若さを左右するのは見た目より会話!
“話しグセ”で老け見え?50代の話し方改革!上品で知的に魅せる会話術
“話しグセ”で老け見え?50代の話し方改革!上品で知的に魅せる会話術
更新日:2025年04月09日
公開日:2025年04月02日
教えてくれたのは、齋藤 孝さん
さいとう・たかし 1960年、静岡市生まれ。東京大学法学部卒。明治大学文学部教授に。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞(2002年)受賞。同作はシリーズ260万部のベストセラーになり、日本語ブームをつくった。最新刊に『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA刊)がある。
老いは会話でバレる!テンポ良く話すトレーニング2つ
加齢による体の変化にはあらがえません。白髪が増え、髪の毛が抜けることもあるでしょう。シワやたるみ、シミが目立つようになり、猫背気味になるといった外見の変化に、私たちは敏感です。
ただ、老いという点では、私は声や話し方の方が大事だと思います。
初対面の方は声の調子、話し方によって、印象が変わってきます。年齢は話し方に出るのです。「話すスピードが遅い」「言葉が出にくい」「終わりがはっきりしない」。これが老いの3点セットです。
話の趣旨がぼやける、聞いたことに答えていないなど、総合的な判断で「この人、ちょっと老いたな」と、周囲は感じるのです。頭の回転数を上げると、話も必然的にスピーディーになります。
そこでおすすめのトレーニング法を2つご紹介しましょう。
◆ストップウォッチで音読
ストップウォッチは自分の話のペースをチェックするのに有用です。アナウンサーはストップウォッチを使ってニュースを時間内に読み切れるかを、事前に確認しています。
話すスピードは、頭の回転を左右します。これは、脳のストレッチだと思ってください。体の健康を気にするように、頭も訓練しましょう。相手もいないのに一人で何かしゃべるのも負担だという方には、音読をおすすめします。
◆目と口がズレる速音読
私は速く音読することを「速音読」と言っていますが、速音読にすると頭がいっそうテキパキ動きます。
速く読もうとすると、目は今読んでいる箇所より先に行かなくてはいけません。抑揚も気にして意味が通るように読むためには、目で見ている内容と、今口にしている内容はちょっとずれるわけです。
このズレがメタ的な意識を鍛えることにつながり、脳にいいのです。ここでいう「メタ的な意識」とは、今の自分を超えた意識という意味です。
速音読は、「もう一つ別のことを考えていられる脳」を鍛えるのにも最適です。まず見開きページを、ストップウォッチを押して読む。つかえず読めるかどうか試していただいて、その秒数を記録します。1回、2回、3回とやっていきますと、たいていは3回目の方が速くなってきます。ある一定量を、何分で読みきると決めるのもいいでしょう。
誰にでも好かれる好印象な話し方のお手本は…
他者に声をかけるときには、特定の相手に届かせようと意識して発話することが大事です。
つっけんどんで投げ出すような話し方、繰り言は、人に無関心で自分にしか興味が向いていないという印象を抱かれがちです。
プロ野球で一時代を築いた長嶋茂雄さんは、誰にも大変好かれる方でした。陽のエネルギーがあって、甲高いしゃべり方は、みなが真似しました。長嶋さんのトーンは高めで明るく、優しめです。
「トーン&マナー」の「トーン」はイメージの統一感、「マナー」はイメージの統一感を保つためのルール、という意味です。
口調はソフトで、テンポがよく明るい。この3点セットがあれば、朗らかに感じられ、さわやかで、若々しい感じになり、機嫌がいい人だと受け止められます。
自分の機嫌で、他人に悪い影響を与えない、という配慮は、年をとるほど必要です。上機嫌であることは、コミュニケーションを円滑にさせる手段として、とても重要だからです。
誰が不機嫌な人とわざわざ話したいと思うでしょうか。外に陰の感情を出さずに、トーンを整えましょう。誰しも気分が落ち込むことはありますが、その状態で人に接することは避けましょう。
