誰にでも起こりうる一人暮らし女性の救急体験記 #2
救急搬送、その後|一人暮らし女性の“入院生活”と孤独、本当に必要な備え
救急搬送、その後|一人暮らし女性の“入院生活”と孤独、本当に必要な備え
更新日:2025年08月20日
公開日:2025年08月09日
人生初の救急搬送、そのまま入院生活……まず必要だったのは?50代一人暮らし女性が体験した、おむつ問題から払ったお金、“退院後の激痛”再発まで。入院生活で直面する“本当の困りごと”や知っておけば安心な備え・コツを紹介します(全4回)
家族が遠方から駆け付けた、入院初日「集中治療室」の夜
突然の激しい痛みと嘔吐に襲われ、何とか自分で救急車を呼んで病院へたどり着いた私。救急病棟のICU(集中治療室)で「偏頭痛」と診断され、時計が21時を回った頃。
看護師さんの配慮で、田舎から新幹線を乗り継ぎ駆けつけてくれた両親と妹と、短時間だけ面会できました。
父はいつも通り明るく振る舞って場を和ませ、母は手を握り「大丈夫だから」と語りかけてくれました。高齢の両親に妹がついてきてくれて、本当にほっとしたのを覚えています。
同時に「遠方からわざわざ呼んでしまった……負担をかけて申し訳ない」という複雑な気持ちも。家族は病院前のホテルをとったとのことで、短い面会を終え、痛み止めの点滴を打ちながら、泥のように眠りに落ちた入院初夜でした。
深夜のトイレ問題!おむつか尿瓶を選べと言われて
ところで入院初日、衝撃の出来事がありました。髄液検査後だったため「絶対安静」の指示が出て、看護師から「おむつか尿瓶を使ってください」と案内されたのです。
え、おむつ?
頭では「命を守るため」とわかっているけど、どうにも自尊心が捨てきれません。看護師さんに泣きそうになりながら「どうしても使いたくない」と懇願したのですが、 状況的に許されず、仕方なく「がまん」を決意しました。
幸い、見かねた医師が特例として「車椅子で移動、必ず看護師が付き添いでトイレへ」という許可を出してくれ、“初おむつ”は何とか回避。でも、「排泄の自立」が人の尊厳をどれほど支えていたか痛感する瞬間でした。
そういえば、長期入院していた兄が「最初は勇気がいるけど、最初の一度を乗り越えさえすれば、すぐに慣れるよ」と言っていたっけ。
遠い未来だと思っていた「介護が必要になったとき」を改めて考えさせられました。
忙しい二日目の朝。手続きと入院生活に必要なもの
翌朝は主治医の回診、前日の検査説明や書類対応など、一気に「やること」が押し寄せました。
「入院ってもっと静かなものかと思ってたのに、意外と忙しいんだ……」
ぼんやりした頭で慎重にサインや確認をしていきます。眼鏡がなくて細かな字が読めず、歯磨きもできず、スマホも充電切れ寸前。「緊急入院」の準備不足が身に沁みました。
もちろん下着やパジャマもなく、前日にとりあえず着せてもらった紙パンツと病衣のまま。
入院の手続き中に、パジャマやタオルは「レンタルサービス」があると聞き、300円程度と高くはなかったのでお願いすることに。短期入院なら洗濯不要で衛生的・コスパも良く、今はこんなサービスがあるんだと驚きました。
さらに主治医からは、「原因不明のため、病院内を歩いて異変が出ないか確認します」と、院内の歩行指示も。「もし帰宅後に異常が出たらその方が大変ですから」という言葉に納得しながらも、おそるおそる点滴スタンドとともに院内を歩き回りました。
病院での生活、世話してもらわないと何もできない現実
この日も両親と妹が面会に来てくれました。
妹は私の家に寄り、必要な荷物(眼鏡、充電器、歯ブラシ、着替え、家のカギなど)を持ってきてくれ、本当に助かりました。
今回は急な出来事だったため、家の電気や暖房もつけっぱなし、カギも開けっ放しだったのですが、妹がすべて回収してくれました。ほっとする一方で、「これ、一人だったらどうすればよかったんだろう……」と家族や、いざというときに頼れる人の存在が身に沁みました。
