小池真理子さん|人生の伴侶を亡くして、今思うこと
2024.09.292022年03月05日
ちょっといいはなし
お転婆でおちゃめな義母が100歳になりました(後)
義母は2022年2月に100歳になりました。大正11年関東大震災の前年に生まれ、3男1女に恵まれましたが、40代で夫と死別。その後独り身で令和まで生き抜いてきました。お洒落でお転婆で、好奇心旺盛な義母のエピソード後編をお送りします。
長寿の秘訣は食生活にあり
「お転婆でおちゃめな義母が100歳になりました(前)」に続くエピソードです。
義母が一人暮らししていたときのことです。
早朝、突然義母のもとを訪れたことがありました。ちょうど朝食をとっていましたが、その中身に驚きました。
食パンの上にしらす干しが敷き詰められ、ハムとチーズが乗っていました。その脇にはサラダ菜・トマト・きゅうりが盛られたサラダボールとゆで卵があり、マグカップには温かい牛乳がたっぷり注がれていました。
こんな栄養バランスがとれた朝食はホテルの朝食以外知りません。昼食も夕食も推して知るべしです。しっかりとバランスがとれた食事は、どんな薬にもかないません。
おかげで、何度転倒しても骨にヒビすら入ったことがなく、昨年(2021年)まで自分の足でしっかり歩いていました。
長寿の秘訣は好奇心にあり
義母は好奇心旺盛ですが耳が遠いので、ラジオやテレビからよりも、活字から情報収集するのが好きでした。
以前より新聞を読むのが大好きでしたが、ホームに入居してからは、時間がたっぷりできたので義母が楽しく読める雑誌を探すことになりました。高齢者が読んで楽しめる雑誌、それはありそうでなかなかありませんでした。
そして雑誌『ハルメク』の前身、『いきいき』にたどりつきました。
義母のところに直送すると遠慮してしまうので、一度私の所に送ってもらい、義母のところを訪問するときに持って行こうと考えました。我が家では「ハルメクが来たよ」が義母訪問の合言葉になりました。
実際、『ハルメク』を持って訪問すると、義母はすごく喜び、隅から隅までじっくり読んでいたようです。ハルメクさんとご縁ができたのも義母のおかげです。
長寿の秘訣は負けず嫌いにあり
以前通っていた、デイサービスの頭の体操クイズのお話です。
訪問すると義母はいつも「全問正解! 花まる100点」と大きく書かれた用紙を自慢げに見せてくれました。ところがあるときから、全問正解できなくなってしまいました。その途端、あんなに楽しみにしていたデイサービスに行くのをやめてしまいました。
また、介護認定の調査日のことです。体力テストのとき、いつもの何倍もがんばってしまい、後からあちこち痛くなりしばらく大変だったようです。認知症の暗記テストも、全問正解するまで何度もやり直しを求めました。
あのときは、若いイケメン調査員が来たから特に張り切ってしまったのかもしれませんが「できない自分を許せない」これも長寿の秘訣だと思います。
長寿の秘訣はお洒落心にあり
義母は、どんなに暑い夏でも長袖しか着ません。その理由は腕がシワだらけで、二の腕が下がっているのを他人に見せたくないからだそうです。
あるとき、私が指にけがをしてばんそうこうを巻いていると「所帯じみてみっともない。これにかえなさい」と液体ばんそうこうをくれました。言われた通り塗ってみると、傷口に沁みて痛いのなんのって! すぐにばんそうこうに戻しました。
また、一緒に温泉ホテルに行ったとき、義母の背中を流し湯船に浸かったので安心していると、次の瞬間浴場から姿が消えて大騒ぎになりました。後から義姉に聞くと、いつも「老いさらばえた姿を他人様に見せたくない」と言っていたということで、大浴場は例え温泉でも長居したくない場所だったようです。
いつも人の目を気にして凛として生きる。これも真似のできない長寿の秘訣かもしれません。
最後に
上の写真に写っているピンクのカーディガンは、私が昨年(2021年)のお誕生日にプレゼントしたものです。明るい色が大好きで、とりわけピンクが好き! ピンクの服をプレゼントするとすぐに当てて鏡を見るお洒落さんです。
また、この写真のピンクの帽子は、転倒した際に頭部を守るものです。寝ているときもかぶって欲しいと購入しましたが、かわいらしいピンクだったのですぐに気に入ってかぶってくれました。
ピンクのかわいらしい装いで、これからもずっと長生きして欲しいものです。
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