シリーズ彼女の生き様|坂東眞理子 #5

年を重ねたからできる日々を「機嫌良く過ごす」極意

年を重ねたからできる日々を「機嫌良く過ごす」極意

公開日:2024年06月22日

これまで生きてきて、苦労だけでなく いいことや、うれしかったことも たくさんあったはず。 それを忘れているのはもったいない。 思い出してご機嫌でいましょう

年を重ねると、あるがままだと不機嫌になりがち

「先生はいつも笑顔ですね」と、よく言われます。

子どもの頃、母から「まりちゃんは美人じゃないけど、笑顔がいいよ」「笑っていると怖くなくなるよ」と言われ、それ以来、笑顔でいるよう心掛けています。ロイヤルスマイルのような上品な笑顔じゃなく、ガハハ笑顔のときもありますけどね(笑)。もっとも、家にいるときは時々ブスッとした表情になっていて、娘から指摘されることもありますが(笑)

毎日を機嫌よく過ごすことはとても大事なことですね。不機嫌でいると、周りにいる方たちに失礼なだけでなく、自分自身も気分がますます落ち込んだり、クヨクヨしてきたりします。年を重ねて、あるがままの気分に任せていると、どんどん不機嫌になっていくのよね。だから私は、50代を過ぎた頃から、「自分らしく」とか、「自分の気持ちに正直に」というのをやめ、意識して上機嫌に振舞うよう努めることにしています。

つらかったことは心に深く刻まれているので、よく覚えているものです。つらいことは自然と思い出してしまい、そちらの方に傾いてしまいますから、敢えて努力していいことを思い出すようにしないとね。これまで生きてきて、いいことや、うれしかったこともたくさんあったはず。それを忘れているのはもったいないもの。私も思考が暗い方に傾いていきそうになったら、「ダメダメ、軌道修正、軌道修正」と自分に言い聞かせています。

不得意なことより得意なことを伸ばす努力の方がいい

それにね、誰にも得意なことと不得意なことがありますが、人生の後半期ともなれば、不得意なことを克服しようと努力するより、得意なことや好きなことを伸ばすようにした方が絶対にいいと思います。

私は子どもの頃から、本を読んだり勉強したりするのは得意でしたが、整理整頓が苦手だったり、よく忘れ物をしたりして、できることとできないことがデコボコでした。通信簿はオール5でも、人間としては全然オール5ではないんです。

「あ、また失敗した」ということが、今でもたくさんあります。スマホがお家でお留守番、とかね(笑)。特に苦手なのが掃除や片付けで、夫によく注意されました。指摘されると、「あ、そう? ごめんね」って返しながら、心の中では「また言ってる」とつぶやいたりしてね(笑)

それでも、あきらめてはいけない、できるだけのことはしないといけないと及ばずながら努力してきましたが、70代に入った頃、「もういいかな」という気持ちになったんです。そして、お掃除をしてくださる方にお願いすることにしたら、驚くほど気持ちが楽になりました。こんなことなら、もっと若くて忙しいときに手放しておけば、もっと心安らかに過ごせたのではないかと思ったほどです。

みなさんも不得意なことは手放して、得意なことを今よりもうちょっとレベルアップしていこう、60代以降に生かしていこうと考えるようにしたらどうでしょうか。好きなことなら苦にならないですし、意欲と元気が湧いてきますよ。

今できることは、その場でベストを尽くす、ただそれだけ

もしも更年期の不調があるなら、一人で悩まず、婦人科などで診てもらうなど具体的な行動を起こしましょう。ウジウジ考えていては時間ももったいないです。つらさを手放して、自分自身をいたわりましょう。

私は現在、77歳。80代という次なる新たなステージが近づいてきました。今はスニーカー通勤ができるし、食べたいものを作って食べることもできるし、本を書いたり、仕事をしたりすることもできます。本当に制約がない幸せな状況だと思います。

この年齢になると、健康であるだけでも御の字だし、仕事があるだけでなんてありがたいんだろうとも思います。病気になったり、亡くなったりした友達もいますからね。感謝する気持ちは以前よりもずっと強いです。

今後は、どんな病気になるか、どんな障害を負うことになるのか、どんな制約が出て、どういう暮らしになるのか……。そんなことは誰にもわかりません。だから、考えてもわからないことは考えない! 計画しても、計画通りにはいかないものですからね。 唯一できることは、その場でベストを尽くすこと。ただそれだけだと思っています。

【シリーズ|彼女の生き様】坂東眞理子《全5回》

  1. 人生100年時代の働く女性へ"ジタバタ"のすすめ
  2. 50代の転職…今までのルールが通じない世界で5年奮闘して
  3. 若き日の“ジタバタ期”こそが苦難や挫折を乗り越える底力
  4. 自分らしさを生かすのに本当に必要な「女性の覚悟」
  5. 年を重ねたからできる日々を「機嫌良く過ごす」極意

坂東眞理子

ばんどうまりこ

1946(昭和21)年、富山県生まれ。東京大学卒業。69年、総理府入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事などを経て、98年、女性初の総領事(オーストラリア・ブリスベン)。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め退官。04年、昭和女子大学教授となり、07年、同大学学長。16年から理事長・総長、23年から現職。06年刊行の『女性の品格』(PHP新書)は320万部を超えるベストセラーに。最新刊に『幸せな人生のつくり方――今だからできることを』(祥伝社文庫)など著書多数。

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自分らしさを生かすのに本当に必要な「女性の覚悟」

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HALMEK up編集部
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