「心のネガティブさん」と上手に付き合う方法#1
自己嫌悪や不安でモヤモヤ…「ネガティブさん」に振り回される人の特徴4つ
自己嫌悪や不安でモヤモヤ…「ネガティブさん」に振り回される人の特徴4つ
更新日：2025年11月14日
公開日：2025年11月11日
目次
教えてくれたのは：精神科医Tomy（トミー）さん
名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局に入局。Xのフォロワー数は39万人（2025年11月現在））で、テレビ・ラジオなど各メディアに多数出演。著書に36万部を超えるベストセラー『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』の「1秒シリーズ」)ほか多数。ハルメクTV「モヤモヤのち晴れ」にもゲスト出演中！
※本記事は『精神科医Tomyが教える心の中のネガティブさんと上手につきあう方法』（アチーブメント出版刊）より一部抜粋して構成しています。
モヤモヤ・不安の正体は？「ネガティブさん」が原因かも
アナタの心の中に「ネガティブさん」は住んでいませんか？ ふっとしたときに、どこからともなく現れるネガティブな気持ち……。
「自分なんてどうせ……」
「きっと嫌われているんじゃないのかな？」
「あんなことしなきゃよかった」
「なんだか落ち込んで、何もやる気がしないな」
考えなくてもいいとわかっているのに、なぜか出てきて、そして簡単には消えてくれない。やっと考えなくなったと思ったら、また別の「ネガティブさん」が訪れる。
この「ネガティブさん」はどうして現れるのでしょうか？ そして、一体どうしたら退散してくれるのでしょうか？
自己嫌悪・不安を生む「感情」と「思考」の悪循環
心のネガティブさんには、二つの要素が深く関わっています。
まず一つは「感情」。簡単にいえば‟喜怒哀楽”のことです。このうちネガティブなものは「怒（怒り）」と「哀（悲しみ）」です。
ちょっとしたことでイラッとしたり、「許せない」と熱くなったり。あるいは、どうしようもなく悲しくなったり、時には泣きたくなったり……。一度発生したネガティブな感情は頭の中を支配し、アナタをつらい状況に追い込んでしまいます。
もう一つは考え（思考）です。自己嫌悪や後悔、不安などに加え、
「自分はダメな人間だ」
「なぜあんなことをしてしまったのだろう」
「うまくいかなかったらどうしよう……」
とクヨクヨしたり、ネガティブに考えたりすることも、アナタを苦しめます。しかもコレ、いったん考えだすとなかなか止まらないんです。
「そういえば、あのときも失敗した」
「あの人にあんなことも言われていた」
「こんなことが起きる可能性もある」
などなど……。負の感情や思考がどんどん膨らみ、山のように押し寄せてくると、アナタの心はすっかり「ネガティブなモード」に。そして、やっかいな「心のネガティブさん」を招いてしまうのです。
原因1「感情」が暴走するとき、心に何が起きている？
ここからは「ネガティブな感情」と「ネガティブな思考」が、なぜ「心のネガティブさん」を招くのかを、詳しく見ていきましょう。
まず、感情の「ネガティブさん」は基本的に一過性のものです。発生した瞬間が一番強く、それからだんだんと小さくなっていきます。しかし、感情のネガティブさんをなんとかしようとすると、逆効果になることも。
例えば、心を整理するために「悲しいな、嫌だなあ」という気持ちを思い出し、反芻すると、収まりかけた感情がぶり返してしまうのです。
その結果、余計にネガティブな感情が長引いたり、強まったりしてしまい、心のネガティブさんを招きやすくするのです。
原因2「考えすぎ」が不安を育てる理由
ネガティブな思考が現れるポイントは、「頭がお暇な状態」にあります。人は、目の前の状況から意識が離れてしまうことがあります。私はこれを「頭がお暇な状態」と呼んでいます。
例えばアナタが今、掃除をしているとしましょう。「ここをもうちょっとキレイにしようかな」「水ぶきもするか」などと掃除のことに意識が向いていれば、これは「頭がお暇な状態」ではありません。
