腹筋の鍛え方とは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
腹筋の鍛え方とは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年09月30日
この記事3行まとめ
✓ 腹筋を鍛えることは、見た目だけでなく健康寿命にも繋がります
✓ 50代・60代女性は、無理なく安全にできる方法で始めるのが大切
✓ トレーニング効果を高めるには、食事や休息など生活習慣も重要
腹筋とは?
「腹筋」と一言でいっても、実はお腹まわりにある複数の筋肉の総称です。主に、お腹の正面にある「腹直筋(ふくちょくきん)」、脇腹にある「腹斜筋(ふくしゃきん)」、そして最も深層にある「腹横筋(ふくおうきん)」の3つが重要です。
これらはインナーマッスルとも呼ばれ、まるで天然のコルセットのようにお腹全体を支え、内臓を正しい位置に保ち、美しい姿勢を維持する大切な役割を担っています。
腹筋を鍛えることで得られるメリット
50代を過ぎると、多くの方が体型の変化や体力の衰えを感じ始めます。腹筋を鍛えることは、そうしたお悩みに応える多くのメリットをもたらしてくれます。
- ぽっこりお腹の解消・美しい姿勢に:弱くなった腹筋では内臓を支えきれず、お腹がぽっこりと出て見えがちです。腹筋を鍛えることで、内臓が正しい位置に戻り、すっきりとしたお腹まわりと、背筋の伸びた若々しい姿勢を手に入れることができます。
- 腰痛の予防・改善:腹筋は背骨を支える重要な役割も担っています。腹筋が衰えると、その負担が腰にかかり、腰痛の原因になることも。腹筋を鍛えることで、腰への負担が軽減され、つらい腰痛の予防や改善につながります。
- 基礎代謝が上がり、太りにくい体に:筋肉量が増えると、じっとしていても消費されるエネルギー(基礎代謝)が増加します。腹筋のような大きな筋肉を鍛えることは、効率的に基礎代謝をアップさせ、若い頃と同じように食べていても太りにくい、燃費のよい体を作る手助けとなります。
- 便通の改善:意外に思われるかもしれませんが、腹筋は排便時にも使われる筋肉です。腹筋の力が弱いと、便を押し出す力も弱まり、便秘に悩まされることがあります。腹筋トレーニングは、快調な毎日を送るためのお守りにもなるのです。
スポーツ庁の調査によると、残念ながら日本の成人女性は、30代後半をピークに体力が低下していく傾向にあります。特に50代、60代では、日常生活に影響が出始める方も少なくありません。しかし、同調査では、定期的な運動習慣のある人ほど体力年齢が若いという結果も出ています。
今からでも決して遅くはありません。正しい知識でトレーニングを始めることが、これからの人生をより豊かに、活動的に過ごすための鍵となるのです。
筋力低下が招く心身のトラブル
「最近、なんだか疲れやすくなった」「ちょっとしたことでつまずきそうになる」そんなふうに感じていませんか? それは、単なる年齢のせいではなく、腹筋を中心とした筋力の低下が原因かもしれません。
腹筋の衰えは、私たちが思っている以上に、心と体にさまざまな影響を及ぼします。原因を知り、正しく対処することで、多くのトラブルは防ぐことができます。こ
筋力低下が招く身体的な問題
腹筋の力が弱まると、まず顕著に現れるのが「姿勢の悪化」です。体を支える中心軸がぐらつき、猫背になったり、腰が反ってしまったり。すると、肩こりや首の痛み、頭痛といった不調も招きやすくなります。
また、体をひねる、起き上がるといった日常の何気ない動作がスムーズにできなくなったり、重いものを持つのが億劫になったりすることも。
さらには、尿意を我慢する骨盤底筋群とも連動しているため、くしゃみをした拍子に尿が漏れてしまうといった、デリケートな問題につながるケースも少なくありません。
体の変化が心に与える影響
思うように動かない体は、私たちの心にも影を落とします。「前はもっと軽やかに動けたのに……」という喪失感や、体型が崩れていくことへの焦りは、自信を失わせ、外出や人と会うことへの意欲を削いでしまうことがあります。
また、腰痛や肩こりといった慢性的な痛みは、気分を落ち込ませ、イライラの原因にもなりかねません。体の不調が心の不調につながり、それがさらに体を動かさなくさせる……そんな悪循環に陥ってしまう前に、適切なケアを始めることが大切です。
関連する他の不調やトラブル
