私の選択「小さな暮らし」で「豊かな人生」を(12)

秋めく中で再開した「終の棲家」での日常生活

公開日:2022.10.11

「小さな暮らし」に見合った、アメリカから帰省する娘母子の迎え方を模索しながらの夏休みが終わり、私のハルメクライターとしての記事もちょうど100本となりました。101本目の今回は、秋めく中で再開した「終の棲家」の日常生活を新たな視点から。

「名前があるんです。空き地ではかわいそう」

11月1日が来れば「終の棲家」入居1年。風呂友から始まって、友達や顔見知りの方も随分増えました。

6月のある日、内線のベルが鳴りました。「○○です。ハルメクWEB読みました。アンネのバラを紹介してくれてありがとう。でもね、空き地ではかわいそうでしょう。ちゃんと名前があるんですよ。花めぐりマップ持ってます?」

今年(2022年)6月8日にアップされたこめられた愛に心動かされながらの記事の中で、まだ何も知らなかった私が、「湖畔の葦林にほど近い空き地にも」アンネのバラなどの花々を、住人の方が愛をこめて育てておられると紹介したことへの愛あるご指摘でした。

そうなんです。このレジデンスには植物に詳しい方がおられて、レジデンス周りにある草木のことを調べて「花めぐりマップ」として美しくまとめ、季節毎に「花めぐりツアー」も行なわれているのです。

入居の際に頂いていたそれを改めて見直してみました。レジデンス周りを4つのエリアに分け、私が書いた「湖畔の葦林にほど近い空き地」は、湖岸の植栽Dエリア「ヨシ辺の花壇」とちゃんと名前が付けられていました。

「名前があるんです。空き地ではかわいそう」
実物は、A3サイズの裏表にぎっしりと植物名や花の写真が掲載された立派なもの

「ヨシ辺の花壇」ネームプレート制作

そんな経緯(いきさつ)後しばらく経って、「ヨシ辺の花壇」のネームプレートを作って欲しいという依頼が夫にありました。「制作大好き」人間の夫は大喜び。早速図案を書いて、見ていただきました。

「ヨシ辺の花壇」ネームプレート制作
最初のラフスケッチ。ネームプレートには葦や花の絵を描いていました

「ヨシ辺の花壇」で花を育てておられる方々で相談し、「プレートに花の絵はいらないんじゃないか」と返事が返って来ました。全くもってその通り。夫はすぐにデザインとサイズを変更して、設計図を書き直しました。

花をひき立てることをコンセプトに小さなプレートを作ることにしたのです。「ヨシ辺」らしく、木彫の小鳥「ヨシキリ」を添えて。

「終の棲家」、自宅、ログハウスの3拠点生活を送っている私たちは、8月は拠点を自宅とログハウスに移して、頭を家族モードに切り替えて夏休みに入るので、9月に仕上げると約束をしました。

9月初め、自宅とログハウスの片付けを済ませると、「終の棲家」に帰ってきました。そこはさすがに高齢者施設! 外食や外泊後は48時間の自室待機です。館内のレストランはもちろん、ラウンジ、温泉、トレーニングルーム等々人が集まる所に行くのは禁止。

幸いなことに「アトリエ」を使っている人は誰もいません。自宅やログハウスから持ってきた、古材や剪定した枝、屋根材の残りなどを持ち込んで、夫は自室待機中のほとんどの時間をそこに1人でこもって、ネームプレートを仕上げることができました。

「ヨシ辺の花壇」ネームプレート制作

好きなことをして喜んでいただける贅沢

「ヨシ辺の花壇」に関わっておられる方々に場所を決めて頂き、そこに穴を掘り、柱が腐らないようにステンレスパイプに取り付けて埋め、設置しました。集まって下さった方々と記念撮影をして入居後初のプロジェクト終了。

それ以来、どこから広まったのか、たくさんの方から「まるでプロの方が作ったみたいですね」「花壇がグンと引き立ちました」等と声をかけて頂き、「好きなことをして、喜んで頂けるなんて、理想の生き方かも」と、幸せに浸っている2人です。

好きなことをして喜んでいただける贅沢
上:5月の花壇とヨシ辺を産卵の場所に選んでやってきたミシシッピアカミミガメ
下:ネームプレートを設置した9月の花壇

 

■もっと知りたい■

harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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