インクラインダンベルプレスとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
インクラインダンベルプレスとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年09月30日
この記事3行まとめ
✓ インクラインダンベルプレスはデコルテラインを美しく見せる効果が期待できます
✓ 50代・60代女性は、軽い重量から正しいフォームで安全に行うことが大切です
✓ トレーニング効果を高めるには、食事や休息など日常生活の工夫も重要です
インクラインダンベルプレスとは?
「インクラインダンベルプレス」は、私たちの胸の上側にある「大胸筋(だいきょうきん)の上部」を鍛える、とても効果的なトレーニングです。
大胸筋は、胸の大部分を覆っている大きな筋肉。この筋肉の上部を鍛えることで、年齢とともに気になってくるデコルテライン(首から胸元にかけての部分)を、すっきりと美しく見せる効果が期待できるのです。
若い頃のように、胸元が開いたお洋服を自信を持って着こなせたら、素敵だと思いませんか?インクラインダンベルプレスは、そんな願いを叶える手助けをしてくれるトレーニングなのです。
インクラインダンベルプレスを鍛えることで得られるメリット
このトレーニングには、見た目の美しさだけでなく、私たちの健康にとってうれしいメリットがたくさんあります。
- 美しいデコルテラインを保つ:胸の上部が引き締まることで、ハリのある美しい胸元を維持しやすくなります。
- 姿勢が良くなる:胸の筋肉が衰えると、背中が丸まりがちになります。大胸筋を鍛えることで、胸を張った若々しい姿勢を保ちやすくなります。
- 基礎代謝がアップする:大胸筋は体の中でも大きな筋肉の一つ。ここを鍛えることで筋肉量が増え、何もしなくてもエネルギーを消費する「基礎代謝」が上がりやすくなります。つまり、太りにくく、すっきりとした体を維持しやすくなるのです。
- 肩こりの予防・改善:正しいフォームで行うことで、肩甲骨周りの血行が促進され、つらい肩こりの悩みが和らぐことも期待できます。
スポーツ庁の調査によると、残念ながら、日本の成人女性は、加齢とともに体力が低下する傾向にあります。特に50代を過ぎると、筋力や柔軟性が大きく落ち込むことが分かっています。
しかし、希望もあります。同調査では、定期的に運動習慣のある人ほど、体力が維持されやすいという結果も出ています。今からでも決して遅くはありません。インクラインダンベルプレスのような適切なトレーニングを始めることで、若々しく健康な体を保つことは十分に可能なのです。
筋力低下が招く心身のトラブル
「最近、なんだか体のラインがぼんやりしてきた」「疲れやすくて、気持ちも沈みがち」そんなふうに感じていらっしゃるなら、それは筋力の低下が原因かもしれません。でも、ご安心ください。この記事を読んでくださっているあなたは、もう解決への第一歩を踏み出しています。
インクラインダンベルプレスは、そんなあなたの心と体の悩みに、優しく寄り添ってくれるはずです。
筋力低下が招く身体的な問題
胸の筋肉、特に大胸筋上部が衰えてくると、見た目以上にさまざまな体の不調を引き起こすことがあります。
- 姿勢の悪化(猫背):胸の筋肉が弱いと、重力に負けて肩が内側に入りやすくなり、猫背の原因になります。猫背は、見た目の印象が老けて見えるだけでなく、呼吸が浅くなったり、肩や首に負担をかけたりします。
- デコルテラインの崩れ:胸の上部にハリがなくなると、デコルテが寂しい印象になり、ネックレスなどのアクセサリーも映えにくくなります。
- 腕のたるみ:インクラインダンベルプレスは、実は二の腕(上腕三頭筋)も使います。胸のトレーニングをすることで、気になる腕のたるみも一緒に引き締める効果が期待できます。
- つまずきやすくなる:直接関係ないように思えますが、上半身の筋力が低下すると、体全体のバランス能力が落ち、何もないところでつまずきやすくなることがあります。
体の変化が心に与える影響
体の変化は、私たちの心にも影響を与えます。「なんだか老けて見える……」と鏡を見るのが憂鬱になったり、姿勢が悪くなることで自信がなさそうに見えてしまったり。
また、肩こりや疲れやすさといった身体的な不調は、気分を落ち込ませ、何事にもやる気が起きない……といった心の不調にもつながりかねません。いつまでも若々しく、前向きな気持ちで過ごすためにも、筋力を維持することはとても大切なのです。
関連する他の不調やトラブル