腹筋の衰えは、お腹まわりだけの問題にとどまりません。体幹が不安定になることで、歩行時のバランス能力が低下し、転倒のリスクが高まります。特に閉経後の女性は骨密度が低下しやすいため、転倒による骨折は、その後の生活の質を大きく左右する深刻な問題です。
また、腹筋のポンプ機能が弱まることで血行が悪くなり、冷えやむくみ、代謝の低下といった全身の不調につながる可能性も指摘されています。
トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談
安全にトレーニングを始めるために
さあ、トレーニングを始めよう!と意気込む前に、少しだけ立ち止まってご自身の体と向き合ってみましょう。特に、高血圧や心臓病、関節の痛み(特に腰痛や膝痛)といった持病をお持ちの方や、長年運動から離れていた方は、自己判断でトレーニングを始めるのは禁物です。
まずは、かかりつけの医師に「腹筋のトレーニングを始めたい」と相談し、どのような運動なら安全に行えるか、アドバイスをもらうようにしてください。安全第一で、無理なく始めることが、長く続けるための何よりの秘訣です。
専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット
自己流のトレーニングは、時に効果が出にくいだけでなく、間違ったフォームで体を痛めてしまうリスクも伴います。そこでおすすめしたいのが、体の専門家であるパーソナルトレーナーなどに相談することです。
専門家は、一人一人の体力レベルや体の癖、目標に合わせて、最適なトレーニングメニューを組んでくれます。正しいフォームをマンツーマンで指導してくれるため、安全かつ効果的に筋肉を鍛えることができ、疑問や不安もその場で解消できます。何より、応援してくれるパートナーの存在は、モチベーションを維持する上で大きな支えとなるでしょう。
良い専門家の見つけ方
信頼できる専門家を見つけるには、いくつかのポイントがあります。まず、運動指導に関する資格(例:理学療法士、健康運動指導士、NSCA-CPTなど)を持っているかを確認しましょう。また、体験セッションなどを利用して、実際に指導を受けてみるのも良い方法です。
その際、あなたの話に親身に耳を傾け、専門用語ばかりでなく、分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれるか、高圧的な態度ではないか、といった点もチェックしてみてください。同世代が集まる講座やイベントで、信頼できる専門家と出会うのも一つの方法です。
腹筋の具体的なトレーニング方法
トレーニング方針の決定
まずは、あなたが「どうなりたいか」を明確にすることが大切です。「健康のために体力をつけたい」「ぽっこりお腹を解消して、昔の洋服をもう一度着たい」「腰痛を気にせず旅行を楽しみたい」など、目的によって最適なトレーニングは異なります。
初めは、週に2〜3回、1回10分程度からで十分です。大切なのは、完璧を目指すことではなく、楽しみながら続けること。最初は専門家の指導のもとで基本を学び、慣れてきたらご自身でメニューを調整していくのが理想的です。
1. 自重トレーニング
特別な器具は必要ありません。ご自身の体重を負荷にして、自宅で安全に始められるトレーニングです。
【基本のドローイン】
- 仰向けに寝て、膝を90度に立てます。両手は楽にお腹の上か、体の横に。
- ゆっくりと息を吸い込み、お腹を大きく膨らませます。
- 次に、「ふーっ」と細く長く息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるイメージで、お腹を限界までへこませます。
- へこませた状態を10〜30秒キープ。この間、呼吸は浅く続けてください。
- これを3〜5セット繰り返します。
よくある間違いと正しいフォーム
ドローインでやりがちなのが、息を止めてしまうこと。息を止めると血圧が上がりやすくなるため、必ず自然な呼吸を続けてください。また、肩や首に力が入りすぎないよう、リラックスして行うのがポイントです。腰が反ってしまう場合は、お尻の下にたたんだタオルなどを入れると安定します。
【ニーレイズ(椅子バージョン)】
- 椅子に浅めに腰掛け、背筋をすっと伸ばします。手は椅子のへりをつかんで体を支えましょう。
- その姿勢を保ったまま、ゆっくりと片方の膝を胸に引き寄せるように持ち上げます。
- 限界まで上げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。
