発酵食で免疫力アップ!人気「酢の物」レシピ
2021.07.062022年08月29日
特別連載〜こころがたり 花の来た道〜・1
しょうゆ糀、甘糀…横山タカ子さんの発酵食レシピ
長野県に伝わる郷土食の”守り手”として注目を集める、料理研究家・横山タカ子さん。伝統を受け継ぎながらも自分らしさを加えた発酵食レシピが「横山レシピ」として人気です。今回は簡単おかずレシピと万能調味料、しょうゆ糀と甘糀の作り方を紹介します。
料理研究家・横山タカ子さんのプロフィール
よこやま・たかこ 1948(昭和23)年、長野県大町市生まれ。長野の郷土食の知恵を生かした家庭料理や保存食を提案。NHK「きょうの料理」などテレビ・ラジオで活躍。年300日は着物で暮らし、古き良き生活の知恵を取り入れたライフスタイルも人気を集めている。新著に『信州四季暮らし』(地球丸刊)など。
漬ける・干す・発酵は信州の郷土食の得意分野!
JR長野駅から車を走らせること10分。長野市内を見渡せる高台に、横山タカ子さんの自宅はあります。
「ようこそおいでくださいました。さあ、中へどうぞ」。
着物にたすき掛けという凜とした姿で出迎えてくださった横山さん。玄関を入ってまず目に飛び込んできたのは、梅や杏、ブルーベリーなどの果実を漬けた色とりどりの瓶たちです。
「漬ける、干す、発酵させるのは、寒さの厳しい冬に備えて食材を保存する食文化が根付いた信州の得意分野です。我が家では毎日必ず発酵食や保存食を取り入れています」
敷地内にある漬物小屋には信州名物の野沢菜漬けをはじめ、梅の甘漬けや、奈良漬け、粕漬け、たくあんなどが眠る樽が10個以上。漬物としてだけではなく、サラダや煮物などにアレンジして食べているのだそう。
「我が家で食事した人は、みなさん『おなかの調子がよくなった』とおっしゃるんですよ」
信州の郷土食が体にいいということはさまざまな研究で立証されてはいるものの、ツヤツヤとした肌と髪の横山さんを目の前にすると、なるほど、納得がいきます。
横山タカ子さんの極意「素材そのものが生きる料理を」
北アルプスを望む長野県大町市の米農家に生まれた横山さん。農作業の合間に手早くおいしいご飯を作ってくれた母の姿に影響を受け、30代で料理の道へ。
甘酒や塩糀がブームになるずっと前から、地元で食べられてきた糀やみその力を研究し、信州の食の知恵として広めてきました。
横山さんの仕事場である台所には、いつも音楽が流れています。定番のBGMはFMラジオの番組かジャズ。割烹着姿の横山さんがジャズや洋楽にリズムをとりながら鍋をかき混ぜる姿は粋に映ります。
「うん、よし。最高においしくできた!」
いいにおいとともに横山さんの声が弾みます。この日の昼食は、みそだけで味付けした「みそ焼き鳥」と、酢じょうゆだけであえた「素揚げポテトのサラダ」。それに具だくさんみそ汁とたっぷりの漬物。わずか30分程度で手早くパパッと作ってしまいました。
「料理はね、余計なことをしないのが一番なの。手をかければかけるほど、素材が本来持つ味と栄養素が失われていくものなんです」
レシピも味付けからではなく、まず「素材そのものをどうしたら生かせるか」から考えると言います。調味料はみそ、塩、こしょう、しょうゆ、みりん、酢が基本。台所がスッキリしているのは、道具も調味料も多くを必要としないから。「みそ汁や煮物には煮干をそのまま入れたり、肉を加えて煮たりすれば、あえてだしをとらなくてもそれでうま味は十分なんですよ」
長野県では「横山レシピ」が嫁入り道具に!
簡単だけど手は抜かない。手軽でおいしい横山さんのレシピは若い女性からも支持され、料理教室も募集をかけるとすぐ定員いっぱいになってしまいます。
その人気ぶりは「長野の女性は横山さんのレシピ本を持って嫁ぐ」という逸話が生まれるほど絶大です。「嫁入り道具に私の本を、なんてのは言い過ぎだけど、もしそうしてくれている人がいるならうれしいわ」とほほ笑む横山さん。
「信州という気候や風土で育まれてきたこの食文化を若い世代につないでいく。それが料理研究家としての私の役割だと感じています」
味付けは、しょうゆ、酢、みそだけ!みそ焼き鳥(2人分)
モモ肉(250g)をひと口大に切り、みそ(大さじ2)をもみこんでひと晩置きます。タマネギ(中1個)とシメジ(100g)をそれぞれ食べやすい大きさに切り、モモ肉とあえてクッキングシートを敷いた天板にのせ、200℃のオーブンで17〜20分ほど焼くだけ。みそをしっかりもみこむことで、肉がふっくらと焼きあがります。
素揚げポテトのサラダ(2人分)
素揚げして冷ましておいたジャガイモ(130g)に、スライスして塩もみしたキュウリ(1/2本)と赤タマネギ(1/3個)、トマト(1個)をカットして加え、酢と薄口しょうゆ(それぞれ大さじ1)であえれば完成。シンプルな味付けで、野菜そのもののうま味が引き立ちます。
かけだれ、あえ物に大活躍 「しょうゆ糀」
糀(200g)をボウルに入れ、しょうゆ(200ml)を注ぎ、木べらなどで大きくかき混ぜる。1週間ほど(夏場は3日ほど)常温に置き、1日に1、2回かき混ぜて発酵させれば完成。冷蔵庫で1年ほど保存可能※
しょうゆ糀で一品アレンジ!蒸し鶏のしょうゆ糀がけ
材料(2人分)
- 鶏ムネ肉 …… 1枚
- ナス …… 2本
- 赤ピーマン …… 1個
- しょうゆ糀 …… 適量
- 塩、酒 …… 各適量
作り方
- ムネ肉に塩と酒をもみこんでおき、ナスと赤ピーマンは切って水にさらしておく。
- ムネ肉の表面をフライパンで軽く焼く。
- 蒸し器に野菜と一緒に入れて8分(ムネ肉は表、裏各4分)蒸したら1時間置き、余熱で中までしっかり火を通す。
- ムネ肉を切って器に盛り付け、しょうゆ糀をかける
スイーツやドリンクの甘味に!甘糀
糀(300g)を電気炊飯器の内釜に入れ、塊があったら手でほぐす。水(500ml)を注ぎ、保温スイッチを入れて2時間置けば完成。冷蔵庫で1週間ほど保存可能※。
甘糀で一品アレンジ!桃スムージー
材料(2人分)
- 桃 …… 1個(桃の代わりにリンゴやメロンでもおいしくできます。)
- 甘糀 …… 300ml
作り方
- 桃の皮を湯むきする。
- 桃を適当な大きさにカットし、甘糀と一緒にボウルに入れる。
- ハンドミキサーで滑らかになるまで混ぜて、氷を入れたグラスに注ぐ。
※保存には、煮沸消毒した密閉容器を使いましょう。保存期間は目安です。
取材・文=小林美香(ハルメク編集部) 撮影=安部まゆみ
※この記事は、「ハルメク」2017年11月号で掲載された『こころがたり花の来た道 料理研究家 横山タカ子さん』を再編集、掲載しています。
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