サイドプランクとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
サイドプランクとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月10日
この記事3行まとめ
✓ サイドプランクは体幹を鍛え、くびれ作りや姿勢改善に繋がります
✓ 50代・60代女性は膝をつくなど、安全な方法から始めるのがおすすめです
✓ トレーニング効果を高めるには、正しい食事と休息も大切です
サイドプランクとは?
サイドプランクは、横向きになって体を支えることで、主に体の側面にある「腹斜筋(ふくしゃきん)」を鍛えるトレーニングです。
この腹斜筋は、くびれを作るだけでなく、体をひねったり、曲げたりする動作に欠かせない筋肉。まるで天然のコルセットのように、お腹周りを引き締め、体幹を安定させる重要な役割を担っています。
50代・60代になると、知らず知らずのうちに筋力は低下しがちです。特に体幹の筋肉が弱ると、姿勢が崩れたり、バランスが取りにくくなったりと、日々の生活に影響が出てくることも。サイドプランクは、そんな体幹を手軽に、かつ効果的に鍛えられる優れたトレーニングなのです。
さらに、サイドプランクは腹斜筋だけでなく、お尻の横側にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」や、腰の安定に関わる「腰方形筋(ようほうけいきん)」にも働きかけます。
中殿筋は歩行時の骨盤の安定に不可欠で、この筋肉が弱ると歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まります。50代からの世代にとって、これらの筋肉を同時に鍛えられるサイドプランクは、まさに一石二鳥のトレーニングと言えるでしょう。
サイドプランクのメリット
サイドプランクで腹斜筋を中心とした体幹を鍛えることには、私たち世代にとって嬉しいメリットがたくさんあります。
- ウエストの引き締め、くびれ作り:腹斜筋が引き締まることで、気になるお腹周りがスッキリし、若々しいボディラインを目指せます。
- 姿勢の改善:体の幹がしっかりすると、背筋が自然と伸び、美しい立ち姿に。猫背の改善も期待できます。
- 腰痛の予防・改善:腹筋と背筋のバランスが整い、体幹が安定することで、腰への負担が軽減され、つらい腰痛の予防に繋がります。
- バランス能力の向上:体のふらつきが少なくなり、転倒のリスクを減らすことができます。人混みでも安心して歩けるようになります。
- 基礎代謝のアップ:筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、太りにくく、痩せやすい体質へと導いてくれます。
- 趣味のパフォーマンス向上:ゴルフやテニス、ダンスなど、体をひねる動作のある趣味を楽しんでいる方には特におすすめです。体幹が安定することで、軸がブレにくくなり、よりパワフルで安定した動きが可能になります。
統計データ(厚生労働省の調査などより)
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、運動習慣のある50代女性は19.7%、60代女性は39.5%という結果でした。多くの方が健康への意識は持ちつつも、なかなか運動を習慣にできていない現状がうかがえます。
しかし、諦めることはありません。サイドプランクのような自重トレーニングは、特別な器具も場所も必要とせず、思い立ったその日から始められます。週に2〜3回、短い時間からでも継続することで、体は着実に変わっていきます。
体幹の筋力低下が招く心身のトラブル
「最近、なんだか体のラインが崩れてきたかも」「ちょっとした段差でつまずきやすくなった」……そんなふうに感じていませんか? それはもしかしたら、体幹の筋力低下が原因かもしれません。
サイドプランクで体幹を鍛えることは、見た目の変化だけでなく、心身のさまざまな不調を防ぐことにも繋がります。
筋力低下が招く身体的な問題
体幹、特に腹斜筋の力が弱まると、私たちの体にはさまざまな問題が起こりやすくなります。
- ぽっこりお腹:内臓を支える力が弱まり、お腹がぽっこりと出て見えてしまいます。