- 反対側の脚も同様に行います。左右交互に10回ずつ、2〜3セットが目安です。
よくある間違いと正しいフォーム
体を後ろに倒しすぎたり、反動を使ったりすると、腹筋への効果が薄れてしまいます。常にお腹に力が入っていることを意識し、ゆっくりとした動作で行いましょう。
2. 器具を使ったトレーニング
自重トレーニングに慣れてきたら、軽い器具を使って少し負荷を上げてみましょう。無理は禁物です。
【ダンベルツイスト(ペットボトルで代用可)】
- 体育座りの状態になり、膝を軽く曲げます。
- 500mlのペットボトルや軽いダンベルを両手で持ち、胸の前に構えます。
- 上体を少し後ろに倒し、腹筋に力が入るのを感じます。かかとは床につけたままでOKです。
- その姿勢をキープしたまま、ゆっくりと上半身を右にひねります。
- 中央に戻り、次に左へ。これをリズミカルに繰り返します。左右10回ずつ、2セットが目安です。
よくある間違いと正しいフォーム
腰からひねるのではなく、みぞおちから上をひねる意識で行うと、脇腹の腹斜筋に効果的に効かせることができます。背中が丸まると腰を痛める原因になるため、常に背筋は伸ばした状態を意識してください。
トレーニングの頻度と期間の目安
筋肉は、トレーニングで傷つき、休息を経て回復する過程で成長します(これを超回復と呼びます)。そのため、毎日同じ部位を鍛えるよりも、2〜3日に1回のペースで行うのが効果的です。
効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には3か月ほど続けると、姿勢が良くなったり、体が引き締まったりといった変化を感じられる方が多いようです。焦らず、ご自身のペースで気長に続けましょう。
トレーニング効果を高める生活習慣
1. 食事のポイント(タンパク質など)
トレーニングをがんばっても、材料がなければ筋肉は作られません。その最も重要な材料が「タンパク質」です。お肉、お魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)に多く含まれています。毎食、手のひら1枚分くらいのタンパク質を摂ることを意識してみてください。
特に、トレーニング後30分〜1時間以内にタンパク質を補給すると、筋肉の回復が促され、効果が高まると言われています。
2. 休息と回復の重要性
トレーニングと同じくらい、いえ、それ以上に大切なのが「休息」です。筋肉は寝ている間に作られます。毎日6〜8時間程度の質の良い睡眠を心がけましょう。寝る前にスマートフォンを見るのを控えたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりすると、心身がリラックスし、深い眠りにつながります。
トレーニングをしない日を設けることも、筋肉を成長させるための重要な戦略です。
3. 日常生活で意識するべきこと
特別なトレーニングの時間だけでなく、日常生活の中でも腹筋を意識することで、効果は格段にアップします。
- 歩くとき:頭のてっぺんから糸で吊られているようなイメージで、背筋を伸ばし、少し大股で歩いてみましょう。お腹に軽く力を入れると、体幹が安定し、歩く姿も美しくなります。
- 座っているとき:椅子に深く腰掛け、骨盤を立てることを意識します。気づいたときに、ドローインのようにお腹をへこませるのも効果的です。
- 家事をしながら:掃除機をかけるとき、洗濯物を干すときなど、常にお腹にキュッと力を入れてみてください。日常の動作が、立派なトレーニングに変わります。
よくある質問(FAQ)
Q1: トレーニングをすれば、本当にぽっこりお腹はへこみますか?
A: はい、効果は期待できます。腹筋を鍛えることで内臓を支える力がつき、お腹周りが引き締まります。ただし、お腹の脂肪を直接減らすには、トレーニングと合わせて、バランスの取れた食事やウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせることが、より効果への近道となります。
Q2: 効果はどのくらいで現れますか?
A: 個人差が大きいですが、多くの方が3か月ほど続けると「姿勢が良くなった」「体が引き締まってきた」といった変化を感じ始めます。大切なのは焦らないこと。昨日より今日、少しでもできた自分を褒めながら、気長に続けていきましょう。
Q3: どのくらいの頻度や時間、やればいいですか?
