50代女性の体験談シリーズ:介護編 #2

在宅介護10年目、突然の出来事——母のひと言で施設入居が動き出した

在宅介護10年目、突然の出来事——母のひと言で施設入居が動き出した

更新日:2025年12月23日

公開日:2025年12月17日

在宅介護10年目、18年に及んだ親の介護と向き合った50代主婦・まいこさん。排泄介助への戸惑い、施設入居をめぐる葛藤、そして母が口にしたひと言とは。第2話では、入居を決断するまでの揺れる心と、在宅介護中に本当に役立った6つの備えを綴ります。

転倒と骨折——その日は突然やってきた

在宅介護が始まって10年ほど したある日、母が室内で転倒しました。食器棚のガラスを割って倒れているところをヘルパーさんが発見。救急搬送、病院の付き添い、片付けまで——。あのときほどヘルパーさんがありがたいと思ったことはありません。 

その手際と寄り添いに深い感謝の気持ちでいっぱいになる裏側で「とうとうこのときが来たのか」 という怖さも感じていました。

母は数か月ほど入院することに。退院後、母は車いす生活になり、介助が本格的になりました。

特に排泄の問題は、 母にとっても私にとっても切ない出来事でした。玄関を開けるとわかるカーペットのしみ。 自力でトイレに行こうとした母の努力もわかり、泣きながらお風呂に入れたこともあります。

ケアマネさんから 「排泄のサポートが増えてきたときに入居を考える人が多い」と言われた言葉が頭をよぎりました。

「今なのかもしれない……」

でも、落ち着いたときの母の寝顔を見ると「私がもう少しがんばれば在宅期間を延ばせるのかも」という気持ちにもなります。施設にお願いして安心したい自分と、もう少しがんばらなければという葛藤がありました。

そんなふうに迷えたのは、施設の仮予約というカードを私が持っていたからです。いざとなったら頼れるという心のよりどころがあったからこそ、在宅介護を長く続けられたのだと思います。

 転倒と骨折——その日は突然やってきた
ガラスが割れた食器棚の前で

入居は思いがけず母からの申し出で…

そんな私の迷いを聞いたケアマネさんが、「小規模多機能型居宅介護」の利用を提案してくれました。

小規模多機能型居宅介護とは、住み慣れた自宅・地域での暮らしを最期まで続けたい高齢者のために作られた、在宅介護を支える地域密着型サービスのこと。一つの施設で、利用者の状態に合わせてデイサービス・訪問介護・ショートステイを柔軟に利用できます。

私が望んでいるサポートがすべて叶う、ありがたい施設でした。こういう情報を得るにも、普段から遠慮しすぎずケアマネさんに不安を相談しておくことが大事だと思います。

そして、何度かのお泊りを経たある日、母がこう言ったのです。

「スタッフさんがいてくれると安心して眠れるから施設に入りたい」
その言葉を聞いた瞬間、「今が介護施設への入居のタイミングなのかもしれない」と感じました。

母の意思で施設に入る 。それは私の罪悪感を消してくれる母の思いやりだったかもしれません。早速事前に準備していた施設への問い合わせを始めました。

入居は思いがけず母からの申し出で…
入居用のパジャマを選ぶ

在宅介護中に「本当にやってよかった6つのこと」

振り返ってみると、在宅介護を続けられた背景には、事前にやっておいてよかったことがいくつもありました。

1:最初に必ず「地域包括支援センター」に相談
どのサービスが使えるかを早めに把握し、一人で抱え込まない仕組みづくりを。

2:早めに介護施設を見学に行く
実際に行き、目で見て話を聞くことで、介護レベルやアクセス面など、具体的なチェックポイントが見えてくる。

3:介護施設は“仮予約”で候補を確保
いざというときに頼れる場所を押さえておくことで、在宅を続ける余裕と心の支えに。

4:重要書類とお金の管理を早期に整理
通帳・印鑑・保険証書・年金額・貯蓄を親と共有し、銀行の「代理人登録」を済ませておく。

5:在宅中に“お泊まり”できるサービスを活用
小規模多機能型居宅介護など、デイサービス・訪問・ショートステイを組み合わせて負担を軽減。

6:入居判断のサインは「排泄介助の増加」
ケアマネも目安にするポイント。本人の希望や安心感も大切にしてタイミングを見極める。

いよいよ本格的に進み始めた介護施設への入居。けれど、安心できるはずの場所で、思いもよらない壁に直面することになります。

▶次回は、入居して初めて見えてきた問題点と、母にとって本当に必要だった支えについて綴ります。

HALMEK up編集部
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