自己流で「折り句」を始める

2021年08月05日

思い立ったが吉日……始めるのに遅すぎることはない

自己流で「折り句」を始める

褒められることの少なかった私が珍しく褒められていたもの、それは本読みと作文でした。老後の趣味にと、まず浮かんだのが短歌と俳句でしたが、31文字や17文字で、何かを表現するなんてとてもとてもと思っていた私が出合った、「折り句」……さて。

「俳句」にまつわる出来事2題

飛び乗って 車内の温(ぬく)み ありがたし

中学生時代、電車通学をしていました。寒い冬の朝、指先を凍えさせながら駅まで早足で歩き、入ってきた満員電車に飛び乗りました。普段は息苦しく、窮屈としか思っていなかったギュウギュウ詰めの車内でしたが、この時ばかりはその温かさにほっとしました。

ちょうど俳句が宿題に出ていたので、そのときの気持ちを俳句にして提出したのですが、褒められることはありませんでした。(私には俳句は向いてないのだな)とすっかり俳句嫌いになってしまいました。

毎年、年末には年賀状作成に追われます。夫と2人でどんな年賀状にするのかを話し合った後、まずは夫が鉛筆で絵を描きます。次にそのイメージに合うような文を私が書き、最後に絵と文の配置と色を考えて、パソコンで仕上げるのが、我が家流。

「俳句」にまつわる出来事2題

2021年、夫が描いた今年の年賀状の絵は、2019年から20年にかけての船旅と、20年秋に訪れた小布施の葛飾北斎館で得た印象を絵にしたものでした。その絵を見た瞬間、脳出血後遺症による右半身麻痺に負けてはいられないという気持ちがこみ上げてきて、突然俳句が浮かんだのです。

春迎え 気迫の北斎 我を押す

よみがえった17文字への興味  

この句をある全国紙に投稿してみました。すると思いがけないことに採用され、図書カードが送られてきました。年を重ねるとは面白いものです。つらかった体験が感性と言葉の感覚を磨いてくれていたのでしょうか。

これをきっかけに、これまでは読み飛ばしていた雑誌『ハルメク』の、「折り句」のページに目がとまるようになり、(応募してみようかな)という気になりました。

“「折り句」とは、言葉の頭文字を各句の始めに置いて作る短歌や俳句”―雑誌『ハルメク』より―

そこで、早速2月に届いた3月号から始めることにしました。応募できるのは3句までです。

3月号のお題は、「たきび」でした。

玉のよな 君が生まれて ビューティフル

初孫が16歳の誕生日を迎えて、誕生したときのことを思い出しました。生まれたのは、アメリカ、ボストン。そのときの助産師さんの第一声が“ビューティフル!”よくがんばったね、立派なお産だったね、といった意味合いだそうです。

足りません 今日も明日も 病床が

発症者数は減ってきたものの、重症者や高齢者の増加で長引く入院。医療逼迫のニュースに心が痛みます。

4月号のお題は、「ひいな」

避難先 いつか戻ろう 流れ星

あの日から10年。戻りたいふるさとに。遠く離れた避難先の地で、流れ星に願いをかけた人も多かっただろうと、胸が痛みます。

広野原 一面に咲く 菜花かな

辺り一面黄色に染める春の訪れに、しばし心は和みます。

熱しにくく冷めにくいのが私。選ばれなくても何のその。だんだん楽しくなってきて、毎月3句ずつ作って送り続けました。

突然の入賞

  6月に届いた雑誌『ハルメク』7月号の「折り句」のページを見てびっくりしました。私が作った折り句が載っているではありませんか!

突然の入賞
雑誌『ハルメク』7月号より
突然の入賞
雑誌『ハルメク』7月号より

これまで、お題の3文字が頭につく言葉を考え、意味が通るようにつなぐのが精一杯でした。「いい句」とはどんなものなのか、さっぱり見当もつかないままに書き続けてきたのですが、先生の評を読んで少し分かったような気がします。

その一つは「見立て」。次回は、先生の評から私なりに見えてきた「いい句」のポイントについて書いてみたいと思います。

突然の入賞
命に関わるような暑さが続く2021年の夏

 

■もっと知りたい■

harumati
harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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