大胸筋の衰えは、他の筋肉とのバランスを崩すきっかけにもなります。例えば、胸の筋肉が弱いと、背中の筋肉に余計な負担がかかり、腰痛の原因になることも。
また、呼吸が浅くなることで、自律神経が乱れやすくなり、原因のわからない不調(不定愁訴)につながる可能性も指摘されています。体はすべてつながっているのですね。
トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談
安全にトレーニングを始めるために
新しい運動を始める前は、期待で胸が膨らむ一方、少し不安もありますよね。特に、ひざや腰に痛みがある方、高血圧などの持病をお持ちの方は、自己判断でトレーニングを始めるのは禁物です。
まずは、かかりつけの医師に「こういう運動を始めようと思うのですが、問題ないでしょうか?」と一言相談してみましょう。あなたの体の状態を一番よく知っている先生から許可をもらえれば、安心してスタートできますね。
専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット
「ジムに通うのはハードルが高い」と感じるかもしれませんが、初めだけでも専門家の指導を受けることには、大きなメリットがあります。
- 正しいフォームが身につく:インクラインダンベルプレスは、少し角度や動きが違うだけで、効果が半減したり、肩を痛めたりする可能性があります。専門家は、あなたの骨格に合わせて、一番安全で効果的なフォームを教えてくれます。
- 自分に合った重さや回数がわかる:やみくもに重いものを持てば良いというわけではありません。専門家は、あなたの体力レベルに合わせて、最適な重さや回数を設定してくれます。
- モチベーションが続く:一人だと三日坊主になりがちなトレーニングも、応援してくれる人がいるとがんばれるもの。
良い専門家の見つけ方
信頼できる専門家を見つけるには、いくつかのポイントがあります。
- 資格を持っているか:理学療法士や、信頼できる民間のトレーナー資格(NSCA、NESTAなど)を持っているかを確認しましょう。
- 中高年の指導経験が豊富か:私たちの体は、若い頃とは違います。50代・60代の体のことをよく理解している専門家を選ぶことが大切です。
- コミュニケーションが取りやすいか:あなたの悩みや目標を親身に聞いてくれる、話しやすい先生を見つけましょう。
地域のフィットネスクラブや、自治体が運営する健康教室などで探してみるのも良い方法です。ハルメクのイベント・講座でも、専門家による運動講座を開催していることがありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
インクラインダンベルプレスの具体的なトレーニング方法
トレーニング方針の決定
まずは、あなたが「どうなりたいか」を考えてみましょう。「健康のために体力をつけたい」「デコルテラインをすっきりさせたい」「もう少し筋肉をつけて、メリハリのある体にしたい」など、目的によってトレーニングの計画は変わってきます。
どんな目的であれ、大切なのは「無理をしないこと」。特に最初のうちは、専門家の指導のもと、軽い負荷から始めることを強くおすすめします。
1. 自宅でできる!水入りペットボトルでのトレーニング
ジムに行かなくても大丈夫。まずは自宅で、水を入れた500mlのペットボトルを使って挑戦してみましょう。
準備するもの
- 水を入れたペットボトル 2本
- 角度をつけられる椅子、またはクッションや座布団
やり方
- 椅子に少し浅めに腰掛け、背もたれに寄りかかります。背もたれと背中の間にクッションなどを挟み、体が少し斜め(30度くらい)になるように調整します。
- 両手にペットボトルを持ち、胸の横あたりに構えます。この時、手のひらは向かい合わせか、少し斜め前に向けると良いでしょう。
- 息を吐きながら、ゆっくりとペットボトルを胸の上で持ち上げます。天井に向かって、弧を描くようなイメージです。
- 両腕が伸びきる少し手前で止め、息を吸いながら、ゆっくりと元の位置に戻します。
- この動作を10回ほど繰り返しましょう。
よくある間違いと正しいフォーム
- 間違い:肩をすくめてしまう。
- 正しいフォーム:肩の力は抜き、リラックスしましょう。肩甲骨を少し寄せるように意識すると、胸の筋肉を使いやすくなります。
- 間違い:腰を反らせてしまう。
- 正しいフォーム:お腹に軽く力を入れて、腰が反らないように注意します。
- 間違い:腕の力だけで上げてしまう。
- 正しいフォーム:胸の筋肉が「ぎゅーっ」と縮まるのを感じながら、ゆっくりと持ち上げましょう。
2. 器具を使ったトレーニング(ダンベル)
