何度ダイエットしても結果が出ない理由

がんばっても痩せない50代。その原因は「肝臓の代謝低下」かも?

がんばっても痩せない50代。その原因は「肝臓の代謝低下」かも?

公開日:2026年02月14日

頑張っても痩せない50代。その原因は「肝臓の代謝低下」かも?

食事制限や運動を続けているのに、思うように体重が落ちない——。そんな50代女性の背景に、「肝臓の代謝低下」が隠れていることがあります。近年注目される新脂肪肝(MASLD)を手がかりに、なぜ痩せにくくなるのかを専門医の解説でひもときます。

教えてくれたのは、2人の専門医

栗原毅(くりはら・たけし)さんさん
1951年、新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。前東京女子医科大学教授、前慶應義塾大学大学院教授。現在は栗原クリニック 東京・日本橋の院長を務める。日本肝臓学会肝臓専門医。治療だけでなく予防にも力を入れている。

栗原丈徳(くりはら・たけのり)さん
1982年、東京都生まれ。歯科医師。鶴見大学歯学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科中退。日本抗加齢医学会、日本咀嚼学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会などの会員。栗原ヘルスケア研究所所長。「予防歯科」「食と健康」をテーマに活動をしている。

※この記事はお2人の共著『新脂肪肝 代謝復活ダイエット』より一部抜粋して構成しています。

新脂肪肝とは?「代謝が落ちて痩せにくくなる」体の状態 

脂肪肝とは?「代謝が落ちて痩せにくくなる」体の状態 
KiRi / PIXTA

食事量は増えていないのに、体重が落ちない。若い頃と同じダイエットが通用しなくなった——。そんな違和感を抱えて、クリニックを訪れる50代女性が増えています。

何度ダイエットをしてもなかなか痩せないのは決して努力不足ではなく、根本的な原因を解決できていないから。最近、全世界で定義づけられた、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患:マッスルディー)と呼ばれる脂肪肝をご存じでしょうか。

これまで脂肪肝は、「アルコールを飲む人がなる脂肪肝」か「それ以外」の2つに分けられていましたが、代謝の異常が原因で脂肪肝になるのだとこれではっきりと定義づけられました。新しく名づけるなら『新脂肪肝』といえるでしょう。

人間が痩せていくためには「代謝」によるエネルギー消費が必要で、その代謝の役割を最も大きく担っているのが「肝臓」です。肝臓に脂肪がついてフォアグラのような状態になると、代謝機能が落ちて一気に痩せにくい体になります。

つまり、痩せるカギは低下した代謝機能を復活させること。

これが、これまで数々のダイエットで失敗してきた人たちの解決策の一つです。

脂肪肝には2種類ある。アルコール性と「新脂肪肝」

脂肪肝には2種類ある。アルコール性と「新脂肪肝」
Pikovit / PIXTA

「脂肪肝」とは、肝臓に中性脂肪がたまりすぎた状態のこと。健康な人の肝臓にも3~5%の中性脂肪が存在しますが、それが増加して20%を超えると脂肪肝と呼ばれる状態になります。

脂肪肝になると、さまざまな健康被害に見舞われます。肝臓の主要な細胞である「肝細胞」が炎症を起こして壊れてしまうことも。すると、肝細胞内の中性脂肪まで血液中に流出し、体のあちこちで体脂肪となって蓄積します。

この状態になると、どんなにダイエットをしても容易には痩せられない体になります。それだけではなく、あふれ出た中性脂肪で血液がドロドロになり、病気のリスクも高まります。

そんな恐ろしい脂肪肝には2種類のタイプがあります。

一つは大量の飲酒が原因でなる「アルコール性脂肪肝」。もう一つはアルコール以外のことが原因で起こる脂肪肝。これを「非アルコール性脂肪性肝疾患」と長らく呼んでいましたが、近年、名称が改められました。

理由は、漠然としていた非アルコール性の脂肪肝の原因が明白になってきたからです。それでは、新たな名称とともにその原因を解説しましょう。

NAFLDからMASLDへ。脂肪肝の名前が変わった理由

NAFLDからMASLDへ。脂肪肝の名前が変わった理由

これまでアルコールを飲まない人の脂肪肝は、「アルコール以外のことが原因」と大まかに定義され、明確な診断基準がありませんでした。

しかし2023年、名称は代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD/マッスルディー)へと変更されました。この病名からもわかる通り、代謝機能障害=代謝の異常が脂肪肝の背景にあることがはっきりと示されています。

少なくとも1つ当てはまるとMASLD!

  • お腹まわりの脂肪が多い( 特に内臓脂肪)
  • インスリンが効きにくく、血糖値が下がりにくい
  • 血糖値が高い( 空腹時血糖が110~125mg/dL以上)
  • 中性脂肪値が高く、HDLコレステロール値が低い
  • 血圧が高い(130/85mmHg以上)

代謝がうまく機能しないと、肥満をはじめ、高血圧や高血糖、脂質異常症といった、私たちにとって身近な生活習慣病を引き起こします。これらの生活習慣病に罹っている、もしくは予備軍であることが、MASLD=新脂肪肝の新たな診断基準です。

裏を返せば、生活習慣病の根っこにあるのが新脂肪肝だということになります。

日本人の4人に1人が新脂肪肝。増え続ける背景とは

日本人の4人に1人が新脂肪肝。増え続ける背景とは
aijiro / PIXTA

では現在、どのくらい多くの人たちが新脂肪肝になっているのでしょうか。

我が国の15万人を含む36の研究を対象としたメタ解析によれば、約25%が新脂肪肝にすでに罹患していて、しかもその割合は年々増加しているとの報告も。少なくとも日本人の4人に1人が新脂肪肝になっているのです。

これほどまで新脂肪肝が増えている原因には、現代のライフスタイルが関係しているといえます。

新脂肪肝を引き起こす原因は「代謝の異常」。私たちの日常生活には代謝異常をもたらす要因がたくさん潜んでいます。

新脂肪肝が増えている主な理由

  • 糖質のとりすぎ
  • 早食い・不規則な食生活
  • 長時間のデスクワーク、運動不足
  • 夜更かしによる睡眠不足
  • ダイエットによる筋肉量の低下

太っている人だけでなく、痩せている人でも注意が必要なのが新脂肪肝の特徴です。

新脂肪肝は「生活習慣病の前兆」。放置するとどうなる?

新脂肪肝は「生活習慣病の前兆」。放置するとどうなる?
Jo Panuwat D / PIXTA

代謝異常によって起きる新脂肪肝は、生活習慣病の“前兆”ともいえる症状です。

新脂肪肝になると、肝臓から血液中に中性脂肪やコレステロールがあふれ出し、血液がドロドロになります。その結果、動脈硬化が進み、次のような病気のリスクが高まります。

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 狭心症
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 認知症

厄介なのは自覚症状がほとんどないこと。肝臓には痛みを感じる神経がなく、中性脂肪が20%を超えた状態でも気づかない場合も。けれども放置すれば悪化します。

脂肪肝炎を経て、肝硬変、肝臓がんへと進行したら取り返しがつきません。早期発見、早期治療が、万病を遠ざける唯一のカギになります。

がんばっても結果が出ないダイエットの背景には、気付かないうちに進んでいる体の変化がある可能性があります。

続編では、新脂肪肝になりやすい人の特徴と、今の自分の状態がわかるセルフチェックを紹介します。

もっと詳しく知りたい人は 

『代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)』を"新脂肪肝"と定義し、誰でも簡単に新脂肪肝を改善し、何もしなくても痩せていく体が手に入る方法を紹介。

HALMEK up編集部
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