ストレスをためない暮らし方…影森式セルフケア #2

不眠や疲れやすさ――“心のコップ”をあふれさせないリセット習慣とは?

不眠や疲れやすさ――“心のコップ”をあふれさせないリセット習慣とは?

更新日:2025年12月04日

公開日:2025年11月27日

「気付けばいつも緊張している」「疲れても休めない」——そんなときは、心のコップにストレスが少しずつたまっているサイン。50代女性のための“あふれる前に流す”セルフケア習慣を、鍼灸師で心理カウンセラーの影森佳代子さんに教わります。

教えてくれたのは影森佳代子(かげもり・かよこ)さん

鍼灸師・心理カウンセラー。鎌倉ひまわり鍼灸院院長。ボストン大学教養学部心理学科卒業。同志社大学大学院修士課程修了。早稲田医療専門学校鍼灸学科卒業。心理カウンセラーを経て鍼灸師として独立、開業。心理学と東洋医学を統合した独自のメソッドで、パニック障害などに苦しむ多くの人の治療実績を上げている。

最新著に『影森式パニック障害改善メソッド セルフワークBOOK 誘導ボイスつき』(河出書房新社)がある。

ストレスは“心のコップ”にたまる——あふれる前に「流す習慣」を

ストレスは“心のコップ”にたまる——あふれる前に「流す習慣」を
Table-K / PIXTA

パニック障害の発症を防ぐために大切なのは、交感神経の緊張状態を長く続けないことです。

私たちの心と体は、コップに水が少しずつたまっていくようにストレスを抱えています。

仕事、家事、家族のこと、親の介護、将来への不安——。日々の小さなストレスが1滴ずつ増え、気付けば“コップいっぱい”の状態に。このコップがあふれた瞬間に、息苦しさや動悸、涙もろさ、焦りといった心身の不調が現れやすくなります。

つまり、パニック障害や不安症の「予備軍」として気を付けたいのは、ストレスをため込み過ぎること。一気にあふれてしまう前に、こまめに流していく——それが、自分を守る大切な習慣です。

完璧にこなそうとせず、「6割で十分」と思うことが第一歩。“あふれる前に流す”意識を持つだけで、心と体はぐっと軽くなります。

更年期とストレスが重なると、なぜ不安が増すの?

50代になると、女性ホルモン・エストロゲンの減少が自律神経に影響を与えます。自律神経は呼吸や血流、体温調整を司るため、そのバランスが崩れると心と体の両方に不調が現れます。

「最近、息が浅い」「胸のあたりがざわざわする」といった違和感も、実は自律神経の乱れが関係していることがあります。

精神的なストレスとホルモンの変動が重なるこの時期は、誰でも心が揺れやすい時期。真面目で責任感が強い人ほど、「まだがんばれる」「これくらいで休んではいけない」と無理をしてしまいがちです。

けれど、体が出す小さなSOSを見逃さないことが、心の安定を保つ第一歩になります。

毎日を軽くする“小さなリセット習慣”チェックリスト

毎日を軽くする“小さなリセット習慣”チェックリスト
Ushico / PIXTA

ストレスをゼロにすることはできません。大切なのは、「たまったストレスをその日のうちに流すこと」です。

ここでは、忙しい日常でも取り入れやすい“小さなリセット習慣”を紹介します。どれか一つでも「やってみよう」と思えるものから始めてみてください。

負担を減らす
・夕食は宅配・冷凍食でもいい日をつくる
・家事の一部を家族と分担する
・「今日は休む」と決めて、ソファでゆっくり過ごす

6割でOKの心掛け
・洗濯や掃除は「できる範囲で十分」と割り切る
・「ここまでできたら上出来」と自分に声をかける

リラックスタイムを確保
・朝5分、静かに深呼吸をする
・寝る前に肩を回す、首をゆるめるストレッチ
・好きな音楽や香りを楽しむ時間をとる

体を軽く動かす
・10分だけ散歩する
・ラジオ体操や庭仕事など、無理なく体を動かす

心の負担をため込まない
・「全部自分でやらなきゃ」を手放す
・不安や悩みはノートに書き出す
・信頼できる人に話す

疲れを感じたら、“目を閉じる・目を温める”

心が緊張しているとき、実は目の疲れが強く関係しています。目から入る情報は脳を刺激し、交感神経を高ぶらせるからです。

一日の終わりに数秒でも目を閉じるだけで、脳の興奮が静まりやすくなります。さらに、ホットタオルなどで目を温めると、目のまわりの筋肉がゆるみ、体全体のこわばりも解消されます。

「なんだか落ち着かない」「呼吸が浅い」と感じたら、まずはそっと目を閉じてみてください。それだけでも、“心を切り替えるスイッチ”が入りやすくなります。

「がんばらなくてもいい」を合言葉に

maruco / PIXTA

“コップの水”を流す習慣は、「がんばりをやめる」ことではありません。むしろ、自分を守るための整える時間です。

完璧主義や責任感の強い方ほど、「もっとがんばらなきゃ」「人に頼っちゃいけない」と思い込みやすい。でも、心と体が疲れているときは、がんばるより緩める勇気が大切です。

家庭でも職場でも頼られる立場の50代女性こそ、「自分をいたわる時間」を持つことが必要です。あなたが笑顔でいることが、家族や周囲を安心させる力になります。

「今日も6割でよくやった」と自分をねぎらう——。たったそれだけでも、心と体の余裕は大きく変わります。

次回(第3回)では、呼吸で体と心を同時に整える「おもち呼吸法」を詳しく紹介します。“吐く息を長くする”だけで、副交感神経が働き、体も心もリラックスしやすくなる——。そんなシンプルでやさしい呼吸法を、ステップで学んでいきましょう。

イラスト/林ユミ

※この記事は、書籍「影森式パニック障害改善メソッド セルフワークBOOK 誘導ボイスつき」を再編集しています。


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HALMEK up編集部
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