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- 【再注目の映画】宗教2世 揺れ動く当事者
自民党と旧統一教会の関係が連日ワイドショーで取り上げられ、尾を引いています。そんな最中、「星の子」は再び注目を集めた作品です。
あらすじ
林家の次女として生まれたちひろは、虚弱体質でした。両親は、ちひろに現れた湿疹を治そうと奔走します。
ある日、父が同僚からもらった水でちひろの体を清めると、湿疹は徐々に治癒。
両親は宇宙のエネルギーを宿しているという水「金星のめぐみ」の販売元である新興宗教にはまってしまいます。
映画 星の子
映画「星の子」は芥川賞作家・今村夏子の小説を原作とし、2020年に公開されています。
「星の子」は特定の教団や教義にあまり触れられていません。新興宗教にはまった両親を持つ中学3年生の女の子、ちひろの視点から描かれています。
映画は原作をほぼ忠実に再現し、ちひろは芦田愛菜が演じています。愛菜ちゃんの、舞台挨拶でのしっかりした受け答えが話題となりました。
宗教2世の葛藤
旧統一教会の元信者たちがメディアに登場し、目にすることが多くなりました。
選挙活動の応援のため自分の時間を随分使い協力した、という信者の話を聞くと、親近感をおぼえました。汗して働くといった、人間くさい行為がイメージできたからです。
教義および霊感商法などが、今話題となっているわけですが、「星の子」を見ると、親の宗教活動にもっとも被害を被りやすいのは、子どもだということを改めて感じます。
宗教2世の子たちは、それぞれの方法で反抗したり、迎合したり、サバイブしていくわけですが、とてもいじらしく見えます。ちひろは両親とも、宗教とも適切な距離がわからず揺れ動いています。ちょっともやもやしますが、この迷いを愛菜ちゃんが説得力をもって演じています。
現実を生きるクラスメイトのイケてる女子、なべちゃんとその彼氏は、大人とは違い、フェアな態度(といってもかなりクール)でちひろと接します。同じ目線の中学生だからこそ見える世界があると思わされます。
母親役を原田知世、父親役を永瀬正敏。宗教活動を熱心に取り組むほど、どこか悲しい佇まいで、奥行きのあるキャラクターになっています。
ちひろが恋した数学教師を岡田将生。世間代表ともいえるような、狭量でいやーな役を熱演。
「星の子」は、自分の言葉をまだ持ち得ない弱さ、そして家族愛の切なさを描いている作品です。そして複雑な世界を提示してくれるものでありました。
■映画「星の子」はAmazonプライム・ビデオ、Netflix、fuluで視聴できます
■原作 今村夏子「星の子」 朝日文庫/朝日新聞社出版刊
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