突然遠距離介護が始まった一人暮らし女性の体験記#2

焦りと不安で介護疲れに…弟の介護・親の安心・私の幸せを両立する方法は?

焦りと不安で介護疲れに…弟の介護・親の安心・私の幸せを両立する方法は?

更新日:2025年08月27日

公開日:2025年08月19日

焦りと不安で介護疲れに…弟の介護・親の安心・私の幸せを両立する方法は?

弟の介護、両親の安心、そして自分の将来――すべてを守りたいのに、焦りや不安で心が限界に近づいていく毎日。50歳おひとりさま女性が、突然の遠距離介護を通して、障がい者支援制度や医療・介護サービスを利用しながら「家族も自分も幸せになれる道」を探していくリアル体験談です(全4回)

“残り4か月”で弟の半身麻痺はどこまで改善する?

“残り4か月”で弟の半身麻痺はどこまで改善する?
 nisimu / PIXTA

入院から2か月目、弟のリハビリが始まりましたが、右半身の麻痺は思うように改善せず、家族全員が焦りを募らせていました。でも、入院直後から、医師や看護師から「うつ傾向に注意」「できるだけ家族が寄り添って」とアドバイスされていたので、厳しい言葉はかけられません。

リハビリは週3回。病院に併設されているリハビリ施設で行います。弟の場合、医療保険での回復期までのリハビリは、発症から最長180日(約6か月)。

同じ病気にかかった友人からも、「回復は最初の半年のリハビリが鍵」と言われ、この半年でなんとかしないと…と焦りが加速します。

まさかの個室ベッド代13万円超…老後資金が揺らぐ瞬間

まさかの個室ベッド代13万円超…老後資金が揺らぐ瞬間
 Luce / PIXTA

両親はお金のことを黙っていましたが、調べてみると個室使用料は最低でも1日4400円。高額療養費制度の対象外なので、 月額では13万円以上の自己負担になります。弟の医療保険や休業補償があったとしても、大きい出費です。両親は自分たちの老後資金を切り崩しているのでは……。

心配して聞いてみるも、父は「気にしなくて大丈夫だ」の一点張り。

見舞客の面会をほぼ断り、うつ病ぎりぎりのところで踏ん張る弟に、少しでもいい環境で入院生活を送ってほしかったのでしょう。当時はいろいろな感情を抱えて、家族の誰もが冷静になれていなかったように思います。

事故から3か月ほど経った頃、病院の医療ソーシャルワーカーから「そろそろ退院後の生活設計を考えていきましょう」と告げられました。

あと3か月しかないのに、まだトイレにも介助が必要な状態。看護師さんのような介助を自分が毎日することになるんだろうか……そう思うと、思わず

「もっとがんばらないと!」

「このままじゃダメでしょ!」

と、弟に厳しい言葉を投げかけてしまいます。なんとか「これ以上、みんなに迷惑をかけないで」という言葉だけは必死で抑えましたが、内心では叫んでいました。

「がんばれ」はいじめ?幼なじみの一言で救われた50代の私

「がんばれ」はいじめ?幼なじみの一言で救われた50代の私
 Ushico / PIXTA

同じ頃、ふと愚痴をこぼした私に、介護の仕事をしている幼なじみが言った言葉は今でも心に刺さっています。

「どうしてもできないことをやれって言い続けるのは、いじめに近いものがあると思うんだよねえ」

その言葉で、私は自分の都合で弟を追い詰めてたのかもしれないと気付かされました。

後から聞くと、体格がいい弟は、重心が片方に偏りすぎると膝や関節を痛めて再起不能になる危険があり、医師から10㎏の減量が先決と、リハビリは負担がかかりすぎない程度の量に調整されていたのです。

私に何を言われても、言い返すことなく、コツコツ、リハビリに励んでいた弟。

事情を知った幼なじみは、その後、時間を見つけては私をドライブに連れ出してくれました。家族と離れ、リフレッシュの時間をくれるさりげない気遣いに、とても救われました。