しかし、掃除をしているうちに、意識が掃除から離れていくことがあります。
「今年のお中元、〇〇さんに出すべきかな」
「そういえば、苦手な上司とのミーティングがあったな」
「隣のおじいさんが、嫌味をいっていた気がする。何か私やらかしたかな……」
カラダは掃除をしているのに、頭はほかの事を考えている。この状態が「頭がお暇な状態」なのです。こうなると、もう意識は掃除に戻ってきません。「考え事」だけが暴走し、次々とほかの事を考えるようになります。そして、延々と考え事をしているうちに、必ずネガティブなことに行き着きます。
なぜなら、ポジティブなことは「今度は〇〇しよう！」「これはこうすべきだ」などと、どこかで結論が出るので、延々と考える必要がないからです。
しかし、ポジティブな結論が出ても、頭がお暇な状態だと「考え事」の暴走は収まりません。ひたすら何かを考え続け、結局は「ネガティブなこと」に行きついてしまうのです。
ネガティブなことは、クヨクヨ考えても結論が出ません。結論が出ないからこそ、いつまでも考え続けてしまう。これがネガティブな思考の正体であり、心のネガティブさんを招くきっかけでもあるのです。
ネガティブさんに好かれる人の4つの特徴
心のネガティブさんは誰にでも訪れますが、よく訪れる人と、そうではない人がいます。心のネガティブさんに好かれるのは、どんな人なのでしょうか？
1.どんなことも管理しようとする人
例えば、
- よくわからない事態になったときに調べまくる人
- 他人に任せることが苦手で、全部自分で抱えようとする人
- 予想外のことが起きないよう、さまざまな可能性を考えすぎる人
要は、自分の身の回りのことを、なるべく把握して管理しようとする人です。
こんな人は、考え事が常に多く、頭の中がごちゃごちゃしています。「こんなことになったらどうしよう」と考えて、不要な準備もたくさんしてしまいます。そのせいで慢性的に疲れているためか、心も不安でいっぱいになります。当然、心のネガティブさんが付け込む隙もたっぷりあります。
2.先々のことを考えすぎる人
将来のことを考えすぎる人も、心のネガティブさんの大好物です。こういう人は先読みをしすぎて、気持ちが落ち着かないのです。
また、将来のことはその時になってみないとわかりません。今から考えても対処できないので、不安が強くなります。
3.過去に囚われやすい人
気が付けば「過去の失敗」「嫌な経験」「他人の一言」などについて、考えていませんか？ “変えられない”過去のことを考える癖を持ち、延々と後悔してしまう人も、心のネガティブさんのかっこうの餌食です。
ここで怖いのは、過去のことを頭の中で振り返り続けると、記憶がどんどん悪い方向に加工されてしまいやすい点です。そんなに大したことではなかったはずなのに、ふと気付けばとてもネガティブな記憶に改造されていた……。そんなリスクもあります。
4.他人のことばかり考えている人
他人のことも、過去と同じで変えられません。また、本当の意味で他人の気持ちを知ることはできません。あくまで推察することしかできないからこそ、悪いように考えやすくもあるのです。
例えば、「本当は嫌われているんじゃないか？」などと考え始めても、「そうではない」と証明することはできません。結果、疑心暗鬼で不安になり、自信も持てなくなってしまうのです。
次回は、「心のネガティブさん」に振り回されそうになったときの対処法を解説していきます。「もしも〇〇したらどうしよう」という不安や、「失敗が怖い……」という悩みを抱えがちな人は、ぜひ参考にしてみてください！
もっと詳しく知りたい人は、精神科医Tomyさんの著書をチェック！
心に現れる‟ネガティブさん”と上手に付き合う、「ラクになれる考え方」のコツをわかりやすく解説。生きている限り一生関わり続けるネガティブさんと正しく向き合う方法を知れば、心がグッとラクになるはずです。
※本記事は『精神科医Tomyが教える心の中のネガティブさんと上手につきあう方法』（アチーブメント出版刊）より一部抜粋して構成しています。
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