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- 断・捨・アンチ離 大切にしたいのは、こだわり、愛着
「断捨離」この言葉に長い間違和感を覚えてきました。ヨガの行方(ぎょうほう)である、断行、捨行、離行が元になって生まれた言葉で、「もったいない」という固定観念から自分を解放し、「執着から離れ、本当に必要なものを取捨選択する」意……なるほど。
違和感の原因は「離」でした
「断捨離」とは、ヨガの行に端を発していて、不要な物を「断ち」「捨て」、物への執着から「離れる」ことにより、「もったいない」という固定観念に凝り固まってしまった心を開放し、身軽で快適な生活と人生を手に入れようとする思想。
―ウィキペディアよりー
なのだそうです。
では、具体的には、どうすることなのか。
1. 断:入ってくる不要な物を断つ……なるほど、世の中、物が溢れていて物に踊らされている感も。
2. 捨:家にずっとある不要な物を捨てる……生活スタイルの変化に伴って必要な物も変化します。
この2点、私の好きな「整理整頓」にも繋がり、物質的ではない豊かさを求める生き方にもピッタリ。なのに、違和感を覚えるのは何故なのでしょうか。
その答えは、3つ目の「離」にありました。
3. 離:物への執着から離れる。
「物」は時として、私たちを遠い過去へと誘(いざな)い、大切な人や出来事を、一瞬にして思い出させてくれる力を持っています。だから私には、物への執着やこだわり、愛着から離れる必要はないと思えるのです。物には、掛け替えのない「心」が詰まっていることがあるのですから。
もう一つの断捨離のあり方
捨てずに活かす……これまでも、古い物を活かすことについて、何回か書いてきましたが、「物」を捨てずにとことん使い切ること、これこそが究極の断捨離ではないかと最近とみに考えるようになりました。
我が家では不要になったけれど○○さん家(ち)でなら役立ちそうと思える物は、もらって頂いたり、私の周りには必要そうな人は見当たらないけれど、もっと視野を広げてみると必要とする人が見つかりそうと、フリマアプリで出品してみたり。
でも、掛け替えのない「心」や「思い出」が詰まった物は自分で使い切りたい。そこで、またもや夫の協力を得て、いろいろな形でのリメイクに取り組みました。
ネックレス
1つめは、ネックレス。人の手を借りずに付け外しできるようにするマグネットの留め具を、生協のカタログで見つけたのがきっかけでした。楽天で検索すると、素敵なデザインの物がたくさん出てきました。後ろ手で留めるのが難しかった短い物に付けてみると、マグネットが引き合ってアッという間に留まりました。
眠っていたネックレスがよみがえったことで、お洒落の楽しみもよみがえりました。手が不自由な私でも簡単に取り付けることができて、自分1人でできた唯一のリメイクとなりました。
バッグ
2つ目は、バッグのリメイク。私は短めのワンハンドルのショルダーバッグをピッタリ体に沿わせて使うのが好きでした。でも、脳出血後遺症のため、右肩の感覚がほとんど無くなった今の私には、右肩にかけるのは無理です。では左肩に……? 左手で杖をつくので杖を動かすのに合わせて落ちてきます。というわけで、斜めがけができる・軽い・自立する・口が大きく開く……が、今の私にとってのいいバッグの条件となりました。
そこで、「斜めがけができる」以外の条件がそろったバッグを目の前に置いて、じっと眺めながら考えました(どう工夫すれば、斜めがけができるようになるのか)と。そこでひらめいたのがこれです。
画面中央下のバッグは10年余り前、娘が、海外旅行用にとアメリカから買って来てくれた物。とても機能的で、小さいのに町歩きに必要な物が全て入ります。縁取りだけが革で本体はナイロンなのでとても軽い。
DIYショップでパンチング模様の入った同系色の革をみつけたので、ブランドマークのハングタグを挟んで、元のベルトとパンチング模様の革ベルトを繋ぎました。パンチングの穴にバッグに元から付いていた長さ調整用の金具を通して留めます。すぐにでも海外旅行に行けそうな気持ちになりました。
中央上のバッグは、25年ほど前のアンテプリマのバッグ。思い切ってワンハンドルをアンシンメトリーに切って両端にリングを通して輪にして縫いました。そこに、9年前ミラノの空港で一目惚れして買ったフルラのショルダーバッグの、取り外し自在のベルトに手を加えることなくそのまま通して長くしました。手を加えていないので、いつでも元のバッグに戻して使えます。
9年前ミラノで買ったバッグのベルトと、25年ほど前に日本で買ったバッグのベルトの幅が同じだったのはラッキーでした。どちらも1000円以下でリメイクできました。英会話には電子辞典を入れて、朗読にはテキストを入れて、サークル活動がリモートでなくなる日が楽しみです。
主夫業に目覚めた夫の力作
1番「離」が難しいのは、タンスいっぱいの着物です。触ってみればみるほどに、日本の「物」の上質さが際だって感じられ、触っているだけで幸せな気分になります。母から譲られた物に加え、60代、70代を和服で楽しむのもいいなと、退職後に京都の老舗呉服屋さんで誂(あつら)えた物もあります。
右半身麻痺の不自由な体になった今では、それも叶わぬ夢となり、古い物から少しずつ私が使える物にリメイクしていくことにしました。
左は、退職後から始めて師範の免許まで取った母が、日本舞踊で着ていた縮緬の色無地から作ったチュニック。雑誌『ハルメク』を見ながら、夫が手縫いしてくれました。ここでしている斜めがけバッグのベルトも、実は帯締めをそのまま使った物で、いつでも帯締めに戻すことができます。
右は、母の地模様入りの羽織から作ったベストです。作ったと言いながらも実は羽織の袖を外して後ろ前に着ただけ。後ろの開いた部分には、帯締めを4等分に切り、2本が×(バツ)になるように、2か所に留め付けました。首回りの開いた所には、共布で作ったリボンを縫い付け、1周りさせて首元で蝶結びにしています。後ろで蝶結びにして長くたらしても素敵です。
2着とも、「新しい物はできるだけ買わない・増やさない」と考えるようになった私の、貴重なお出かけ着となりました。
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