- 姿勢の悪化:背骨を支える力が低下し、猫背や反り腰の原因に。見た目の印象が悪くなるだけでなく、肩こりや首こりにも繋がります。
- 腰や膝への負担増:体の中心が不安定になることで、歩行時や立ち座りの際に腰や膝に余計な負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。
- 尿漏れの悪化:腹斜筋は骨盤底筋群とも連動しています。体幹が弱ることで、くしゃみや咳をした拍子に尿が漏れてしまうといった悩みにも繋がることがあります。
体の変化が心に与える影響
体の変化は、私たちの心にも影響を与えます。「好きな洋服が似合わなくなった」「疲れやすくて外出が億劫になった」といった経験から、自信を失ったり、気分が落ち込んだりすることもあるでしょう。
しかし、トレーニングで自分の体が少しずつ変わっていく実感は、大きな自信と喜びに繋がります。体が軽くなれば、心も自然と前向きになり、新しいことに挑戦する意欲も湧いてくるはずです。
関連する他の不調やトラブル
体幹の筋力低下は、全身のバランスを崩す引き金にもなります。例えば、歩くときに無意識に片方の足に負担をかけてしまい、股関節や足首の痛みに繋がることも。また、呼吸が浅くなる原因にもなり、疲れやすさや自律神経の乱れを招く可能性も指摘されています。
サイドプランクで体の中心を整えることは、こうした全身の不調を予防する第一歩となるのです。
トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談
安全にトレーニングを始めるために
サイドプランクは効果的なトレーニングですが、安全に行うことが何よりも大切です。特に、高血圧、心臓病、腰や肩に持病がある方、体力に全く自信がないという方は、自己判断で始めずに、まずはかかりつけ医に相談しましょう。「この運動を始めても大丈夫?」と一言確認するだけで、安心してトレーニングに取り組むことができます。
専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット
自己流のトレーニングは、間違ったフォームで行ってしまうリスクが伴います。効果が出ないばかりか、かえって体を痛めてしまう可能性も。パーソナルトレーナーなどの専門家に相談すれば、一人一人の体力や体の状態に合わせた、最も安全で効果的な方法を指導してもらえます。
- 正しいフォームの習得:怪我のリスクを最小限に抑え、トレーニング効果を最大限に引き出します。
- 個別最適化されたプログラム:あなたの目的(ダイエット、体力向上など)に合わせたメニューを組んでもらえます。
- モチベーションの維持:励ましや的確なアドバイスが、トレーニングを続ける大きな支えになります。
良い専門家の見つけ方
信頼できる専門家を見つけるには、いくつかのポイントがあります。資格の有無はもちろん、「50代以上の指導経験が豊富か」「説明が丁寧で分かりやすいか」「こちらの悩みや不安に親身に寄り添ってくれるか」などをチェックしましょう。
地域のフィットネスクラブや公共施設の運動教室などで、体験レッスンを受けてみるのも良い方法です。
健康や体づくりに役立つ講座やイベントや専門家から直接指導を受けられる機会も、ぜひチェックしてみてください。
サイドプランクの具体的なトレーニング方法
トレーニング前の準備運動と後のクールダウン
怪我を防ぎ、トレーニング効果を高めるために、始める前の準備運動(ウォームアップ)と、終わった後の整理運動(クールダウン)を習慣にしましょう。
ウォームアップ例(各30秒ほど)
- 腕回し:両腕を前から後ろ、後ろから前へゆっくり大きく回し、肩甲骨まわりをほぐします。
- 体側のストレッチ:足を肩幅に開き、片手を天井へ、もう片方の手は腰に。天井へ上げた腕をゆっくりと真横に倒し、体の側面を気持ちよく伸ばします。
- 軽い足踏み:その場で軽く足踏みをし、心拍数を少しずつ上げて体を温めます。
クールダウン例(各30秒ほど、深い呼吸で)
- 脇腹のストレッチ:正座またはあぐらの姿勢から、片手を床につき、もう片方の腕をゆっくりと斜め上に伸ばし、トレーニングで使った脇腹をじっくり伸ばします。
- 肩まわりのストレッチ:片腕を胸の前に伸ばし、反対の腕で抱えるようにして、肩の後ろ側を伸ばします。
