自分で自分をほめたい

公開日:2021年06月11日

私の生き方に繋がる言葉との出合い

自分で自分をほめたい

自分で自分をほめたい

「初めて、自分で自分をほめたいと思います」……1996年に行なわれたアトランタオリンピック女子マラソンで銅メダルを取った直後の有森裕子さんの、あまりにも有名な言葉です。私にもいつかそう言える日が訪れる、そんな生き方をしたいと憧れました。

「自分で自分をほめたい」にこめられた思い

「初めて、自分で自分をほめたいと思います」有森裕子さんがこの言葉を発したのは、日本人女子初のマラソン競技メダリストとなった1992年バルセロナオリンピックのときではなく、4年後の1996年アトランタオリンピックで再びメダリストとなったときでした。

有森さんの1回目のメダルは銀、2回目は銅でした。メダルの色を落としたにも関わらず、「初めて、自分で自分をほめたいと思います」と言ったことに、私は、強く心を打たれました。

実はこの言葉、有森さんのオリジナルの言葉ではなかったそうです。都道府県対抗女子駅伝大会の開会式で、フォークシンガーの高石ともやさんが選手激励のために詠んだ詩の中に「ここに来た自分を、人にほめてもらうんじゃなくて、自分でほめなさい」という一節があったのだそうです。

詩の前半部分は、こうです。「ここまで来るのに一生懸命、頑張ってきた自分も、苦しんだ自分も、喜んだ自分も、全部知っているのは、あなた自身だから」

有森さんが高校生のとき、補欠として臨んでいた駅伝大会で聞いたその詩が、アトランタのゴール直後に言葉となってあふれてきたとのこと。バルセロナでの銀メダル後、両足かかとのケガなど相次ぐ故障で走ることさえできない時期を経験したからこそ、高校生のときに聞いて感動したこの言葉がインタビューの中で、口をついて出たのでしょう。

「自分で自分をほめたい」にこめられた思い

成果の度合いではなく、自分の生き方そのものに向けられたこの言葉「自分で自分をほめたい」は、長年の私の憧れとなったのでした。

「自分で自分をほめたい」古希の私

中高生時代、兄たちや姉と比べて、「何というできの悪さ」と、劣等感の塊だった私。結婚してからは、母や姉のように、家事を手抜きなく上手に出来るようになりたいと思いながらも、できない自分に落ち込んだ日々。「自分で自分をほめたい」とはほど遠い私でした。

転機が訪れたのは、2016年11月3日、66歳の時でした。何の前触れもなく脳出血に襲われ、3か月間の入院生活を余儀なくされました。ICU(集中治療室)とSCU(脳卒中集中治療室)で過ごした10日間余りのことはほとんど記憶になく、右半身が全く動かなくなっているということにさえ気づきもせず、ベッドから落ちたり、車椅子で連れて行ってもらったトイレの便座から落ちたりもしました。言葉も出ませんでした。

ところが、信じられないことに、そんな状態であるにも関わらず、私はいつもご機嫌でした。倒れてから11日目にリハビリテーション科の回復病棟に移ってからは―言語療法による認識力と発話の訓練、理学療法による立ち座りと歩行の訓練、作業療法による腕の可動領域を広げ、指を動かす訓練―1日3種類・3回のリハビリを、楽しみに待つようになっていました。

いつもニコニコしていたので、お見舞いに来てくれる人来てくれる人みんなが、「元気そう」と言って、安心して帰って行きました。左脳=考える脳がやられたので、悔やんだり、落ち込んだりする力が適度になくなっていたのでしょうか。現実には、たった60m歩けるようになるまでに、40日もかかったのでしたが。

不安定ではあっても何とか歩けるようになると、家に帰りたくてたまらなくなりました。療法士さんたちにお願いして、退院に向けて様々な特訓をしてもらいました。ケアーマネージャーさんに連絡を取ってもらい、介護保険の申請を済ませると、玄関や階段に手摺りを付けてもらいました。こうして、倒れてからちょうど3か月後の2017年2月3日に退院することが出来たのでした。

退院してからは、英会話仲間だった仲良しにお願いして、「聞いているだけでいいよ英会話クラブ」を始めてもらいました。娘が出先で見つけてきた「朗読」のチラシを元に、病前から大好きだった朗読の仲間に入れてもらいました。ずっと続けてきた大学生の農林業体験のコーディネーターとしてのボランティア活動にも復帰しました。

それらはすべて、自分の状態を隠さずに話し、何が出来て、何は出来ないのかを理解してもらえたからこそ、実現したことです。自分の障害にきちんと向き合い、人を信じることができたからこそ、ありのままの自分を出すことが出来たのだと思います。

私のことを理解し、寄り添ってくれる人達に深く深く感謝しながら、病前に近い生活レベルにまでこぎ着けることが出来た自分を「自分でほめたい」と、やっと言えるようになった古希の私です。

大いなる生命力に励まされながら生きる

大いなる生命力に励まされながら生きる
去年知り合いから分けてもらった17匹のメダカから次々に子メダカが。今や150匹に。
その生命力に励まされます

脳出血後遺症による右半身麻痺に苦しみながら生きています。顔の右半分がしびれていて、ゆがんでいるのではないかと感じるのですが、それは感覚麻痺の障害のためで、実際はゆがんでいません。右喉が締め付けられているようで歌ったり、朗読したりがしにくいのですが、食事の飲みこみは悪くありません。

骨盤周りや右肩が麻痺しているため、歩くにも腕を動かすにも右半身が重く、不安定です。けれども、今も続けている週2回のリハビリのおかげで、筋肉が鍛えられて、転倒することはありません。こうして、パソコンを打つことさえ出来るようになりました。

大いなる生命力に励まされながら生きる
庭の柿の木には新緑が茂り、その下に小鳥が巣を作って子育ての準備中

自然がもたらしてくれる生命力を感じることで、苦しくても明るく生きて行こうというエネルギーが沸いてくるのです。

 

■もっと知りたい■

harumati
harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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