ペットボトルで物足りなくなってきたら、いよいよダンベルの出番です。スポーツ用品店やインターネットで、重さを調節できるタイプのものが手に入ります。最初は1kg〜2kg程度の軽いものから始めましょう。
準備するもの
- ダンベル 2つ
- インクラインベンチ(角度を調節できるトレーニング用のベンチ)、または代用できる椅子
やり方
- ベンチの角度を30度〜45度に設定します。角度が急すぎると肩への負担が大きくなるので注意してください。
- ベンチに深く座り、両足をしっかりと床につけます。肩甲骨を寄せて、胸を張ります。
- ダンベルを両手に持ち、太ももの上に置きます。膝でダンベルを蹴り上げるようにして、胸の上まで持ち上げ、腕を伸ばします。
- 息を吸いながら、ゆっくりとダンベルを胸の横まで下ろします。肘が肩より下がりすぎないように注意しましょう。
- 息を吐きながら、胸の筋肉を使うことを意識して、ダンベルを元の位置まで押し上げます。
よくある間違いと正しいフォーム
- 間違い:ダンベルを勢いよく下ろしてしまう。
- 正しいフォーム:コントロールしながら、ゆっくりと下ろすことで、筋肉にしっかりと刺激が入り、怪我の予防にもなります。
- 間違い:ダンベル同士をカチンとぶつけてしまう。
- 正しいフォーム:トップポジションでも、筋肉の緊張を解かないように、ダンベル同士はぶつけないようにしましょう。
トレーニングの頻度と期間の目安
「毎日がんばらないと!」と意気込む必要はありません。筋肉は、トレーニングで傷つき、休息することで回復し、より強くなります。これを「超回復」と呼びます。
- 頻度:週に2〜3回、1日おきくらいがおすすめです。
- 期間:効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、まずは3か月続けてみましょう。正しいフォームで続けていれば、きっと体の変化に気付くはずです。「あれ、なんだか姿勢が良くなったかも?」そんな小さな発見が、続ける喜びになりますよ。
トレーニング効果を高める生活習慣
1. 食事のポイント(タンパク質など)
トレーニングをがんばったら、体にご褒美をあげましょう。筋肉の材料となるのは、なんといっても「タンパク質」です。
- タンパク質を意識して摂る:お肉、お魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)に多く含まれています。毎食、手のひら1枚分くらいのタンパク質を摂ることを目標にしましょう。
- トレーニング後のゴールデンタイム:トレーニング後30分〜1時間以内は、筋肉が栄養を最も吸収しやすい「ゴールデンタイム」。この時間に、プロテインや牛乳、ゆで卵などを摂ると、効果的に筋肉を育てることができます。
- バランスの良い食事を:もちろん、タンパク質だけではいけません。野菜や果物からビタミン・ミネラルを、ご飯やパンからエネルギー源となる炭水化物を、バランス良く摂ることが大切です。
2. 休息と回復の重要性
先ほどお話しした「超回復」のためにも、休息はトレーニングと同じくらい重要です。
- 質の良い睡眠を:筋肉は、私たちが眠っている間に作られます。寝る前にスマートフォンを見るのは控える、リラックスできる音楽を聴くなどして、ぐっすり眠れる環境を整えましょう。
- やりすぎは禁物:筋肉痛がひどい時や、疲れが溜まっている時は、思い切って休みましょう。休むことも、大切なトレーニングの一つです。
3. 日常生活で意識するべきこと
トレーニングの時間だけでなく、普段の生活の中でも少し意識を変えるだけで、効果はぐんとアップします。
- 良い姿勢を心がける:信号待ちの時間や、電車に乗っている時、少し胸を張って、肩甲骨を寄せる意識をしてみましょう。これだけでも、立派なトレーニングになります。
- 荷物を持つ時:買い物袋などを持つ時も、腕だけでなく、少し胸の筋肉を意識してみると良いでしょう。
- 深呼吸をする:時々、胸を大きく開いて深呼吸をしましょう。胸周りの筋肉がほぐれ、リラックス効果も期待できます。
よくある質問(FAQ)
Q1: どれくらいで効果が出ますか?
A: 効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には2〜3か月ほど、正しいフォームで週に2〜3回のトレーニングを続けると、姿勢が良くなったり、デコルテラインがすっきりしたりといった変化を感じ始める方が多いようです。焦らず、ご自身のペースで続けることが何よりも大切ですよ。
Q2: ベンチの角度は何度くらいが良いのでしょうか?
