リンパの滞りはむくみや肩こりの原因!役割&流れ方

リンパの老廃物はどこへ?セルフケアで流れを改善!

木村友泉
監修者
リンパケアトレーナー
木村友泉

公開日:2024.03.27

マッサージなどで「老廃物がたまっているから、流しておきますね」などと言われた経験がある人も多いはず。しかし、流した老廃物がその後どうなるのか知らない人も多いのではないでしょうか。 リンパやリンパ節の役割、セルフケアとともに詳しく解説します

リンパやリンパ節の役割とは

リンパやリンパ節の役割とは

リンパ」や「リンパ管」、「リンパ節」など、リンパという言葉はよく耳にしますが、知っているようで意外とどんなものか理解していないという人も多いもの。

ここでは、リンパやリンパ節の役割について解説します。

リンパ管に流れるリンパとは

「リンパ」とは、静脈と並走するように体全体を組まなく巡っている「リンパ管」に流れる液体で、「リンパ液」とも呼ばれる無色〜淡黄色の透明でやや粘り気のある液体のことです。

主成分は血液中の液体成分である「血漿(けっしょう)」で、タンパク質とリンパ球が豊富に含まれています。リンパの役割は、体内に侵入した細菌やウイルス、細胞から出た老廃物や余分な水分など、血液循環に入ってはいけない異物をリンパ節へ送ることです。

いわば、下水道のような役割を担っています。

この老廃物を流す工程において、肌のくすみが除去されるなど、美肌にも大きく関わっています。

リンパ節とは

リンパ節とは、リンパ管をつなぐそら豆のような形をした器官です。

リンパ液が運んできた細菌やウイルス、老廃物などの異物をろ過、貪食(消化、分解)、除去するなど、ろ過器のような役割を担っていて、体内に600〜800ほどあるとされています。

リンパ節には、リンパ球やマクロファージ(白血球の一種の貪食細胞)などの免疫細胞が集まっています。リンパというと「腫れる」という言葉を連想しますが、リンパ節が腫れるのはリンパ球やマクロファージが病原体と戦い、その残骸がたまっているからです。

リンパ節に運ばれてきた異物の中で、大きいものにはマクロファージが、小さいものにはリンパ球が働きます。これらの免疫細胞が異物を攻撃、破壊して食べつくしてくれことで、リンパ液がきれいになって流れていく仕組みになっています。

リンパが滞るとどうなる?

リンパの流れは、血液のように早くありません。

心臓の血液は心臓のポンプ機能によって約1分間で体を一周しますが、リンパは筋肉の動きや呼吸によってしか流れず、1分間で10〜15cmしか進みません。リンパの流れは筋肉の収縮運動によるポンプ作用によって促されるので、運動不足になるとリンパの流れも悪くなってしまいます。

リンパの流れが滞ってしまうと、むくみや頭痛、肩こり、肌荒れ、便秘、冷え性など体にさまざまな影響が現れることも。
また、老廃物のデトックス効果も低くなってしまうため、顔のくすみやクマなどの原因にもなります。

リンパでろ過された老廃物はどこへ?

リンパでろ過された老廃物はどこへ?

リンパが運んできた老廃物は、ろ過器のような機能があるリンパ節できれいになります。その後、老廃物はどこへいってしまうのか気になる方もいるかもしれません。

ここでは、リンパ節の場所や流れ方、老廃物がリンパ節でどうなるかについて詳しく解説します。

リンパ節はどこにある?リンパの流れ方は?

以下は、代表的なリンパ節の名称と位置です。

  • 腋窩(えきか)リンパ節:脇の下
  • 鼠蹊(そけい)リンパ節:鼠蹊部
  • 耳介後(じかいこう)リンパ節:耳の後ろ
  • 顎下(がくか)リンパ節:顎の下
  • 膝窩(しっか)リンパ節:膝の裏
  • 肘リンパ節:肘の裏 など

リンパ管は心臓に向かって一方向へ流れていて、主に体の関節付近にあるリンパ節を通り、さらに太いリンパ節へと向かって流れていきます。

そして、リンパは最終的に鎖骨部分へと集まり、鎖骨下静脈と合流して心臓へと送られるのです。

先述の通りリンパは一方向にしか流れないため、全身からリンパが集まる鎖骨部分のリンパ節が滞ってしまうと、ホースが詰まったようにリンパ全体の流れが悪くなり、体全体に老廃物がたまり続けてしまう可能性があります。

リンパ節できれいになったリンパは血液に合流し腎臓に送られる

リンパ節では、リンパ球とマクロファージなど白血球の仲間の免疫細胞が、タンパク質、細菌やウイルス、細胞の代謝から生じた老廃物などを攻撃・破壊、食べつくしてくれています。そしてその働きによってリンパ液はきれいな状態で、静脈へと合流していきます。

つまり、結果的にはリンパ節でリンパ液はろ過されていることにはなりますが、リンパ節がコーヒーフィルターのような役割を果たして、その残滓が老廃物として残る訳ではありません。

その後、血液内で運ぶことができる一部の老廃物は血管を通じて腎臓へ運ばれ、尿や便、汗として体外へと排出されるのです。

リンパの流れをスムーズにするセルフケア

リンパの流れをスムーズにするセルフケア

リンパ管は非常に細く、何本も集まってやっと髪の毛一本ほどの細さになります。

その中を水分や老廃物が流れていくため、詰まりやすく体にもさまざまな影響が出やすくなってしまいます。日頃から足のむくみや肩こりに悩まされている場合は、リンパの流れをスムーズにするセルフケアを行うのがおすすめです。

