読んで、考えて、話して知性を磨く!
ただ読んでいませんか?知的な脳を育てる!とっておきの読書法
ただ読んでいませんか?知的な脳を育てる!とっておきの読書法
更新日:2025年04月16日
公開日:2025年04月02日
教えてくれたのは、齋藤 孝さん
さいとう・たかし 1960年、静岡市生まれ。東京大学法学部卒。明治大学文学部教授に。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞(2002年)受賞。同作はシリーズ260万部のベストセラーになり、日本語ブームをつくった。最新刊に『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA刊)がある。
60代までに身に付けたい!思考が深まる本の探し方
みなさんは、どのくらいの頻度で本を読まれますか? 文化庁のデータによると、月に1冊も本を読まない人は、全人口の6割超に上ることが、判明しました(文化庁発表、2023年度の「国語に関する世論調査」)。これは16歳以上を対象にした調査ですが、なんともったいないことでしょう。
読書のきっかけとして、本をよく読んでいる人におすすめの本を尋ねるのも手です。人が読んでいる本は自分でも読んでみたくなります。新聞や雑誌、SNSの書評も参考になります。
好きな著者の本だけを読むのは、浅い読書といわざるを得ません。連綿と続く精神文化の中で多くの先人たちとつながることで、知力は強くなるのです。
思考が深まるのは、 感情が動いている時です。小説に限らず、どのジャンルの本でも、ただ読むだけでは情報を吸収しているにすぎません。自分の琴線に触れるポイントを知れば、本はぐっとあなたに寄り添ってきます。
読んで終わりにしない!知識を自分のものにする方法4つ
◆3色ボールペンを活用する
本を読む時は、メモを取るとよりいっそう深い読書になります。「面白い」「その通り!」など一言でもいいので、メモをする作業が思考の助けとなります。
私は赤・青・緑の3色ボールペンを使ってアンダーラインを引いたり、〇で囲んだりします。メモにも3色は活用できます。
緑色……自分が好きな箇所、勝手に面白いと思う部分に使います。己の感性だけで判断して大丈夫な主観的感想です。
青色……あらすじとして大切な部分をマークします。主張のアウトライン、数字など、客観的に要約するのに必要な点を冷静につかみます。
赤色……著者の大事なメッセージと、自分の考えが合致したところに使います。最も重要な部分なので赤色にします。特に重要だと思う箇所をぐるぐる巻きにすることで、記憶に強く残るのです。
このマーキングは情報の取捨選択に役立ち、内容を的確につかみとることが容易になります。感想や要旨を書き留めるのにも、3色ボールペンを活用するのです。
◆ツッコミを入れる
また、思考力を働かせて読むためには、ツッコミを入れつつ読むと効果があります。
お笑い芸人のように、「言い過ぎだよ」とか「本当か?」などとツッコんで、笑いながら読みましょう。頭が働いていないと、笑えるポイントは見つかりません。
◆先を予測しながら読む
頭の回転を速めるには、先を予測しながら読むことです。
小説や漫画を読む際に、展開や主人公の運命を予測しながら読む。漫然と読書しているだけでは、頭を使っているとはいえません。名作と言われる作品は、予想を裏切る展開をすることが多く、予想の左斜め上に行ってくれると興奮度は増します。
◆読んだら、感想をアウトプット
本を読み終えたら、人に話すことです。
考えを深めるためには、対話が一番です。きちんと記憶できていないと、内容をうまく伝えられません。質問されて答えられないのは、理解が足りていないということです。
語る相手がいなければ、ネット上のレビューを読むという手もあります。同じ感想があれば自分の読み筋を確認でき、自分と違う感想であれば新しい観点に気付かされ、考えが深まります。
内容は十分に理解したと思っても、いざ人に話したり書き出したりしてみると、どう説明していいか悩みます。アウトプットすることによって内容が改めて、記憶に刻まれます。
何も記録しないと、あっという間に頭からこぼれ落ちていくので、読書ノートをつけるのもよいでしょう。何が書かれているのか、自分はそれについてどう考えたのか。記録があれば、見直して何度も反芻することができます。
SNSのコメント欄のおすすめにまずは素直に乗ってみる
読書は、たった一人の著者が書いた本を、たった一人の私が読む行為です。
孤独ではなく、単独の対話的時間です。その中で著者や登場人物とつながっているのが読書の醍醐味なのです。
誰かとつながるコツの一つは、著者の生きた時間を「著者と共有する」感覚で読むことです。特に自伝、評伝、歴史小説は、比較的簡単にこの感覚を共有できます。
また、誹謗中傷コメントが話題になりがちなXやYouTube、インスタグラムなどのSNSには、クリエイティブな批評空間もあり、分析力のある人たちが書くコメントも見つけることができます。
こういう批評空間に出合う秘訣は、どんどんスワイプしていくことです。一つ動画を見 たら、そこで紹介しているおすすめに移り、その動画を見たらまた次のおすすめに行くといった具合に次々と移っていくと、知らない世界にたどり着きます。本でも音楽でも、コメント欄にあるおすすめにはまずは乗ってみる。
頭は固定化しがちなので、そういう素直さは大切です。
語彙力を豊かにする「インプット」と「アウトプット」
語彙のインプットには、名著を読むのが近道です。
人が考えたことの集大成であるエッセイに触れるのもおすすめです。一流の書き手による文章は、考え方と語彙がセットになっているものです。どういう言葉を使い、どのような説明をして、どのような言い回しを用いるかには、その人の思考がそのまま表れます。
独特な思考回路によって生まれた表現全体をインプットすることで、ただ「文体」だけを模写するのとはまた違い、クリエイティブなものの見方までしみ込んでくるわけです。
インプットの訓練に続いては、アウトプットの訓練です。
文学作品は、著者が培った精神文化をたっぷり宿しています。本全体を覆う世界観やリズムは、音読し、暗唱できるくらいになれば、夏目漱石でも太宰治でも、シェイクスピアやニーチェ、ドストエフスキーでも、彼らの語彙や文体が渾然一体となってしみつく感覚を得られるはずです。
全文を音読しなくて構いません。3~4ページの「セレクト音読」でいいのです。感情をこめて音読できる箇所を探しましょう。
ただ音読するだけでなく、感情を込めて、身振り手振りもつけて思い切り演じてみることが、アウトプットの極意です。
「インプットした瞬間にアウトプットする」方法とは別に、 「アウトプットと同時にインプットする」方法があります。これは「素読」の極意です。
素読とは、とりあえず声に出して本を読むことです。意味をじっくり考えて頭で読む「精読」とは違い、体を使って読むため、私は「身読」とも呼んでいます。
素読に使いたいのは、やはり小説や古典、名著のハイライトです。素読によって、思想や考え方が表れている言い回し、言葉の選び方がインプットされると、それを使って文体模写(アウトプット)ができるようになり、体にしみ込んだ「人物」が浮かび上がってくるのです。
※本記事は、書籍『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA刊)より一部抜粋して構成しています。
■斎藤孝さん「50代から始める知力磨き」シリーズを読む■
#1:「老いの不安」から心を軽くする3つのコツ
#2:50代の話し方改革!上品で知的に魅せる会話術
#3:知的な脳を育てる!とっておきの読書法
もっと詳しく知りたい人は、齋藤さんの書籍をチェック!

『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA刊)
60代はまだ若い。毎日できる、頭と心のコンディショニング法!
アイデンティティが揺らぐ60代こそ、脳、心、身体を連動させて、知力を伸ばす。身体と言葉の専門家が、50代のうちに始めておくべき知性を育む日々の習慣、後半生からの知力の保ち方をやさしく解説した一冊。