A: 初めての方は、肩への負担が少ない30度くらいから始めるのがおすすめです。慣れてきたら、45度くらいまで角度をつけても良いでしょう。45度以上にすると、胸よりも肩のトレーニングに近くなってしまうため、30〜45度の範囲で、ご自身が一番胸の上部に効いていると感じる角度を探してみてください。
Q3: どのくらいの重さのダンベルを使えば良いですか?
A: まずは、10回〜15回程度、無理なく正しいフォームで繰り返せる重さから始めましょう。500mlのペットボトル(約500g)から始めて、物足りなくなったら1kg、2kgと、少しずつ重くしていくのが安全です。重すぎるとフォームが崩れ、怪我の原因になりますので、決して無理はしないでくださいね。
Q4: トレーニング中に肩が痛くなってしまいます。
A: 肩が痛む場合、いくつかの原因が考えられます。(1)フォームが間違っている(肩をすくめている、肘を開きすぎている)、(2)ダンベルが重すぎる、(3)ベンチの角度が急すぎる、などです。まずはフォームを見直し、軽い重さでゆっくり行ってみてください。それでも痛みが続く場合は、無理せずトレーニングを中止し、専門家にご相談ください。
Q5: 腰痛持ちでもできますか?
A: 腰痛がある方は、必ず事前にお医者様へご相談ください。許可が出た場合でも、トレーニング中は腰を反らせすぎないように、お腹に軽く力を入れて行うことが大切です。痛みや違和感を感じたら、すぐに中止しましょう。
Q6: トレーニングは毎日やった方が効果的ですか?
A: いいえ、毎日行う必要はありません。筋肉は、トレーニングと休息を繰り返すことで成長します。週に2〜3回、1日おきくらいのペースが理想的です。筋肉痛が残っている日は、お休みするか、ストレッチなど軽い運動に留めましょう。
Q7: 自宅にベンチがありません。代用できるものはありますか?
A: はい、代用できます。背もたれのある椅子に座り、背中と背もたれの間にクッションや丸めたバスタオルなどを挟んで、上半身が少し斜めになるように調整してみてください。安定した状態で行うことが大切ですので、ぐらつかない椅子を選んでくださいね。
Q8: ぽっこりお腹にも効きますか?
A: インクラインダンベルプレスは、直接的にお腹の脂肪を減らす運動ではありません。しかし、胸のような大きな筋肉を鍛えることで基礎代謝が上がり、全体的に脂肪が燃えやすい体になるため、間接的にぽっこりお腹の解消にも繋がると言えるでしょう。
Q9: プロテインは飲んだ方が良いのでしょうか?
A: 必ずしも飲む必要はありません。まずは、毎日の食事からタンパク質をしっかり摂ることを心がけましょう。もし、食事だけでは不足しがちな場合や、トレーニング後手軽に栄養補給をしたい場合には、補助的に利用するのも良い方法です。女性向けの飲みやすいプロテインもたくさん市販されていますよ。
Q10: モチベーションが続きません。どうしたら良いですか?
A: そんな時は、目標を小さく設定してみましょう。「今日は5回だけやってみよう」とか、「この音楽が終わるまで頑張ろう」とか。また、トレーニングの記録をつけるのもおすすめです。できた日にシールを貼るだけでも、達成感が得られますよ。お友達と一緒に始めるのも良いですね。
Q11: 他の人と比べてしまい、落ち込んでしまいます。
A: 体力も骨格も、人それぞれ違います。大切なのは、過去の自分より少しでも成長することです。「先週より1回多くできた」「前よりフォームがきれいになった」そんなご自身の小さな進歩を、たくさん褒めてあげてください。
Q12: ダンベルを持つと手が滑ってしまいます。
A: トレーニング用のグローブを使うのがおすすめです。滑り止めになり、手のひらのマメ予防にもなります。スポーツ用品店などで手に入りますので、探してみてはいかがでしょうか。
Q13: 呼吸はどのようにすれば良いですか?
A: 呼吸は、力を入れる時に「吐き」、緩める時に「吸う」のが基本です。インクラインダンベルプレスの場合は、ダンベルを持ち上げる時に「ふーっ」と息を吐き、下ろす時に「すーっ」と息を吸いましょう。呼吸を止めると血圧が上がりやすいので、自然な呼吸を心がけてください。
Q14: 有酸素運動と組み合わせた方が良いですか?