トレーニング方針の決定
まずは、あなたの目的を明確にしましょう。「お腹周りを引き締めたい」「腰痛を予防したい」「ゴルフの飛距離を伸ばしたい」など、目的によって意識するポイントやトレーニングの組み合わせも変わってきます。
最初は無理のない範囲で、「週に2回、30秒ずつ挑戦してみる」といった具体的な計画を立てることが、継続のコツです。可能であれば、最初は専門家の指導のもとで正しいフォームを身につけることを強く推奨します。
1. 自重トレーニング
自宅で器具を使わずにできる、基本的なサイドプランクのやり方です。
【初心者向け】膝つきサイドプランク
- 床に横向きになり、肩の真下にひじをつきます。ひじの角度は90度にしましょう。
- 両膝を軽く曲げ、下の脚の側面で体を支えます。
- 息を吐きながら、ゆっくりと腰を持ち上げます。このとき、頭からお尻、膝までが一直線になるように意識してください。
- お腹と脇腹に力が入っているのを感じながら、その姿勢を20〜30秒キープします。呼吸は止めないようにしましょう。
- ゆっくりと腰を下ろし、反対側も同様に行います。左右それぞれ2〜3セットが目標です。
【基本のサイドプランク】
- 膝つきに慣れてきたら、次は脚を伸ばして挑戦してみましょう。
- 横向きになり、肩の真下にひじをつきます。
- 両脚をまっすぐ伸ばし、足は重ねるか、バランスが取りにくければ前後に少し開いても構いません。
- 息を吐きながら腰を持ち上げ、頭からかかとまでが一直線になるようにします。
- お尻が落ちたり、体が前に倒れたりしないように注意しながら、20〜30秒キープします。
- 左右それぞれ2〜3セット行いましょう。
よくある間違いと正しいフォーム
×NG:お尻が落ちている → 体が「く」の字に曲がっていると、腹斜筋に効かず、腰を痛める原因になります。
〇お尻をきゅっと締めて、体を一直線に保ちましょう。
×NG:肩に力が入りすぎている → 肩や首がすくんでいませんか?
〇床についている腕でしっかり床を押し、肩と耳の距離を離すように意識すると、肩への負担が減ります。
×NG:体がねじれている → 上体が前や後ろに開いてしまうと効果が半減します。
〇両肩と骨盤が、常に正面の壁と平行になるように意識してください。
2. 応用編!自重トレーニング
基本のフォームに慣れたら、少し動きを加えてみましょう。より高い効果が期待できます。
サイドプランク・レッグレイズ(お尻の筋肉にアプローチ)
- 基本のサイドプランクの姿勢になります。
- 姿勢を安定させたまま、上の脚をゆっくりと、無理のない高さまで持ち上げます。
- ゆっくりと脚を下ろし、元の位置に戻します。
- この動作を10回ほど繰り返します。お尻の横(中殿筋)に効いているのを意識しましょう。
サイドプランク・ツイスト(くびれ作りに効果的)
- 基本のサイドプランクの姿勢になり、上の腕を天井に向かって伸ばします。
- その腕を、ゆっくりと体の下にある隙間に通すように、上半身をひねります。
- ゆっくりと元の位置に戻り、再び腕を天井に伸ばします。
- この動作を10回ほど繰り返します。脇腹が雑巾のように絞られるのを感じましょう。
3. 器具を使ったトレーニング
自重トレーニングに慣れてきたら、少し負荷を上げてみましょう。ただし、無理は禁物です。軽い負荷から始め、絶対に高重量は扱わないようにしてください。
ダンベルを使ったサイドプランク
- 基本のサイドプランクの姿勢をとります。
- 上になった方の手で、軽いダンベル(1〜2kg程度)や水を入れたペットボトルを持ちます。
- その腕を、天井に向かってまっすぐ伸ばします。
- 体がぐらつかないように体幹でしっかり支えながら、姿勢をキープします。
よくある間違いと正しいフォーム
×NG:重すぎる器具を使う → フォームが崩れる原因になります。
〇まずは器具なしで完璧なフォームを身につけることが最優先です。
×NG:勢いをつけて腕を上げる →反動を使うと、肩を痛めるリスクがあります。
〇腕を上げ下げする際は、ゆっくりとコントロールされた動きを心がけましょう。
トレーニングの頻度と期間の目安
