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- 緑茶の新型コロナ感染拡大抑制を指摘!最新研究に注目
コロナ禍でカテキンの抗ウイルス作用が注目されています。以前からインフルエンザへの予防効果が知られており、新型コロナウイルスの感染抑制にも役立つ可能性があるためです。4月15日「緑茶と健康シンポジウム」で発表された最新研究の一部を紹介します。
コロナ禍で注目される茶カテキンの抗ウイルス効果
体脂肪低減や口臭・虫歯予防など、さまざまな健康効果があるカテキン。中でも、コロナ禍で注目されているのが、カテキンの抗ウイルス効果です。
これまでの基礎研究から、緑茶に含まれる茶カテキンがインフルエンザに対して抗ウイルス作用があるということがわかっています。
2021年4月15日に京都府宇治市で開催された「緑茶と健康シンポジウム」の基調講演「緑茶のインフルエンザ予防効果に関する研究について」でも、これまでの研究成果と今後の展望が語られました。
基調講演を行った静岡県立大学健康支援センター長・山田浩氏はこう話します。
「茶カテキンによるインフルエンザ予防の研究は、最初は緑茶うがいの民間研究から始まりました。その後の臨床研究の結果、適度な緑茶飲用がインフルエンザ発症を減少させるということがわかりました。また、インフルエンザ以外の急性上気道炎を引き起こすウイルスに対する緑茶の効能も、徐々に検討され始めています」(山田氏)
緑茶の飲用が新型コロナ感染症の予防につながる可能性も
山田氏によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)もインフルエンザと同じ、上気道感染症とのこと。
どちらもRNAウイルスであり、接触感染や飛沫感染で広がる点など、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)には共通点が多いため、茶カテキンが新型コロナウイルスに対して抗ウイルス作用を示す可能性が高いそうです。
「これまでの基礎研究で、カテキンの一種、エピガロカテキンガレート(EGCG)にはインフルエンザウイルスが細胞と結合するのを阻止すると同時に、細胞内でのウイルスの増殖を阻害する作用があることが報告されています。そして、2019年12月から感染拡大が続いている新型コロナウイルスに対しても、カテキンのウイルス増殖抑制効果があるのではないか、と期待されているのです」(山田氏)
新型コロナウイルスの治療薬やワクチンなどの開発・使用がまだまだ限定的な今、山田氏の他にもさまざまな研究者たちが「日常的に摂取する緑茶が何か補助的な使い方ができないか」と、緑茶の飲用が新型コロナウイルス感染抑制につながる可能性を模索しています。
「緑茶の新型コロナウイルスに対する効果について」のパネルディスカッションでは、疑似ウイルスによる中和試験の結果やカテキン類によるウイルス不活性化のメカニズムなど、5人の研究者が最新の研究データを紹介しながら、興味深い意見が交わされました。
お茶を飲むことに「公衆衛生的な使い方」の可能性がある
その中で、お茶のリーディングカンパニー・伊藤園と共同研究を実施している、京都府立医科大学免疫学教授・松田修氏は、基礎研究に基づくある仮説を紹介しました。
「これまでの基礎研究で、茶葉に含まれるカテキンや、緑茶・ほうじ茶・紅茶などに含まれるカテキン由来の成分が、ヒトのだ液中に加えた新型コロナウイルスの感染力を強く抑制することがわかっています。新型コロナウイルス感染症では、感染者(無症状の感染者を含む)からの飛沫感染を防ぐことが大切です。食事や密な環境に行く前に、人々が茶を飲めば、無症状の感染者が他の人にウイルスを拡散することを抑制できる可能性がある。つまりお互いに他人にうつさないことを目的としてお茶を飲むという、マスクや手洗いのような『公衆衛生的な使い方』ができるのではないか、という見解です」(松田氏)
現時点では「これらはあくまでも試験管内での研究結果による推察」ですが、松田氏によると、すでにヒトでの臨床研究もスタートしたとのこと。今後の研究成果に大きな期待が寄せられています。
お茶1杯あたりのカテキン量は煎茶より抹茶が多い
また「緑茶と健康シンポジウム」では、こうした新型コロナウイルス関連の発表だけではなく、緑茶の成分についての発表も行われ、改めて日常生活での緑茶の持つ有効性や効果的な摂り方などの発見がありました。
京都府農林水産技術センター農林センター茶業研究所の北尾悠樹氏によると、緑茶には主に下記のような成分が含まれているそう。
緑茶の主な成分
- カテキン類(EGCGなど):抗ウイルス効果
- テアニン:リラックス効果
- アルギニン:疲労回復効果
- ポリアミン:アンチエイジング効果
「お茶の種類によって、含まれる成分や量は変わります。今日の発表では、カテキンの抗ウイルス効果に関連して、エピガロカテキンガレート(EGCG)についてのデータが多く発表されましたが、EGCGは煎茶の茶葉に多く含まれることがわかっています。ただ、茶葉から抽出して飲む煎茶の場合、抽出の仕方にもよりますが、茶殻にもカテキンが5割以上残ってしまうため、1杯のお茶で比較すると、茶葉を丸ごと摂取する抹茶の方がEGCGを多く取り込むことができます」(北尾氏)
お茶のある生活で健康に!今後の臨床試験にも期待
緑茶の新型コロナウイルスに対する効果について、さまざまなデータが発表され、多方面から議論された今回のシンポジウム。
シンポジウムの最後に、コーディネーターの京都先端科学大学バイオ環境学部教授・藤井孝夫氏が語った言葉は、希望と期待を感じさせるものでした。
「今回、緑茶に含まれるカテキンなどの成分が、新型コロナウイルスの不活性化に効果があることが定量的に確認されました。特に、口腔内のウイルスを不活化することで、感染者が他の人にウイルスをうつさない、感染予防の研究の重要性が確認されました。今後はどのくらいの濃度・量で効果が出るのかなど、臨床試験などを通じて、緑茶の新型コロナウイルスの感染抑制効果についてより詳細なデータが実証されることを願っています」(藤井氏)
緑茶はこれまで約800年間飲み続けられ、体に良い健康成分が豊富に含まれる飲み物です。コロナ禍でいつも以上に健康に気を付けたい今、「お茶のある生活」を心掛けたいものですね。
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