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- エッセー作品「私、ダンショク系?」馬場佳子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第2期最初の作品のテーマは「色」です。馬場佳子さんの作品「私、ダンショク系?」と山本さんの講評です。
私、ダンショク系?
私が20歳のころ、言われたことをこれまでに何度もふっと思い出してきた。40年以上も前のことになる。
「よしこちゃんってダンショクの方ね。」
学生時代にアパートの近所に住んでいた1回り年上の素敵なお姉さんヒロコさんの家で姿見の前に立つ私の肩ごしの一言。
その時どんな色の服をあてがっていたのか、どんなシチュエーションだったか全く記憶にないのに、その一言だけが鮮明に残っている。
ただ、「ダンショク」という初めて聞く響きの単語が新鮮だった。
3テンポ程遅れて、飲みこめた。
「暖かい色のダンショクか! あなたに似合うのは」
私は当時も今も「ザ・日本人」で、いわゆる丸顔、鼻が低い、凹凸なしで、おまけに浅黒と、これといった特徴のない顔とスタイルの持ち主です。
暖色系とされたのは容姿が味気なく、田舎者で暗いイメージだからと言われたようで、勝手にムッとしていたおぼえがある。
そんなことも影響したのだろうか、私は黒い服、特に深いネイビーの無地の服ばかり好んで着て現在に至る。
しまって見える。無難である。大人っぽく見える。知的に見える?などの理由をつけている。
そのため、当然ながらタンスやクローゼットの中はダークな世界で、安心していた。
ところが先日、病院の待合室で、同年代の女性が鮮やかな色の服をさりげなく着て歩く姿を目で追っている自分にビックリ。
うらやましい! と、ときめくってことは、私もあんな明るい服を着て、颯爽と歩くおばさんになりたかったのだと。
「そうだ。暖色を着よう。」
と、何か呪縛から解き放たれたような気持ちになれた。
寝たきりになって「本当はあんな服を着たかったー。」と駄々をこねても後の祭りだ。
セーター1枚、ブラウス1枚からピンク色や花柄に挑戦して、今年はこれでいくと決めた。
ただ、イタイ婆さんにならにように、夫や娘の意見は無視しないようにしようとは思っている。
山本ふみこさんからひとこと
色というものの持つむずかしくて嵩張る一面を、思いました。
明るい色をとり入れようと思うまでの道のり、しかし慎重でありたいという思いに、創造性を見る思いがします。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
次回第3期の参加者の募集は、2021年6月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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