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- 50代・昭和コンサバ価値観な女性の人生観・恋愛観
ひと口に50代といっても、さまざまなタイプの女性がいる。今回は「昭和の価値観が最高だと思っている女性」について解説しよう。専業主婦となって家庭を支えるのが当たり前……その幸せの形は令和の時代も変化がないとはいえないようだ。
専業主婦として家庭を守るのが女性の誇り
「自分が生きてきた時代が一番良かった」そう思う人はいつの時代も一定数、いるのかもしれない。
ただ、若かった頃の価値観をそのまま「今」に持ち込んでいるのは決していいことではないのではないか?
アラフィフ女性たちの間でも、「昭和は良かった」という人たちが少なからずいる。古き良き思い出ならそれもいいが、そう信じ込んで周りに押しつけるとしたら、問題が生じるかもしれない。
生き方は人それぞれだから、「専業主婦に憧れる」と言われれば返す言葉はない。家にいて家族に尽くす「昭和の主婦型」が本当に自分に合っているなら、そういう生き方もあるだろう。
ただ、多くの女性を取材してきた筆者は、生き方の多様性を広げるためにも、生活の糧を自分で得る可能性を探るのは、個人的には良いことだと感じる。
家事は完璧!小さなことでも夫にリードして決めてほしい
「お父さんが稼いできて、お母さんは家族のために料理をしたり家の中を整えたりする。子どもたちは伸びやかに育って……というのが私の理想だったんです」
ユリコさん(50歳)はそう言う。なぜなら彼女自身がそういう家庭に育って幸せだと思っていたからだ。
地方の県庁所在地に育った彼女の父親は県庁職員。母も地元で育ち、二人は高校の同級生だった。
「26歳で結婚して、兄と姉と私が生まれて。父は毎日、きちんと定時に帰ってきましたね。19時から夕飯。父の前にはおかずが一品多くて、父が箸をつけるまで私たちは食べられない。父の前ではいつも正座でした。でも、ああいう規律正しい生活って必要だと思うんです」
彼女自身は短大を出て就職、24歳のときに7歳年上の男性とお見合い結婚した。自分の父のように頼れる男性と一緒になりたかったのだ。
夫を立て、敬語で話していたが、夫は彼女の理想通りの男性ではなかった。
「結婚して、敬語をやめてほしいと言われたんです。もっと親密な関係になりたい、と。それも一理あるかなと思いました。子どもができてからは、自分だけ一品料理を多くするのもやめてほしい、と。夫は一家の大黒柱としてぐいぐい私を引っ張ってくれるタイプではなかったんですね。それを理解するのにずいぶん時間がかかりました」
そのあたりは妥協したものの、やはり何かあると、彼女は夫に決断を迫る。そもそも何でも夫に決めてほしいと思ってしまうのだという。
「例えば、休日どこに出掛けるかや、家電を買い換えるときも夫の意見で決めたい。夫は夫で、『君の好きなようにして』と言うので、私はちょっとイラッとする(笑)。子どもの教育だって夫の意見が大事なのに、夫は公立でいいんじゃない、と深く考えません」
食事はすべて手作り、彼女は結婚してからほとんど冷凍食品を使ったことがないという。それでも夫はときどき、コンビニで買ったものやカップラーメンなどのジャンクフードを自分で買って食べている。
「私の努力が報われないと思う瞬間ですね。夫として父として威厳がなさすぎる。まあ、それでも私は私なりに家族に尽くしていますけど」
上の子はすでに独立し、下の子も来年大学を卒業する。子どもたちが巣立っても、彼女は夫に尽くす人生を送るという。ある意味で迷いがない。この先も迷わずに生きていけたら、これはこれで立派な人生かもしれない。
女性は男性と同じ人生を歩んでも決して幸せにはなれない!?
同じように昭和の価値観が一番だと思っていたユキノさん(48歳)だが、最近、子どもたちにはそれが通用しないと感じている。
「18歳と15歳の娘たちから、『お母さんは古過ぎる』と抗議を受けています。女の子だし、2人ともまだ高校生だから門限は18時、外泊はもちろん禁止、休日友達と出掛けるのも禁止にしていたのですが、大ブーイングですね」
夫は,今どきの高校生なんだから少しは遊ばせてやれというが、ユキノさんは許さない。自分自身も厳しく育てられ、それが良かったと思っているからだ。
だが、子どもたちの友人たちからいろいろ話を聞き、さすがに休日の外出禁止は解いた。
「厳しくし過ぎて反発されたらかえって逆効果かもしれないから。でも心配ですよ。女の子は男にだまされたら一生傷がつく。傷ものになったら良い結婚でもできませんから」
耳を疑うような発言も飛び出す。何十年ぶりに「傷もの」という言葉を聞いただろうか……。
娘たちは二人とも中学から私立の女子校。このまま女子大に行かせるつもりだったが、長女は友達と積極的に遊びながら、受験勉強にも励んでいるという。
「受かったら考えますけど、本当なら女の子は女子大に行ってほしいですね」
適齢期に経済力のある男性と結婚し、子どもを産んで女としての幸せを享受してほしいと常々、娘たちに言い聞かせてきたが、特に上の子の反発は大きい。
「長女は社会的な問題に敏感で、よく夫とそういうことを議論していますね。夫は楽しんでいるようですが、私は女の子があまり理屈っぽくなるのは良くないような気がしています。そう言うと夫は、『君は古過ぎる』と、娘たちと同じことを言うのです」
女には女しか享受できない幸せがあるのだと彼女は言う 。男性と同じ人生を歩んでも決して幸せにはなれない、と。
聞いているこちらが息苦しくなるほど、従来の「女の役割」を疑わない彼女の考え方に、娘たちはさぞ大変だろうと推察したくなる。たとえ昔の価値観で自分が幸せだったとしても、それを他者に押しつけるのは危険だ。相手が自分の子どもであってもだ。
昭和後半の価値観では、どうしても子どもを「自分の分身」として見る母親が多かった。「子どもはいつまでたっても子ども」かもしれないが、一人の社会人として羽ばたかせるのが親の務め。
自分の価値観を押しつけるだけでなく、子どもの自由な裁量をどこまで広げてやれるのかが重要なのではないだろうか。
取材・文=亀山早苗
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