そういうときは軽くジャンプしてみたり、手足を温めたり、体をゆるめてみてください。体をこわばった状態から解放すると、自然と気分も上がってきます。
ワンランク上の「上品で知的」な会話に必要な3つの力
さて、もう一段進んで、深い話をすることについて考えてみたいと思います。
通り一遍の話にしないためには、まず話を展開する力「展開力」が必要です。次に核心をつかんでいる「本質把握力」が求められます。最後に「具体化力」があれば相手の心に届かせることができます。
「展開力」は情報力、知識力とも言えますが、話を展開するにはある程度の情報量が必要です。情報を集める際の注意点は、一方向だけの情報ではなく賛同する立場、反対する立場など多角的な視点を意識することです。そして、それらを練る作業をします。いったん自分の中に溜めて発酵するのを待ちます。
みなさんは長年仕事をしてきた中で、ひらめいたアイデアをしばらく頭の中に置いてあれこれ検討しつつ、醸成させたという経験があるのではないでしょうか。それと同じイメージです。
次に「本質把握力」ですが、これがないと的外れな話になってしまいます。今この場で求められているものは何か、情報を持っていれば話はできますが、さらに思考を深めることが必要です。
最後の「具体化力」は、エピソード力です。抽象論で終わらせないためのポイントです。小説や漫画、映画でも、本質は細部に宿っているものです。読んだり見たりした後の感動を人に伝えるのに、エピソードとともに説明すると、一層わかってもらえることが多いのです。
深い話を生むエピソードを探しやすいのは、自分の体験です。特にそれによっていかに自分が変容したかという話は、深い印象を与えます。
体験というのは、これまで出会った人たちとのエピソードも含みます。人間の行動は何かしらの判断によって決まりますが、感心した「判断力」があるはずです。こうしたエピソードを探してはいかがでしょうか。
話し上手は聞き上手!聞く力は「知的好奇心」そのもの
主に話す側としての技術について考えてきましたが、もう一つ大切な要素は、聞く力です。
コミュニケーションの基本は、話すより聞く方が先です。赤ん坊は人の話を聞きながら、言葉を覚えるものです。質問をすることをおすすめするのはそのためです。相づちも、話を聞くときの技術の一つです。
さらに聞き上手になると、話している人の言葉の端々やしゃべり方から、その人の蓄積してきた経験や知識を推測できるようになります。
聞き上手の特徴は、聞いた話を再生するくらいの心構えで、真剣に耳を傾けているのです。人の話を聞いているうちに触発されて、何か別のことを思いつきます。それを質問し、意見を述べると、会話が豊かになり、実のあるものになっていきます。
聞き上手の人は、広い知識を持っています。教養力があるということです。流行りものから歴史、文学、社会情勢まで頭にインプットされていて、人の話に反応できるのです。反応があれば、話す方の意欲が高まります。
聞く力は、知的好奇心のあるなしに左右されます。
流行りの漫画の話をしようと思っても、聞き手が「何それ?」という態度だと、話し手は話を続ける気持ちがそがれます。あいにく知識は持っていなくても、「へえ、面白そう」と興味を示せればいいのです。
知力と聞く力はセットになっています。
次回は、「知的な脳を育てる!とっておきの読書法」をご紹介します。
※本記事は、書籍『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA)より一部抜粋して構成しています。
■斎藤孝さん「50代から始める知力磨き」シリーズを読む■
#1:「老いの不安」から心を軽くする3つのコツ
#2:50代の話し方改革!上品で知的に魅せる会話術
#3:知的な脳を育てる!とっておきの読書法
もっと詳しく知りたい人は、齋藤さんの書籍をチェック!

『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA刊)
60代はまだ若い。毎日できる、頭と心のコンディショニング法!
アイデンティティが揺らぐ60代こそ、脳、心、身体を連動させて、知力を伸ばす。身体と言葉の専門家が、50代のうちに始めておくべき知性を育む日々の習慣、後半生からの知力の保ち方をやさしく解説した一冊。




