クリスマスには鯉?
2021.12.172022年10月13日
手描きだからこその一筆入魂
自分好みの“だるまさん”を探しに出かけよう
埼玉県越谷市にある、「島田達磨(だるま)総業」へ行ってきました。ひと言で「だるま」と言いますが、実はすごく奥深いことを、55歳を過ぎて初めて知りました。
江戸時代からの継承
越谷だるまは、江戸時代から続く手工芸品です。
かつて、稲刈りを終える9月以降どこの家でも作っていましたが、現在はわずか4軒。「島田達磨総業」の島田和明さんは、農業を辞め年間を通してだるま作りに専念していると言います。
都心から近く、輸送時の破損リスクが少ないため、東京都内に需要が多い島田さんのだるま。私が毎年行くお酉さま(酉の市)にも、島田さんは卸しているそう。確かに、我が家のだるまと同じ顔をしています。
職人の魂
越谷だるまの特徴は、高い鼻と白い肌、曲線の背部、家ごとに違う独自の顔立ち。
すべて手描きのため、微妙に違う、この世に二つとない代物だそうです。
島田さんは、眉頭に寿の文字、眉尻に亀の絵、口髭は鶴、口は飛び立つ鳥、あご髭は富士山を象っています。これは、ご自身のお父様より、お父様はおじい様よりと代々受け継がれたものだそう。
ですが、若い頃は「達磨職人なんて絶対にやりたくない」と思っていたとか。それでも継承している理由を尋ねると「やっぱり跡取りだからね、自分がやらなくちゃ」と、照れ笑いを浮かべていました。
閑散期には、市内小学生の工房見学を受け入れるなど、伝統の継承にもご尽力されています。
酉の市にはだるまさん
胡粉と膠(ニカワ)を使うだるま作りの大敵は、湿気と高温。土台に使う動物性の材料はカビや腐敗に、表面の金塗は錆や変色の原因に。そのため、エアコンと大型扇風機を、フル稼働しているそうです。
「人間のためのエアコンじゃないから」と笑いますが、実際厳しい作業に思えました。
島田さんは終始「だるまさん」とおっしゃり、「さん」という敬称に、だるま作りへの情熱と誇りを感じます。2022年のだるま市では、一つ一つの表情を楽しみながら選びたいと思います。
■2022年酉の市
一の酉 11月4日(金)
二の酉 11月16日(水)
三の酉 11月28日(月)
だるまさんを買ったら、目標を掲げ向かって右(だるまの左目)に入魂。
墨は濃いほうが良く、一度にたっぷり墨を付けずに何度も重ね塗りをすると、流れず描くことができるそうです。
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