50才からの転職(21)

50代で会社をやめて起業を考えている人へ

公開日:2022.03.07

2017年53歳で、業界未経験で不動産屋を開業したまつしたあやこです。雇われて働いていたころ、起業した側の人の生活は「未知の世界」でした。それが気づいたら自分が「未知」の側にいます。今回は「起業」をテーマに書かせていただきたいと思います。

未知の世界は行ってみると“ふつう”でした

未知の世界は行ってみると“ふつう”でした

2017年7月、自宅の六畳ひと間を事務所にし、不動産屋を始めてはや4年8か月が過ぎました。今も変わらず私一人の会社で、「社長」と呼ばれるのもおこがましいですが、景気の先行きが不透明な今日、起業を考えている人が増えているらしいので、なにかヒントになればうれしいです。

「不動産会社を経営」というと、なんかすごいと思われるようでびっくりします。法人格を持っていることで、さらに「すごい」と思われるのですが、法人設立は誰にでもできますし……。私も以前はそう信じていましたが、「社長=お金持ち」のイメージを持たれることに、今は抵抗を感じます。

しかし、いつのまにか付き合う人が、経営者ばかりになっていることに気づきました。以前の職場の人たちとは、話題が合わなくなってしまったのです。それがいいとか悪いとかではなく、立ち位置が変わると、見えるものが違ってくるんだなぁということを肌で感じています。

未知の世界は行ってみると“ふつう”でした
社長のイメージはこんな感じ?

みんなが一番悩むのは、それで食べていけるのかということ

会社を辞めて、食べていけるのか?

起業を考えている人の、一番聞きたいことはここだと思います。私は売上げがゼロの月が、最初のころは何か月もありました。当たり前ですが、精神的にかなりきつい時期です。

でも1期・2期と過ぎていくうちに売上げも伸びてきて、今はおかげさまで雇われていたころより、収入ははるかに増えています。

「不動産業の場合は」というお話しかできませんが、この世界は、資金力か人脈のどちらかがあれば、食べていけます。資金力があれば、みずから物件を仕入れて再販すれば儲かるし、人脈があればどこからともなく仕事が入ってきます。

私の未経験にして初の売買取引は、高校のときの友人から30なん年ぶりに連絡をもらって引き受けた、億近くの案件でした。そのとき手にした報酬は、約300万円です。もちろんそんな話は、そうしょっちゅうはありませんが。

小さな野望とワークライフバランス

小さな野望とワークライフバランス

そもそも私は、起業して会社をどんどん大きくしようという野望を抱いて、不動産屋を始めたわけではありません。人生後半は、雇われずに好きなことをして生きたい、少しだけ世の中の役に立ちたい、そして自分一人が経済的に困らない程度に稼ぎたいという、小さな野望を持って起業したのです。

そういう意味では、5年近く続けてきて、成功しているといえるかもしれません。誰の許可も必要とせず、自分の稼ぎで大学に行って、絵を描いてと、自由に生きています。

でも同業者と比べると、あまりにも規模が小さくて、儲けもそこそこで、自分は経営者なのに全然だめだと、落ち込んでしまうことも度々です。私自身がまだ「社長=お金持ち」でなければならないという思い込みを、捨てきれていないようです。

人生後半戦をどう生きるか

人生後半戦をどう生きるか

簡単に「起業すればいいよ」と無責任なことは言えません。でも具体的な構想があるなら、人生後半戦、挑戦してみるのもありなのでは、と私は思います。もちろん、下準備は念入りに。

必死でやってみて、だめだったら、またどこかで雇われればいいんですよ

経営者の共通点は、楽天的思考というところです。私も、いやなことを忘れる能力だけは、人一倍長けています(笑)。

 

■もっと知りたい■

まつしたあやこ

まつしたあやこ不動産合同会社代表。53歳のときに契約社員の化粧品販売員から、まったくの未経験で不動産屋を開業。そして56歳で社会福祉士国家資格を目指して大学に編入と、50代からの挑戦ストーリー。「すべての女性をハッピーに」をモットーに、私なりに考え発信していきたいと思います!

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