地方で中古住宅を買う?50歳派遣社員の“二択”の重圧

地方で中古住宅を買う?50歳派遣社員が抱く“二択”の重圧
 beauty-box / PIXTA

父の調べでは、弟が回復しない場合、障害者2級認定が見込まれるとのこと。このまま今の会社で働くことは厳しく、退職することになります。

そのため、実家での同居を検討しましたが、坂道が多く、豪雪地域の住宅問題が浮上しました。

  • 豪雪地域の3階建て住宅で玄関までの階段が20段
  • 浴室やトイレの改装が必要
  • 近隣には坂道や舗装されていない農道も多く歩きにくい

バリアフリーの改装費用は350万円~500万円。市から受けられる住宅改修の補助は上限が20万円で、現実的ではありません。

そこで両親が「ここより障害者就労支援施設が多く、復帰後の生活基盤が整っている地域にバリアフリー住宅を買おう」と提案してきました。さらに「私も同居して、弟の生活支援をする」という案です。

私は実は、フリーランス契約を3年続けた会社から正社員登用の話をもらい始めた頃でした。頑張り続けて、あと一歩のところ。それに職場だけでなく、ここには大学生時代から築いた人間関係もあります。

じゃあ今、地元に引っ越したら?

50代、就職に有効な資格などもないし、介護との両立をと考えると、正社員としての再就職は難しいかもしれません。

「独身なんだから当然でしょ…?」周囲の無言プレッシャー

「独身なんだから当然でしょ…?」周囲の無言プレッシャー
Pangaea / PIXTA

地元の求人情報を調べると、一般事務職の平均年収は320万円で、都心よりも低いことがわかりました。これでどうやって、家のローンを払い、自分と弟の生活費を賄えばいいんだろう。親は援助をするというけれど、親の亡き後に助けてくれる人はいなくなるのに。一方で

「独身だから時間があるでしょう」

「ほかの兄弟は子育てに忙しいからしょうがない」

「家族で助け合うのは当然でしょう」

はっきり言葉にしなくても、周囲の会話の端々から私への期待が重くのしかかってきます。確かに独身で子育ての負担はありませんが、だからこそ自分ひとりの将来への不安や責任は大きいのに……。

正直、独身者の老後に必要な貯金額は2000万円といいますが、まったく足りません。年金も多くはもらえないので、働けるうちにしっかり貯蓄をしておく必要があります。

月2回の帰省の度に、弟もですが、親の疲れた姿を見るのがつらくなってきました。

どうしよう。不安で押しつぶされそうだけど、私が田舎に帰れば、全部丸く収まるのかな、私さえ我慢すれば――。

介護疲れを防ぐ 3つの“実践アクションプラン”

介護疲れを防ぐ 3つの“実践アクションプラン”
*hanabiyori* / PIXTA

介護は制度やサービスを理解し、適切な支援を受けることがとても重要です。同時に、介護する側のサポートも上手に利用して「共倒れ」にならないようにしましょう。

介護・介助のサービスを利用する

介護保険制度の範囲でも、場合によっては高齢者や障害者向けの訪問介護やデイサービスを利用することができます。市町村の福祉課や介護保険担当窓口で、サービス情報や申請手続きについて相談してみましょう。

お金の保障、助成制度を利用する

親や自分の老後資金を切り崩すのはNG。本人の障害者年金や医療費助成制度を利用すると経済的負担を軽減できます。まずは市町村の社会保険事務所や障害者福祉課で、対象条件や申請手続きの情報を得ましょう。

コミュニティに参加する

介護する側のコミュニティは、同じ状況や悩みを持つ人と情報交換や、愚痴を言い合える場所。私はWEB上の障がい者の家族のコミュニティに参加して、愚痴をこぼしたり、さまざまな情報やアドバイスをもらっていました。


介護中はストレスをため込まないことも重要です。情報収集を進めて賢く利用して、負担を軽減。家族や友人と支え合い、趣味やリラックスの時間も忘れずに過ごしましょう。

次回予告
次回は、ストレスが極限にたまってしまった私がした最悪の選択。そして、介護をスムーズに進める方法をご紹介します。

※本記事はあくまで個人の体験談であり、全ての人に当てはまるものではありません。また、各種制度は変更される可能性があるため、実際の利用時は必ず最新情報をご確認ください。

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

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