終の棲家―人生を豊かに生きるための選択

「小さな暮らし」―始まった日常生活

公開日:2021.12.06

2021年11月1日から始まった「小さな暮らし」も、やがて1か月。日常生活の中で、「小さな暮らし」もいいものだなと思えることや、「老人ホーム」でのお付き合いもいいものだなと思えることがたくさん見つかりました。

「小さな暮らし」―始まった日常生活
「別居記念」に、息子が自作のコンピューターグラフィックスを、家具の色に合わせて蜜ろうで着色した手作りの額縁に入れてプレゼントしてくれました

息子から「別居記念」のプレゼント

何回にも分けて少しずつ荷物を運び込んだ介護付有料老人ホームへの「小さなお引っ越し」も、11月7日、息子の手伝いを得てほぼすべての運び込みを終えて終了となりました。

私たちの「小さな暮らし」の始まりは、息子の一人暮らしの始まりでもあります。引っ越し最終日、息子は、私たちとの「別居記念」に自作のコンピューターグラフィックスの作品を、家具の色に合わせて蜜ろうで着色した手作りの額縁に入れて、2つプレゼントしてくれました。

夫、息子、私の3人で、どこに飾ろうか、ああでもないこうでもないと壁に当ててみた結果、ダイニングテーブルに着いたときに、1つは私の席からよく見えるところに、もう1つは夫の席からよく見える場所に飾ることにしました。

翌朝、落ち着いて部屋の中を見渡すと、引っ越しのドタバタが続いたので、床や家具は埃だらけ。ベッド周辺には白い髪の毛が。東向きの部屋なので、それらが朝日に照らされてよく目立ちます。

そこで、家具の汚れは、「マイクロファイバー」のダスターで軽く拭き、床の埃は、「フローリングワイパー」を何往復かさせると、ベッドの下までスッキリ。「小さな暮らし」には、掃除機もいりません。

「老人ホーム」では、いきなり裸のお付き合い

自室隔離期間を終えた3日目の夜から、「麻痺した体のこわばり」にも効くと効能書きにある、温泉での入浴を始めました。入り口に置いてある4つ脚の杖をついて、シャワーチェアが置かれている入り口に一番近い場所に陣どって体を洗うと、また4つ脚の杖をついてゆっくりと湯舟に向かいました。

「詰めてあげて」と、声をかけてくれる方がいて、私は入ってから出るまでずっと手摺りを持ったまま安心して湯舟につかることができました。

「まだ若いやろ」「何歳だと若いと言えるんですか?」と私。「まあここでは80歳になるまでは若いといえるやろな」「じゃあすごく若いです。71歳です」と私。「どこから来はったん?」「京都からです」。

こうして、自己紹介が始まります。同じ時間帯に入浴するのは大体同じメンバー。72歳、82歳、92歳の方々とすぐに親しくお話ができるようになり、ランチの後、夫とともにコーヒーを飲みながら新聞を読むことにしている時間に、ティーラウンジでお会いすると、ここでの生活の仕方についてだけではなくご自分の入居のいきさつまで語ってくれるようになりました。

人の噂話に花を咲かせるのではなく、自分自身のことを率直に話してくれるのが何とも心地良い、「裸」から始まったお付き合いです。

ティーラウンジ。ここではコーヒー、紅茶、緑茶、アップルティー、ミネラルウォーターが自由に飲めます

「小さな暮らし」の中に見えてきた広がり

お風呂、レストラン、ティーラウンジについでよく利用するのが週2回機械を使っての訓練が行なわれる「機能訓練室」です。ここも琵琶湖に面した明るい部屋です。

機械を使いながら窓の外を見ていると、リスのような生き物が親子でさかんに草を食んでいるのが見えました。グーグルフォトのレンズ機能で調べてみると、それは「ヌーメリア」。大型のネコぐらいの大きさで、攻撃性はまったくなし。

(生態系に影響するほど食べて撃退されませんように)と、見た人誰もが思うほど、おっとりと可愛い動きです。

日常生活に少しずつ余裕が生まれ、周りの植物にも目が向くようになりました。玄関前の花壇に今咲き誇っているのは、「ヤツデ」の白い花と、「ツワブキ」の黄色い花。赤い「サザンカ」も、咲き始めています。

そんな玄関を出て、近くをドライブにしてみることにしました。初めてのドライブは、10分ほどのところにある「明智光秀」一族の菩提寺「西教寺」。紅葉も見頃でした。

こうして、「小さな暮らし」の中にも広がりが見えてきました。次回はそのことを詳しく書きたいと思います。
 

■もっと知りたい■

harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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