A: まずは週に2〜3回、1回10分から始めてみましょう。筋肉は休息中に成長するため、毎日行う必要はありません。「今日は疲れているな」と感じたら、思い切って休むことも大切です。ご自身のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられるペースを見つけることが成功の鍵です。
Q4: 体力に自信がなく、安全にできるか不安です。
A: ご心配いりません。この記事で紹介した「ドローイン」や「椅子に座ったニーレイズ」のように、寝たままや座ったままできる、体に負担の少ないトレーニングから始めてみてください。痛みを感じたらすぐに中止し、決して無理をしないことが鉄則です。
Q5: 腰痛や膝痛があるのですが、トレーニングしても大丈夫ですか?
A: 痛みがある場合は、自己判断で行うのは危険です。まずは、かかりつけの医師や理学療法士に相談し、行っても良い運動の種類や、注意点について必ず指導を受けてください。痛みを悪化させない範囲で、安全に行うことが何よりも重要です。
Q6: トレーニング中に痛みを感じたらどうすればいいですか?
A: 筋肉が疲れてくる「心地よい張り」ではなく、「ズキッ」「ピリッ」といった鋭い痛みを感じた場合は、すぐにトレーニングを中止してください。それは体が発している危険信号です。無理に続けると、怪我につながる可能性があります。
Q7: 自宅でのトレーニングとジムでのトレーニング、どちらが良いですか?
A: それぞれにメリットがあります。自宅でのトレーニングは、手軽で費用がかからないのが魅力です。
一方、ジムでは専門のトレーナーから正しい指導を受けられたり、さまざまなマシンで効率的に鍛えられたりする利点があります。ご自身の性格やライフスタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。
Q8: お腹まわりだけ、部分的に痩せることはできますか?
A: 残念ながら、特定の部位だけ脂肪を落とす「部分痩せ」は、医学的に難しいとされています。腹筋トレーニングでお腹を引き締めることと、食事改善や有酸素運動で体全体の脂肪を減らすこと、この両方のアプローチが、すっきりとしたお腹への最短ルートです。
Q9: トレーニング効果を高める食事のポイントはありますか?
A: 筋肉の材料となるタンパク質をしっかり摂ることが大切です。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食に取り入れましょう。
また、筋肉を動かすエネルギー源となる炭水化物(ご飯やパン)を極端に抜くのはNGです。バランスの良い食事が、健康的な体づくりの基本です。
Q10: モチベーションが続かない時はどうすればいいですか?
A: そんな時は、目標をぐっと下げてみましょう。「今日はドローインを1回だけやる」でも構いません。また、好きな音楽を聴きながら行ったり、ご家族やお友達に「頑張っているね」と褒めてもらったりするのも効果的です。
小さな成功体験を積み重ねることが、続ける力になります。
Q11: 周りの人と比べてしまい、落ち込んでしまいます。
A: 筋肉のつき方や体力の変化には、本当に個人差があります。比べるべきは、過去の自分です。「1か月前より、少しだけ長くプランクができるようになった」それで十分素晴らしい進歩です。ご自身のペースを大切にしてください。
Q12: プロテインなどのサプリメントは飲んだ方が良いですか?
A: 必ずしも必要ではありません。まずは日々の食事からタンパク質をしっかり摂ることを基本としましょう。もし、食事だけでは不足しがちな場合や、トレーニング後手軽に栄養補給をしたい場合には、補助的に利用するのも一つの方法です。利用する際は、添加物の少ない、信頼できる製品を選びましょう。
Q13: 毎日やらないと効果がないのでしょうか?
A: そんなことはありません。むしろ、筋肉を休ませる「休息日」はとても重要です。筋肉は、トレーニングで受けたダメージを修復する過程で強く、大きくなります。週に2〜3回のペースでも、継続すれば必ず体は応えてくれます。
Q14: ウォーキングなどの有酸素運動と、どちらを先にやればいいですか?
A: 脂肪燃焼を主な目的とするなら、「筋トレを先、有酸素運動を後」の順番がおすすめです。筋トレを行うと成長ホルモンが分泌され、体脂肪が分解されやすい状態になります。そのタイミングでウォーキングなどを行うと、効率的に脂肪を燃焼させることができます。
Q15: 家事をしながらできる「ながらトレーニング」はありますか?
