50代、キャリア最盛期から
失意へ
振り返ると、私にとって50代は、大きな達成感と大きな挫折を味わった激動の時代でした。35年近く公務員として働き、50代は埼玉県の副知事、ブリスベン総領事、内閣府での初代男女共同参画局長などキャリアの最盛期を迎えました。
でも、いいことは永遠には続きませんね。57歳のときに公務員を辞めて埼玉県知事選に出馬したのですが、大変残念なことに落選してしまったのです。
私は副知事を3年間務めたこともあり、埼玉県には知人も多く、使命感もありました。それなりにいい仕事をしてきたという自負もありましたし、応援してくれる方もたくさんいました。
公務員としての長年の行政経験を生かし、埼玉県のためにやるべきこと、できることがたくさんあると思っていたのです。もちろん出馬する以上は当選できるつもりでいました。
自分ではお役に立てると思っていたのに、周りはそのようには評価してくれなかったわけです。
それまでやってきたことが全部ゼロになり、人生おしまいだ――。とても傷つき、そんなふうにも思い詰めました。今になってみれば本当に浅はかですが、あの頃は57歳の自分を「もう若くない」「もう、いい年だ」「これから先何もできない」とも思っていたのです。
そんな失意のどん底にいたとき、「うちの大学に来てくれませんか」と、お声をかけてくださったのが昭和女子大学でした。