「どれくらいで効果が出るの?」と気になりますよね。効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には週に2〜3回のトレーニングを1〜2か月続けると、「姿勢が良くなったかも」「お腹周りが少し引き締まった気がする」といった変化を感じ始める方が多いようです。
大切なのは、焦らず自分のペースで続けること。筋肉はトレーニングと休息を繰り返すことで成長します。毎日行うよりも、1日おきなど、休息日を設けながら行う方が効果的です。
トレーニング効果を高める生活習慣
1. 食事のポイント(タンパク質・ビタミン・ミネラル)
筋肉を作るためには、材料となる栄養素が不可欠です。特に、筋肉の主成分である「タンパク質」を意識して摂取しましょう。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに豊富に含まれています。毎食、手のひら1枚分くらいのタンパク質を摂るのが目安です。
さらに、骨の健康を支える「カルシウム」(小魚、乳製品、緑黄色野菜など)と、その吸収を助ける「ビタミンD」(きのこ類、魚類など)、筋肉の働きをスムーズにする「マグネシウム」(海藻、ナッツ、大豆製品など)も、私たち世代には欠かせない栄養素です。様々な食材をバランス良く食事に取り入れましょう。
2. 休息と回復の重要性
トレーニングで傷ついた筋繊維は、休息している間に修復され、以前よりも少しだけ強く、太くなります。これを「超回復」と呼びます。筋肉を育てるためには、トレーニングと同じくらい休息が重要です。
質の良い睡眠は、最高の回復薬です。就寝1〜2時間前には、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かってリラックスしたり、スマートフォンやパソコンの画面を見るのをやめたりすると、寝つきが良くなります。ラベンダーなどのアロマを香らせたり、心地よい音楽を聴いたりするのもおすすめです。
3. 日常生活で意識するべきこと
トレーニングの時間以外でも、少し意識を変えるだけで効果は高まります。
- 正しい姿勢を保つ:座っているときも、立っているときも、軽くお腹に力を入れて、頭のてっぺんから糸で吊られているようなイメージで背筋を伸ばしましょう。
- 歩き方を意識する:歩くときに、少し大股で、かかとから着地することを意識すると、自然と体幹が使われます。
- 呼吸を深くする:深い腹式呼吸は、インナーマッスルを刺激します。時々、お腹の動きを意識しながら深呼吸をしてみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: サイドプランクは、具体的に体のどこに効くのですか?
A: 主に、脇腹にある「腹斜筋」という筋肉に効果的です。この筋肉は、くびれを作ったり、体を安定させたりするのに重要な役割を果たします。その他にも、お腹の深層部にある「腹横筋」、姿勢を支える背中の筋肉、そして歩行の安定に欠かせないお尻の横の「中殿筋」など、体幹全体の強化に繋がる、非常に効率の良いトレーニングです。
Q2: どれくらいの期間続ければ、効果を実感できますか?
A: 効果の現れ方には個人差がありますが、一般的に週2〜3回のペースで1〜2か月続けると、多くの方が「姿勢が良くなった」「お腹周りが引き締まってきた」「歩くときにふらつきにくくなった」といった体の変化を感じ始めます。
焦らず、ご自身のペースで継続することが何よりも大切です。
Q3: どのくらいの時間、どのくらいの頻度で行うのが良いですか?
A: まずは「20秒キープ」を目標に始めてみましょう。大切なのは時間よりもフォームの正確さです。正しいフォームを保てるようになったら、少しずつ時間を30秒、40秒と延ばしてみてください。頻度としては、週に2〜3回がおすすめです。
筋肉が回復・成長する時間も必要なので、毎日行うよりも1日おきなど休息日を設ける方が効果的です。
Q4: 年齢や体力に自信がないのですが、安全にできますか?
A: はい、もちろんです。体力に自信がない方は、膝をついた状態で行う「膝つきサイドプランク」から始めてみてください。通常のサイドプランクよりも負荷が軽く、安全に取り組むことができます。
まずは10秒からでも大丈夫。「できた」という感覚を大切に、無理のない範囲で挑戦してみましょう。
Q5: 腰痛持ちなのですが、サイドプランクを行っても大丈夫ですか?
