをオープン
54歳
心臓機能が弱まり不整脈に。心臓にペースメーカーを装着
~67歳
自分の体のネガティブな部分と折り合うために、今、できることを見いだして快適な日々を送るためのヨガ的なメソッドを開発(Michiko Style Yoga)。国内外の指導者たちに伝えている
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
取材・文=児玉志穂(ハルメク編集部) 撮影=中西裕人 ヘアメイク=小島けさき
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年6月号を再編集し、掲載しています。
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