それに、身近なことは近くの友人などに頼めても、手術など生命にかかわる事態は家族でないと判断がつかないもの。田舎が遠方で独り身の場合、自分だけでなく家族に大きな負担を強いることになってしまうことを実感しました。
午後はCTやMRIの再検査をしましたが、はっきりした異常は見られず、主治医判断で「念のため、もう1日入院」。退院は翌日に延期となりました。
退院、入院費より高額だった救急外来の治療費に驚いて
3日目の午前、ようやく退院が決まりました。
原因がはっきりしないため、当分、無理はしないようにと医師から注意を受けながら、両親に付き添われて病室を後にします。
そして、退院時の会計です。
治療費、入院費、処方された薬代を合わせて約8万円(保険適応後の金額)という高額な医療費の請求を受け、白目状態に。「救急車は無料でも、ER(救急外来)で受けた治療・検査はここまで高額になるのか」と痛感しました。
家族は、近くのホテルで小さな退院祝いをしてくれた後、その日のうちに田舎へ戻っていきました。
見送った後、タクシーで一人自宅に戻ると、いつもと変わらぬ日常にほっとしたと同時に、不安が募ります。それでも、この数日のことは過去。「もう大丈夫。終わったこと」と、次第に気持ちが軽くなっていきました。
退院の夜、突然の“激痛”再発――一人きりの絶望感
いつものベッドで、やっと安心して眠れるはずでした。しかしその夜、布団に入った途端、首から後頭部にかけて脈打つような激しい痛みが、突然ぶり返してきたのです。
「またこの痛み……!昨日と全く同じ」
すぐに医師に処方されていたアセトアミノフェン系の鎮痛薬を飲みましたが、まるで効き目がありません。ドクン、ドクン、ズキン、ズキン……痛みはどんどん増し、吐き気で涙が止まらなくなりました。この苦しみを、また味わうことになるとは……。
でも、診断は「偏頭痛」。再び救急車を呼んで良いのか、迷います。同時に「また病院で高額な医療費が発生するのでは」という経済的不安も頭をよぎります。
家族は、やっとほっとして田舎に帰ったばかりなのに心配はかけられない。
スマホを見ると真夜中の12時を過ぎていて、こんな時間に人に頼るのは、さすがに気がひけます。諦めました。
ひとりきりで、一晩中、この激痛に耐えるしかない。一度くぐり抜けたはずのこの痛みを「知っている」ぶん、「また夜が明けるまで、この地獄が続く」と思うと、より強い絶望が押し寄せます。
耐え難い激痛、恐怖と孤独、どうにもできない不安……、ベッドの上でうずくまりながら、押しつぶされそうな夜を過ごし、朝方、疲れ果てフラフラのままタクシーをつかまえ、再び病院へ向かうことに。
「誰か助けてほしい」――心から、そう思わずにはいられませんでした。
【情報】一人暮らし女性の「緊急入院」本当に必要な備え
実際、突然の入院で“これがなくて困った”ものは意外とシンプルでした。今は下記をまとめたバッグをベッドサイドに常備して、いざという時にすぐ持ち出せるようにしています。
緊急入院セットに入れておくべきもの
- スマホ充電器、イヤホン
- 眼鏡・コンタクト
- 常備薬の予備
- 健康保険証
- 現金(クレジットカード不可の場合もあるため)
- 家の鍵・緊急連絡先メモ
歯ブラシなどは病院内のコンビニでも購入可能。短期入院であれば、使い捨ての下着やパジャマ・タオルは病院のレンタルサービスを利用する方がラクなケースもあるので、セットには入れていません。
救急搬送・緊急入院は“明日の自分”にも突然起こりうるリアルです。今日からできる備えで、いざという時の安心を手に入れてください。
※本記事はあくまで個人の体験談であり、すべての人に当てはまるものではありません。症状や状況に応じて、適切な医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。医療費は症状や治療内容によって異なります。
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誰にでも起こりうる一人暮らし女性の救急体験記(全4話)