A: サイドプランクは体幹を強化し、腰への負担を減らすため、腰痛の予防・改善に効果が期待できます。しかし、現在痛みが強い場合や、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの診断を受けている場合は、自己判断で行うのは危険です。
特に、ぎっくり腰を経験したことがある方は注意が必要です。必ず事前にかかりつけ医や理学療法士に相談し、許可を得てから、専門家の指導のもとで行うようにしてください。
Q6: トレーニング中に肩やひじが痛くなります。どうすれば良いですか?
A: 肩やひじの痛みは、フォームが間違っているサインかもしれません。ひじが肩の真下に置かれているか、肩に力が入りすぎて首がすくんでいないかを確認しましょう。床についている方の手でしっかりと床を押し、肩甲骨を寄せるように意識すると、肩への負担が和らぎます。
また、床が硬い場合は、ヨガマットや折りたたんだバスタオルをひじの下に敷くと痛みを大幅に軽減できます。痛みが続く場合は無理をせず、フォームを見直すか、専門家に相談しましょう。
Q7: 自宅でのトレーニングと、ジムでのトレーニング、どちらが良いですか?
A: サイドプランクは自宅で手軽にできるのが最大の魅力です。まずはご自宅で、この記事で紹介した正しいフォームを身につけることを目標にしましょう。
もし、より高い効果を求めたい、他のトレーニングも体系的に学びたい、一人ではモチベーションが続かないという場合は、専門的な器具が揃い、トレーナーのアドバイスも受けられるジムの利用を検討するのも良い選択です。
Q8: ぽっこりお腹を解消したいのですが、効果はありますか?
A: はい、効果が期待できます。年齢とともにお腹がぽっこりしてくる原因の一つに、内臓を支えるインナーマッスルの衰えによる「内臓下垂」があります。サイドプランクは、お腹周りの筋肉を天然のコルセットのように引き締め、内臓を正しい位置に保つ助けになります。
腹筋運動のようにお腹の前面だけでなく、側面からしっかり支えるため、ぽっこりお腹の解消に非常に効果的です。バランスの良い食事や有酸素運動と組み合わせると、さらに見た目の変化を実感しやすくなります。
Q9: トレーニング効果を高める食事のポイントはありますか?
A: 筋肉の材料となるタンパク質をしっかり摂ることが大切です。お肉、お魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れるように心がけましょう。それに加え、私たち世代は骨の健康も大切です。
骨を丈夫にするカルシウム(乳製品、小魚など)とその吸収を助けるビタミンD(きのこ類など)、筋肉の調子を整えるマグネシウム(海藻、ナッツ類など)も積極的に摂ることをおすすめします。
Q10: なかなかトレーニングが続きません。モチベーションを保つコツは?
A: 続けるためのコツは、「がんばり過ぎない」ことです。まずは「テレビCMの間だけやる」など、ごく簡単な目標から始めましょう。
他にも、「お気に入りの素敵なウェアを着る」「好きな音楽を聴きながらやる」「カレンダーにシールを貼って達成感を可視化する」「ご友人や家族と一緒に始める」など、自分が楽しいと思える工夫を取り入れるのがおすすめです。小さな「できた」を積み重ねることが、大きな自信に繋がります。
Q11: 他の人と比べてしまい、自分の成長が遅いように感じてしまいます。
A: 体の変化のペースは、骨格や今までの運動経験など、本当に人それぞれです。大切なのは、過去の自分と比べること。「先週より5秒長くできた」「フォームが安定してきた」など、ご自身の小さな成長を認め、たくさん褒めてあげましょう。
他人と比べる必要は全くありません。ご自身のペースで、楽しみながら続けることが一番の近道です。
Q12: プロテインなどのサプリメントは摂った方が良いですか?
A: 基本的には、3度の食事からバランス良く栄養を摂ることが最も重要です。もし、小食でどうしてもタンパク質が不足しがちな場合や、より効率的に筋肉をつけたい場合に、補助としてプロテインを利用するのは一つの方法です。
ただし、腎臓に負担をかけることもあるため、利用を考える際は、まずかかりつけ医や管理栄養士に相談してみるのが安心です。
Q13: 毎日やらないと効果はないのでしょうか?休息は必要ですか?
