四肢失っても「人生に絶望なし」中村久子72年の生涯
2023.05.042024年01月14日
手足なくとも光あり・中村久子#第3回
中村久子|20歳、自立。見世物小屋で「だるま娘」に
中村久子さん(1968年死去)をご存じでしょうか。3歳で病気のために両手足を失うも、すさまじい努力と強い精神で、家事も仕事も切り開いて生き抜いた人です。見世物小屋で「だるま娘」として舞台に立ち自立を目指した姿、久子さんの生涯を紹介します。
「これが本当の親なのか」と冷たいまでに厳しい母
1年ほどたち、幸いにも光を取り戻した久子さんに、母は厳しいしつけを始めます。まず言いつけたのは、仕立て替えするきものをほどくこと。「できません」と音を上げる娘に、母は容赦なく言い放ちました。
「できないからといってやめてしまったら、人間は何もできません。やらねばならんという一心になったら、やれるものです。できないのは横着だからです」
冷たいまでに厳しい母を「これが本当の親なのか」と恨みながら、...