いつも元気で前向き秘訣は何?

平野レミ!生粋の料理大好き人間と家族の思い出

公開日:2022.03.19

更新日:2022.03.20

料理愛好家の平野レミさんは、プロの技が光る「シェフ」ではなく、温かい家庭の味を大切にする「シュフ」を自称しています。コロナ禍も更年期も元気なレミさんに、長年家族で紡いできた「食にまつわる思い」を伺いました。

コロナ禍の鬱々とした気持ちを「食と家族」で吹き飛ばす!

いつも元気、明るいトークでおなじみの料理愛好家・平野レミさんの新刊『おいしい子育て』(ポプラ社刊)が、2022年3月に発売されました。コロナ禍で、大人数でおしゃべりして楽しく集まりたいのに、我慢、我慢。そんな鬱々とした気持ちを吹き飛ばしてくれる、料理を囲む楽しいエピソードが満載です。

――外での食事が難しいコロナ禍にぴったりの家族と食卓の話ですね。「みんなで食事を楽しむこと」を思い出し、パッと気持ちが明るくなります。この本を出版されたいきさつは?

平野レミさん(以下、平野レミ)
実はずいぶん前に出した本(1997年『笑顔がごちそう』)が、良い本なのに絶版になっていたのを編集者が見つけオファーをくれて、大幅に加筆して再出版する運びになりました。電車の中でも読めるようなコンパクトな形にし、紹介するお料理も25年前のレシピだったので、それも今風に書き変えてリニューアルしています。

――今から約30年前というと、2人の息子さんがまだ小さい時の話ですが、思い出すことはありますか?
(編集部注:長男はロックバンド『TRICERATOPS(トライセラトップス)』のボーカルとギターを担当する和田唱さんで、妻は女優の上野樹里さん。次男はキッチンウェアブランド『remy』の企画開発などを行う和田率さんで、妻は食育インストラクターの和田明日香さん)

平野レミ
今は昔のことで細かいことは忘れちゃっているけど、本を読み返すとよみがえってきました!季節ごとの伝統行事にかかせないことは、子どもたちと一緒に楽しんでいたし、そのとき作って食べた料理も忘れられない思い出ですね。

――レミさんの家族の思い出は、いつもその時々の家庭料理と結びついているんですね。

平野レミ
いろいろなエピソードも、料理とともに思い出します(笑)。子どもがピーマンを嫌いだった時も、それを細かくつぶしてハンバーグに入れたら、食べられるようになったの。ピーマンは油で炒めると臭みがなくなって、ビタミンCは消えないし、甘味が出て食べやすくなる。調理法をちょっと知っていれば、苦手な人でもおいしく食べてくれるようになるんです。

シイタケやニンジンが嫌いだった時も考えて、先生と結託して食べたら褒めくださいという約束をしていたら、お弁当箱に残っていなくて。

「食べたの?」と聞くと「これくらい食べられるよ」と言うので、「すごいねー」と褒めてあげました。で、次の日は少し大きくして。だんだん大きくなって、いつの間にかすっかり食べられるようになりました。

いわば褒め殺し!ピーマン食べなきゃだめでしょと怒るよりも褒めて食べさせる方がいいでしょ(笑)。中学に入ったら二人とも、好き嫌いはなくなりました。

毎日の元気の素は、ズバリ「料理を作ること」

――毎日の料理が面倒に感じることはなかったのですか?

平野レミ
料理が面倒くさいと思うことはなかったんです。私は小さい時から食いしん坊だったから、自分で作って食べるのがうれしくて、うれしくて! 料理って、1+1が2でなくて、おいしくなーれという気持ちが入ると、3にも4にも100にも、おいしさが膨らんでいくんですよね。

――料理を作ることは、やっぱりご自身のエネルギーの素ですか?

平野レミ
はい!テレビで見た料理がおいしそうだと思うと、すぐ材料を買いに行きます。この間も、チリコンカンを見ておいしそう、と思ってチリパウダーとか豆を買いにいって作ったら、すごくおいしくできて。レシピは参考までで、その家の火力や鍋の違いにもあるから、自分のベロを信じて自信を持ってやるのがいいと思います。

料理は創作意欲もかき立てます。音楽は耳から、絵は目から入ってきますが、人間の五感全部で感じて作るのは料理だけ。こんないいものはないから興味は尽きないですね!

――著書にも書かれていますが、レミさんは小さい頃から料理体験をされていたんですね?

平野レミ
子どもの時から、ひとりでデタラメ料理を作っていました。どんなにキッチンを散らかしても怒られなかったし、危ないからとか一度も止められたことはなかったですね。そのおかげで今まで料理が大好きで続けてこられたんだと思います。親も子どもから好きなことを取り上げないで、見守ってあげる気持ちを持つことが大事ですね。

――好きな「料理」を続けて努力した結果、いつの間にか仕事になってしまったのですか?

平野レミ
私、努力という言葉はきらい。好きだったら努力しなくてもできちゃうの。他人からは努力に見えても、本人は好きでやっているので、全然つらくならない。

私がいつも思うのは、やるべきこととやりたいことが一致していたらすごく幸せだと思うのね。本やテレビでみんなにおいしいものを知らせたい、というのは私のやるべきことだと思っています。

その家庭に伝わる料理で家族の絆をつなぎたい

――前作『家族の味』(ポプラ社刊)にも登場する、平野家伝統の味「牛トマ」のように、家庭料理にも、その家々に伝わっている味が残るんですね。

平野レミ
うちの祖父はアメリカ人でした。その祖父が食べていた牛肉とトマトを塩こしょうで炒めた料理が伝わって、それを母から教わり、今は息子の嫁と孫の代まで、5代も続いて食べているんです。

実際顔も合わせたことがない祖父が、不思議なことにそれだけで身近に感じられます。そんな料理が一つあれば、家族の絆も深まっていっていいなと思います。

今は、うちの息子の嫁が、そこに玉ネギやナスなんかを入れて、「横取り牛トマ」とかいってアレンジして作ってますよ。

 

いつも元気印の平野レミさんですが、2019年にご主人の和田誠さんを亡くされるというつらい思いをされました。後半は、平野さんのご主人への思いに加え、日々の暮らしや健康法の話も伺います。

『おいしい子育て』ポプラ社刊 1540円

かつて家事、2人の息子さんの育児、そしてシャンソン歌手や料理家としての仕事に追われる日々を過ごしていた平野レミさん。幼少期の2人の息子さんとの思い出話から、育児と仕事との向き合い方、レミさん流の料理哲学まで、子育てと料理の喜びがたっぷり詰まったお料理エッセイです。

平野レミ(ひらの・れみ)

料理愛好家、シャンソン歌手。主婦として料理を作り続けた経験を生かし、NHK「平野レミの早わざレシピ」などテレビ、雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信。また、レミパンやエプロンなどのキッチングッズの開発も手掛ける。著書に『ド・レミの子守歌』(中央公論新社)、『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』(主婦の友社)、 『家族の味』(ポプラ社)など多数。


文=金田千里、写真=中西裕人、編集=鳥居史(ハルメクWEB) 

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ハルメク365編集部

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