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- 父の気持ちに寄り添って重ね合わせる幸せ感
4年ぶりに叶った父との再会。私の住む東京から遠い地の施設に入所してしまい、携帯の取り扱いができない父とは話すことも会うこともずっとできなかったのです。
耳に残るうれしそうな父の声
前日に施設へ訪問の確認電話をした際に、父と数分間話すことができました。少しかすれた声でも「元気にしちょるでー」の受話器越しの大きな声にホッとしました。
自宅から高速を使って3時間弱の少し早い到着。はやる気持ちを抑えて、入り口で待っていると、父は車いすに乗っていました。
不安を覚えつつ「お父さん、ちょっと出かけよう」と後部座席に寄せると、父の潔く立ち上がる姿にこれまたびっくり。ただ加速する筋肉の衰えに運動不足で、乗り込む時は脚を一本ずつ自分の手で持ち上げなければなりませんでした。
近場の鶯谷公園で
緑豊かで池のある素敵な公園ですが、父との大切な語りあいの時間にすることにしました。
父は母のことが大好きだったので、亡くなる少し前に撮った動画を見せたら…。
「この人誰?」
ボケ始めている? と不安がよぎりましたが、私の携帯に入っている父のお気に入り写真(母とのツーショット)を見せた途端、「あらーお母さんや。お母さんのことが好きやったんよ……」と口下手どころか饒舌に話し始めたのには目が点状態。
うれしそうに、本当に幸せそうに話す父の表情に、私までハッピーな気分になります。
その後どの辺までの記憶があるのか試していくと、大分市内在住の母の夢が叶った2人仲良く散歩をしている頃の顔でした。
難病の母を父が介護するようになってからの嫌な思い出は、消したかったのかもしれません。まあ楽しい思い出はしっかり覚えていたことが分かり、安堵したところで食事をすることにしました。
一緒にカキフライ定食
父のリクエストは好物のとんかつと思いきや、カキフライでした。
母との出会いのエピソードを恥ずかし気にその反面うれしそうに話す父と、揚げたての大きなカキの身を十分に味わいました。長居をしないよう言われていたので、施設に戻ることに……。
父の個室は誕生会のメッセージカードや写真が飾られていて、職員方の思いやりが伝わってきます。
「大広場に行くと賑やかでな、全然寂しくないんよ」と父。趣味のテレビと新聞のある毎日を気兼ねなく過ごせることは、父の言う「天国」なのかもしれません。
今日の再会が父にとって素敵な思い出になりますように。
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