A: 休息はトレーニングと同じくらい重要です。筋肉はトレーニングによって傷つき、休んでいる間に栄養を取り込んで修復されることで成長します。この「超回復」の時間を確保するためにも、トレーニングは毎日ではなく、週に2〜3回、1日おきなどで行うのが最も効果的です。頑張りすぎず、体に「お休み」をあげる日も大切にしてください。
Q14: ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせた方が良いですか?
A: はい、組み合わせることで素晴らしい相乗効果が期待できます。サイドプランクのような筋トレで基礎代謝を上げ、筋肉量を増やすことで、体がエネルギーを消費しやすい状態になります。
その上でウォーキングなどの有酸素運動を行えば、効率よく脂肪を燃焼させることができます。順番としては、筋トレを行ってから有酸素運動をするのがおすすめです。
Q15: 日常生活の中で、サイドプランクの効果を高める工夫はありますか?
A: あります。例えば、電車で立っているときに軽くお腹に力を入れてみたり、信号待ちの間にかかとを少しだけ浮かせてみたり。椅子に座るときに背筋を伸ばして浅めに座ることを意識するだけでも、体幹を使う良い練習になります。
日々の小さな意識の積み重ねが、トレーニング効果をさらに高めてくれます。
Q16: トレーニングを続けると、将来的にはどんな良いことがありますか?
A: トレーニングを続けることは、未来の自分への最高の投資です。筋力が維持されることで、将来的に介護の必要性が低くなったり、転倒による骨折のリスクを減らしたりできます。
何歳になっても自分の足で好きな場所へ出かけ、旅行や趣味を楽しみ続ける……そんな生き生きとした毎日を送るための、力強い土台となってくれるでしょう。
Q17: 左右でやりやすさが違うのですが、そのままで良いですか?
A: 左右差を感じる方は非常に多いので、心配いりません。多くの場合、日常生活での体の使い方のクセ(いつも同じ側でバッグを持つ、足を組むなど)が原因で、筋力や柔軟性に差が生まれています。
苦手だと感じる方を少し長めに、あるいは1セット多く行ってみましょう。そうすることで、体の左右のバランスが整いやすくなります。ただし、あまりにも差が大きい場合や、片方だけ痛みを伴う場合は、専門家に相談してみてください。
Q18: 通常のプランク(うつ伏せのプランク)との違いは何ですか?
A: うつ伏せで行う通常のプランクは、主にお腹の正面にある「腹直筋」や、背骨に沿った「脊柱起立筋」など、体の”前後”を支える筋肉を鍛えます。一方、サイドプランクは、脇腹の「腹斜筋」やお尻の「中殿筋」など、体の”側面”を支える筋肉に特化しています。
どちらが良いというわけではなく、両方行うことで、体の前後左右から中心を支える、より立体的で頑丈な体幹を作り上げることができます。
まとめ
大切なポイント
- サイドプランクは、くびれ作りや姿勢改善に繋がる体幹トレーニングです。
- 膝をつくなど安全な方法で、正しいフォームを優先しましょう。
- 筋肉の材料となるタンパク質を意識した食事と、質の良い休息が効果を高めます。
- 不安や痛みがあるときは、無理せず専門家に相談することが、長く続ける秘訣です。
私たちの体は、手をかければ必ず応えてくれます。昨日より今日、今日より明日と、少しずつ強くなっていく自分の体を実感することは、大きな自信と喜びに繋がるはずです。焦らず、比べず、ご自身のペースで。サイドプランクから始める新しい習慣で、10年後も輝く、しなやかで美しい体と心を手に入れましょう。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。
監修者プロフィール:菊池大和 先生

きくち総合診療クリニック(神奈川県綾瀬市)院長。医療法人ONE理事長。日本慢性期医療協会総合診療認定医。日本医師会認定健康スポーツ医。認知症サポート医。身体障害者福祉法指定医(呼吸器)。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」を理念に診療にあたる。著書に『「総合診療かかりつけ医」が患者を救う』(2021年)、『「総合診療かかりつけ医」がこれからの日本の医療に必要だと私は考えます。』(2024年)




