突然遠距離介護が始まった一人暮らし女性の体験記#4
50代、遠距離介護・介護離職からの再出発──弟と私の新しい生き方・働き方
50代、遠距離介護・介護離職からの再出発──弟と私の新しい生き方・働き方
更新日:2025年09月10日
公開日:2025年08月19日
50代で介護離職を決断――突然の遠距離介護で人生が一変
遠距離介護に耐え切れずに介護離職を選んでしまった私。でも生活の支えをなくし、人付き合いが家族に限定されていくと、日に日に「これからどうすればいいのか」と不安に押しつぶされそうになっていきました。
調べてみると、日本では中高年層に特に深刻な問題として広がっていて、50代の介護離職者は7.3万人とも言われているそうです。(※)
※出典:厚生労働省「雇用動向調査」/2023年
介護は一人で抱え込むものではなく、家族や周囲と協力して取り組むものですが、その道筋を見つけるのは容易ではありません。
就労A型事業所の利用で見えた弟の自立と日々の変化
すべてが一変したあの事故の日から1年半。周囲の協力もあり、弟は、介助サービス付き共同住宅から作業所に通う生活が始まり、毎日の暮らしが少しずつ安定してきました。
次第に、ふさぎがちだった弟に明るい笑顔や大きな笑い声が戻ってきました。何歳になっても、おじさんになってもかわいい弟。その笑顔が何より嬉しかった。
作業所ではチラシなどの封入作業やデータ入力の作業を行い、 8時~17時まで、週5日フルタイムで働くことに。送迎バスや昼食のお弁当の料金が差し引かれるので、手取りは6~7万円ほど。
休日は自宅でゆっくり休んだり、家族が気晴らしにドライブなどに連れ出したり。弟は日々の基本的な生活リズムを、そして収入を得て自分なりに暮らす自由を取り戻しつつあります。
今の状態であれば、弟は貯蓄をこれ以上切り崩さなくても日々やりくりをして、自立した生活をしていけそうな見通しがついてきました。
人生後半、私が「田舎暮らし×再就職」を選んだ理由
弟の生活が安定し始めたことで、私自身の「社会復帰」にも向き合う心の余裕ができてきました。51歳……不安でいっぱいでしたが、友人たちの励ましに背を押され、自分の働き方を少しずつ探し始めました。
とはいえ、再び都会に戻る選択肢はなく、今後訪れるであろう老親の介護なども考えて、ある程度の仕事があり、公共交通の便もある、そしていざというときに実家と行き来しやすい地方都市をセカンドステージの場所に決めました。
以前は、介護のせいでしょうがなく、自分のためではなく家族のため……とネガティブモードだったので、何もかもが都会に劣って見えていましたが、1年ほど暮らすうちに、自然が豊かでのんびりした雰囲気も、家族が近くにいるあたたかさも、これからの人生には必要かもしれない、と思うようになっていたからです。
自分がもし弟のように何かあったとき、都会で暮らしていたら、同じかそれ以上の苦労を家族にかけるかもしれない。そう考えると、戻る選択肢は自然と薄まっていきました。
51歳からの社会復帰――リモート副業で月4万円からの再出発
ときどき近況をやりとりしていた元同僚は「落ち着いてよかったね。復帰するなら、やってみない?」と、リモートでできる仕事を紹介してくれました。慣れた仕事、月4万円ほどの副収入、これをベースに少しずつ進む勇気を持つことができました。
今回の経験から、介護休暇などを取れる会社がいいと正社員を希望していましたが、希望の職での採用は厳しく、今は親族の紹介で契約社員として会社勤めをしています。生活のためとすんなり割り切れたのは、いざとなれば副業がある、自分の経験を生かす場がほかにあるということもあったかもしれません。
収入は以前の3分の2以下に減りましたが、地方暮らしで家賃が以前の約半分になり、外食や買い物の出費が減ったため、生活費は収入内に抑えられています。
弟の実質的な介助はありませんが、手続き等のサポートのほか、月に一度は親を連れ、弟とドライブしたりして過ごしています。
そうして、私も新しい場所で、なんとか再出発することができました。
人生後半!50代おひとりさまの家・仕事・収入戦略
まだ模索中ではありますが、私は介護と仕事を両立しながら前向きな生活を築くために「家」「仕事」「収入」の視点で下記のようなことを意識しています。
【家】住まいのリスクを回避する方法
地方の戸建ては安心感がある一方、固定資産税や修繕費の負担が大きい場合も。特に老朽化している物件は維持が難しく、費用がかさむ可能性が高いです。決断を急がず、「空き家バンク」や移住相談窓口でプロに相談してみましょう。
今後の生活の見通しがつくまでは、賃貸で身軽に過ごす方がおすすめです。
【仕事】地方でも可能性を広げる働き方
正社員採用が難しくても、今はパート、副業など柔軟な働き方があり、収入源を一つに絞らないで、小さく、複数働くという選択肢も。クラウドソーシングサービスを利用すれば、得意なスキルを生かして収入を得たり、新たなつながりを築くことも可能です。
また、Uターンや移住者への仕事の紹介をする自治体もありますし、田舎では「人からの紹介」も有効です。情報収集だけでなく、コミュニティ参加で活路を見つけるのが得策です。
【収入】節約&運用で老後資金を守る
第一に自分のお金は自分で守ること。介護にかかる費用を、自分で負担しすぎないようにしかるべき制度を活用しましょう。
収入が減る場合は、節約だけでなく資産運用で備えを増やす工夫を。私は家計簿アプリで支出を管理してムダを減らし、少額ですが貯金の一部で「新NISA」を始めました。また、車が必要な地域では維持費がネックになるため、カーリースを検討中。今の生活に慣れたら教習所でペーパードライバー用の練習に通う予定です。
介護離職や遠距離介護は、一見人生を止めてしまうかのように思える瞬間です。
でも、小さな一歩を積み重ね、家族や周囲と協力すれば、そこから再出発する道も見えてきます。
私の体験が、少しでも役に立てたら嬉しいです。
※本記事はあくまで個人の体験談であり、全ての人に当てはまるものではありません。また、各種制度は変更される可能性があるため、実際の利用時は必ず最新情報をご確認ください。