A: たくさんありますよ。例えば、歯を磨きながらかかとを上げ下げする(ふくらはぎの運動)。テレビを見ながらCMの間にドローインをする。洗い物をしながら、お尻の穴をキュッと締めるように力を入れる(骨盤底筋の運動)。日常のすきま時間を有効活用しましょう。
Q16: トレーニングを続けると、どんな良い未来が待っていますか?
A: 体が軽くなり、好きなことへのお出かけが億劫でなくなります。姿勢が美しくなり、鏡に映る自分をもっと好きになれるでしょう。そして何より、自分の力で健康を維持しているという自信が、これからの人生をさらに前向きで、輝かしいものにしてくれるはずです。
Q17: 腹筋ローラーは50代でも使えますか?
A: 腹筋ローラーは非常に負荷が高いトレーニング器具です。腹筋や体幹が十分に鍛えられていないうちに行うと、腰を痛める危険性が非常に高いと言えます。
まずはこの記事で紹介したような自重トレーニングでしっかりと基礎筋力をつけてから、専門家の指導のもとで試すことを検討してください。安全第一で進めましょう。
Q18: トレーニングウェアはどんなものがおすすめですか?
A: 動きやすさと吸湿速乾性がポイントです。体を締め付けすぎず、伸縮性の良い素材を選びましょう。汗をかいてもすぐに乾く素材なら、体が冷えるのを防いでくれます。
お気に入りのデザインや色のウェアを選ぶと、気分も上がってトレーニングがもっと楽しくなりますよ。
Q19: 腹筋を割る「シックスパック」に憧れます。女性でも可能ですか?
A: もちろん女性でも可能です。しかし、シックスパックを目指すには、腹筋を鍛えるだけでなく、食事管理によって体脂肪率をかなり低くする必要があります。健康を損なうほど過度な食事制限は禁物です。
まずは健康的な体づくりを第一目標にし、その結果として腹筋のラインが見えてくる、くらいに考えるのが良いでしょう。
Q20: 更年期の影響で痩せにくいのですが、それでも効果はありますか?
A: はい、もちろんです。更年期はホルモンバランスの変化で基礎代謝が落ち、痩せにくくなる時期ですが、だからこそ筋トレが重要になります。
筋肉量を増やすことで基礎代謝の低下を食い止め、太りにくい体を維持することができます。すぐに体重が減らなくても、体脂肪率が減ったり、体のラインが引き締まったりと、うれしい変化は必ず現れます。
Q21: 朝と夜、トレーニングするならどちらが良いですか?
A: どちらにもメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。朝に行うと、その日1日の代謝が高い状態で過ごせるという利点があります。一方、夜は体が温まって動きやすい時間帯です。
最も大切なのは「継続できること」。ご自身の生活リズムに合わせて、習慣にしやすい時間帯を選んでください。
まとめ
大切なポイント
- 腹筋を鍛えることは、見た目の美しさだけでなく、将来の健康を守るための大切な投資です。
- 決して無理はせず、今の自分にできることから、安全に、そして楽しみながら始めることが長続きの秘訣です。
- トレーニングの効果を最大限に引き出すには、タンパク質を中心としたバランスの良い食事と、質の良い睡眠(休息)が欠かせません。
- 不安や痛みがあるときは、一人で悩まず、かかりつけ医や専門家に相談する勇気を持ちましょう。
腹筋を鍛えるというのは、単なる筋トレではありません。それは、これからの人生を、自分の足でしっかりと立ち、自分の力で楽しむための「土台」を作り直す作業ともいえないでしょうか。
焦らなくて大丈夫。一日一回、深呼吸とともにお腹をへこませるだけでも、体はちゃんと応えてくれます。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。
監修者プロフィール:樋口 直彦 先生

医療法人藍整会 なか整形外科 理事長。なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長。
帝京大学医学部卒業後、大学病院や複数の医療機関で整形外科医として研鑽を積み、院長を歴任。2020年10月より、医療法人藍整会なか整形外科の理事長を務める。骨折治療・関節外科・スポーツ整形外科を専門とし、アスリートから地域住民まで幅広い世代の診療にあたっている。バレーボールSVリーグ「サントリーサンバーズ大阪」のチームドクターとしても活動し、トップアスリートの治療経験を日常診療にも活かしている。また、ICTを積極的に導入し、「お待たせしない診療」を実現。安心して通える医療環境づくりと、地域に根ざした質の高い医療提供を信条としている。