ここでは、簡単にできる5つのセルフケアを紹介します。

基本のリンパケア

肌や髪の若々しさを保つには、リンパの流れを促進することが大切です。

毎日少しの時間でもケアを習慣づけ、継続して行うようにしましょう。おすすめは、朝起きたときと夜寝る前の2回。きちんと行えば、2週間程度で肩こりなどが改善する可能性もあります。

  1. 下顎に両手を当て、肘から揺らすように優しく振動を与える(約10秒)
  2. 二の腕の後ろあたりを反対側の手で柔らかく触りながら、手のひらを前に向けて振動させる(左右約10秒)
  3. 二の腕から細かく左右に揺らすように振動を与える(左右約10秒)
  4. 鎖骨に手を添え、肩を前後上下に動かす(前後上下それぞれ4往復)
  5. 肩に手を当て、鎖骨と肩甲骨を一緒に動かすように肩をゆっくりと上に回す(4回×2セット)
  6. 最後に首を両手で柔らかく包み、目線を上に、顎を少し上げて優しく振動を与える。(5秒×2セット)

リンパマッサージ

リンパケアというと、最初に思い浮かぶのがリンパマッサージではないでしょうか。

リンパマッサージは体内の水分や老廃物の排出をマッサージによって促し、体の巡りをよくする効果が期待できます。

ただし、正しいやり方で行わないと逆にリンパの流れが滞ってしまう恐れもあるため、注意しなければいけません。

今回は、セルライトが付きやすい「太もものマッサージ」を紹介します。

  1. 太ももの表側、内側、外側と部位を分け、以下のようにそれぞれ丁寧にマッサージをしていく
  2. 太ももにクリームやオイルなどをつけ、両手を太ももの付け根に添えて上から下へしごいていく
  3. 膝の内側から内ももの付け根まで両手で流していき、最後に鼠蹊部を通って外側へ流す
  4. 膝の外側を外ももの付け根まで流し、内側へ流す
  5. この動きを3〜5回ほど行う
  6. 反対側も同じように行う

リンパマッサージを行う際は、必ずクリームやオイルを使って肌に負担がかからないようにする他、無理な力を加えないようにすることが大切です。

着圧アイテムの活用

着圧ソックスやレギンスなどの着圧アイテムは、リンパの流れや血行の改善に効果的だといわれています。

よく「着圧アイテムを履いたら足の疲れやだるさが軽くなった」という話を聞きますが、これは着圧アイテムがポンプ機能をサポートしてくれるからです。

足の下から上に向かう血液やリンパ液、老廃物の循環が促進されることで、足のむくみがスッキリ改善されます。

ただし、着圧アイテムは正しく使うことが重要です。

使い方を間違えると、むくみが悪化したり他の疾患の原因となったりする恐れもあるため、取扱説明書をよく読んで、正しい使い方を守るようにしましょう。

特に、長時間の使用や就寝時の着用は注意が必要です。

日中、動いている時間に着用するタイプを寝るときに着用してしまうと、足の圧力を弱めてむくみを悪化させてしまう可能性もあります。

筋肉と関節を動かす運動

体の内側からリンパの流れを促進するには、リンパ促進運動で日頃から筋肉と関節を動かすことが大切です。

仕事中でも気軽にできる運動なので、ぜひ以下のやり方を覚えておいてください。

  1. 両肩を後ろ向きに10回程度大きく回す
  2. 腹式呼吸を5回程度行う

肩を回す際は、鎖骨が動いていることを意識しながら、痛みを感じない程度に行いましょう。

肩を回すことによって、リンパ液が静脈に合流するスピードが促進。続けて腹式呼吸を行うことで太いリンパ管の流れがよくなり、その結果、体の表面にある細いリンパ管の流れも促進されます。

腹式呼吸を行うときは、へその下あたりに手を置いて、息を吸ったときにしっかりとお腹が膨らむかどうか確かめながらゆっくりと呼吸しましょう。

マッサージを行う前の準備運動として行うのもおすすめです。

また、基礎代謝を上げるために、毎日少しでもウォーキングなどの有酸素運動やホットヨガを行うのもよいでしょう。

お風呂でリンパ流し

お風呂でシャワーや湯船を利用して、リンパ流しを行うのもおすすめです。

まず、温かいシャワーを鎖骨部分にあて、リンパの流れを活性化させます。

続いて末端のつま先から膝、太もも、股関節へと向かってシャワーをゆっくりとあて、足をマッサージしてください。

腕も末端の指先から手首、肘、脇の下と下から上へ向かって当てていき、最後におへそを中心に時計回りでシャワーを当ててお腹を刺激します。

次に、38〜40度の湯船に20分程度浸かって皮脂腺から汗を出しましょう。

体を芯から温めることで血行がよくなり、新陳代謝が活発に。汗が出てくると同時に体にたまった老廃物も排出されます。

また、水圧によって血管やリンパ管が収縮するため、血液やリンパ液の流れがスムーズになる効果も期待できます。

入浴後は体の水分量が少なくなるため、水分補給を忘れずに行うことが重要です。

リンパの老廃物を流してデトックス!

リンパの老廃物は、リンパ節できれいになって(いわば、ろ過されて)全身に回らないような仕組みになっています。

また、リンパ節で老廃物はきれいな状態になり、血液に乗ってさらに腎臓に運ばれ、尿や便、汗として排出されますが、流れが滞ると老廃物も滞るため、日頃からリンパの流れがよくなるようにケアしておくことが大切です。

むくみや肩こりなど、気になる症状がある場合は、セルフケアを取り入れてみましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

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