A: はい、組み合わせることで、より高い健康効果が期待できます。筋トレで基礎代謝を上げ、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動で脂肪を燃焼させるのが、とても効率的です。筋トレを先に行うと、成長ホルモンが分泌され、その後の有酸素運動での脂肪燃焼効果が高まると言われています。
Q15: 家事のついでにできる工夫はありますか?
A: 例えば、窓拭きをする時に、少し大胸筋を意識して腕を大きく動かしてみましょう。また、床のものを拾う時に、胸を張ったまま膝を曲げて拾うようにすると、良い姿勢を保つ練習になります。日々の小さな意識の積み重ねが、大きな変化に繋がりますよ。
Q16: この先、トレーニングを続けるとどうなりますか?
A: トレーニングを続けることで、まず見た目に自信が持てるようになります。姿勢が良くなり、洋服もきれいに着こなせるようになるでしょう。そして、体力がつくことで、旅行や趣味を今まで以上に楽しめるようになります。何より、「自分はまだまだ成長できる」という自信が、あなたの毎日をより一層輝かせてくれるはずです。
Q17: デメリットはありますか?
A: どんなトレーニングにも言えることですが、間違ったフォームで行うと怪我のリスクがある点がデメリットと言えます。特にインクラインダンベルプレスは、肩を痛めやすい種目です。軽い重量で正しいフォームを身につけること、痛みを感じたら無理しないことが大切です。
また、フラットベンチで行うよりも扱える重量が軽くなるため、高重量を追い求めたい方には少し物足りなく感じるかもしれません。
Q18: バストアップに本当に効果がありますか?
A: はい、効果が期待できます。ただし、乳房そのものが大きくなるわけではありません。バストの土台である大胸筋が鍛えられることで、胸全体が持ち上げられ、ハリと厚みが出ます。
これにより、バストがリフトアップし、形が美しく整うため、結果としてバストアップしたように見えるのです。
Q19: 肩ではなく、胸に効かせるコツはありますか?
A: 最も大切なコツは「肩甲骨を寄せて、胸を張る」ことです。動作中は常にこの姿勢をキープしてください。また、ダンベルを下ろす時に、脇を締め気味に(開きすぎないように)し、胸の筋肉がストレッチされているのを感じましょう。
上げるときは、腕で押すのではなく、胸の筋肉を収縮させる意識で行うと、より効果的です。
Q20: ダンベルプレスとダンベルフライの違いは何ですか?
A: どちらも胸を鍛える代表的な種目ですが、動きが異なります。「プレス」は、ダンベルを「押す」動作で、比較的重い重量を扱うことができ、胸全体の筋力と厚みをつけるのに効果的です。
一方、「フライ」は、腕を広げたり閉じたりする「開閉」動作で、胸の筋肉を大きくストレッチさせ、特に胸の幅や輪郭を整えるのに効果的です。まずはプレスで基礎を作り、慣れてきたらフライを取り入れるのも良いでしょう。
まとめ
大切なポイント
- インクラインダンベルプレスは、50代からのデコルテケアと健康維持にとても効果的です。
- 「軽い重さで、正しいフォームで、無理なく」が、安全で効果的なトレーニングの合言葉です。
- トレーニング効果を高めるには、タンパク質を意識した食事と、質の良い休息が欠かせません。
- 不安なことや痛みがある場合は、一人で悩まず、お医者様や専門家に相談しましょう。
インクラインダンベルプレスは、ただ胸を鍛えるだけのエクササイズではありません。それは、自分自身にもう一度、自信と輝きを取り戻すための、魔法の杖のようなもの。続けていくうちに、鏡に映るあなたが、少しずつ胸を張り、凛としていく姿に、きっと驚くはずです。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。
監修者プロフィール:樋口 直彦 先生

医療法人藍整会 なか整形外科 理事長。なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長。
帝京大学医学部卒業後、大学病院や複数の医療機関で整形外科医として研鑽を積み、院長を歴任。2020年10月より、医療法人藍整会なか整形外科の理事長を務める。骨折治療・関節外科・スポーツ整形外科を専門とし、アスリートから地域住民まで幅広い世代の診療にあたっている。バレーボールSVリーグ「サントリーサンバーズ大阪」のチームドクターとしても活動し、トップアスリートの治療経験を日常診療にも活かしている。また、ICTを積極的に導入し、「お待たせしない診療」を実現。安心して通える医療環境づくりと、地域に根ざした質の高い医療提供を信条としている。




