50代は「第二の思春期」もやもやして当たり前~気が楽になる3つの視点
2025.03.15
公開日:2025年03月15日
『60歳の迎え方』著者・河野純子さんがすすめる
50歳から「やりたいこと」を見つける~小さな一歩を始める8つの方法
やりたいことは、自分の中にヒントがある——。『60歳の迎え方』の著者・河野純子さんは、50代からの仕事探しには「小さな一歩」が大切だと言います。ワクワクした経験や趣味、社会課題などを手がかりに、新たな挑戦を始める8つの方法を紹介します。
やりたいことを見つけるヒントは自分の中に
前編では、50歳からやりたいことを見つける大前提として、「小さな仕事」「自分を雇う」「時間を味方に」という3つのキーワードを紹介しました。
後編では具体的にやりたい仕事を見つける8つの方法をお話しします。ポイントは「やりたいことを見つけるヒントは、必ず自分の中にある」ということです。今は忙しいからと後回しにせず、じっくり自分と向き合ってみることが第一歩です。
方法1:人生で一番ワクワクしたことを思い出す
最初に紹介するのは、これまでの人生を振り返り、一番ワクワクしたことを思い出すという方法。子ども時代までさかのぼり、1歳ごとに「ワクワク体験」を思い出してみてください。
例えばメーカーで海外営業をしていたTさんは、英語が得意なので、定年後は英会話スクールをしようかと考えていました。けれどもワクワクしない。なぜなら英語は好きだけれど、教えることは好きではないからでした。では人生で一番ワクワクしたことは何だったかと考えてみたら、答えは大学時代のバックパック旅行でした。
「これだ!」と思い、ゼロから旅行業について勉強して、60歳で滞在型の海外旅行を企画・販売・添乗する事業を立ち上げました。大好きな旅行が仕事になったTさん、とても楽しそうな毎日を送っています。
方法2:長年続けている趣味や特技を仕事に
何か長年続けている趣味や特技があるのであれば、それを仕事にすることを考えてみましょう。人に教えられるレベルにまで極めて、自宅で教室を開くというのは、趣味を仕事にする代表的な方法です。
方法3:やり残していることに向き合う
子どもの頃の夢や憧れ、人生でやり残していると思うことに向き合うのも一つの方法です。
独身で子育て経験のないYさんが、「自分の人生でやり残していることは子どもと向き合うことかもしれない」と気付いたのは69歳のとき。そこから保育士免許、モンテッソーリ教師の資格を取得して、73歳で保育士デビューを果たしました。
いくつになっても新しいチャレンジはできることを教えてくれる素敵なロールモデルです。
方法4:これまで感じた不安や不満を出発点に
これまでの人生の中で、自分が感じた不安や不便、不満などを出発点に、やりたいことを考えるという方法もあります。Nさんは、定年後の自分に不安を感じ、大学の研究所でキャリア研究を始めたことがきっかけで、「女性のセカンドキャリア」を支援する研修会社をひとり起業しました。
方法5:気になる社会課題に取り組む
気になる社会課題の解決に取り組むのも一つの選択です。仕事を通じて少しでも世の中をよくする方向に貢献できたら幸せですし、志のあるところには仲間も集まってきます。
方法6:住んでみたい場所から考える
リモートワークが普及したいま、私たちはかなり自由に住まう場所を選べるようになりました。「自分で自分を雇う」働き方にシフトするのであれば、なおさらです。
そこでまずは住みたい場所を選んで、そこでできる仕事を考える方法もあります。
方法7:家族や気の合う仲間と働く
誰と働きたいか、という視点からやりたいことを考えるという方法もあります。夫婦で何かを始められたら心強いですし、職場の先輩後輩で事業を立ち上げるケースもあります。
方法8:とにかく動く、何かを始める
最後は、とにかく動くというシンプルな方法。気になることを学び始めたり、行ってみたかったところへ一人旅をしてみたり。動けば出会いがあり、情報も入ってきます。
例えばパート事務職として働いていたSさんは、病気をきっかけに「人生に後悔を残したくない」と考えて、一度行ってみたかったチュニジアを旅します。そこで美しいチュニジアキリムに出合い、半年後には会社を辞めてチュニジアキリムを輸入販売する仕事を始めました。旅をしていなかったら出合えなかった仕事です。
やりたいことが見つかれば仕事にすることは難しくない
やりたいことを見つける8つの方法、いかがだったでしょうか?気になった方法があれば、ぜひ試してみてください。
やりたいことさえ見つかれば、それを仕事にすることはさほど難しくはありません。もやもやしていた先輩たちも、「これかも」という気付きを得たら驚くほどのエネルギーを発揮して、スクールで学んだり、起業セミナーに参加したり、副業やアルバイトから始めたりして、自分らしい「小さな仕事」の形をつくっていっています。
大切なことは小さな一歩を踏み出すこと。やってみて違ったとしても、それも学びです。人生100年時代は、ジタバタする時間がたっぷりあるのです。
河野純子さんのプロフィール
慶應義塾大学SFC研究所上席所員、ライフシフト・ジャパン取締役CMO。1986年リクルート入社。「週刊住宅情報」(現SUUMO)副編集長、「とらばーゆ」編集長、女性のライフ&キャリア研究チーム長を経て、2008年に住友商事に転身。17年独立。18年ライフシフト・ジャパン参加、慶應義塾大学大学院で人生100年時代のライフデザインの研究を始める。20年慶應義塾大学SFC研究所上席所員、21年上新電機社外取締役、22年ダイドーグループホールディングス社外取締役。いばらき大使。著書に『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(KADOKAWA刊)がある。