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- 病み上りの夫と一喜一憂タンデム旅行
3月中旬、この日は気温がかなり上がり、まるで初夏の日差しです。術後1か月に満たない夫の外出虫がうずきだし、今回はクレソンを求めて、神奈川の方まで行くことになりました。体力的な心配は大いにあるものの、夫に心の叫びを放ってもらいたくて……。
YouTubeで見つけたクレソンの採れる場所
先日私が勤務する会社の人にクレソンをいただき、その方おすすめの食べ方(オリーブオイルとポン酢をかけるシンプルな味)を試してみたら、想像以上のおいしさに感激してしまいました。独特の香りのする緑黄色野菜が苦手な夫も息子も大絶賛でした。
クレソンは水の綺麗な場所に雑草のごとくあることを知っている夫は、すぐさまYouTubeで検索。
「多分、この神社に行けば採れるよ。行ってみようか」と夫。
半信半疑ながらも、かなり期待できそうなウキウキ気分での出発になりました。
有鹿神社へ
我が家から1時間ちょっとの、神奈川県海老名方面を目指します。いつもなら心配はないのですが、術後から日が浅いので、夫の体力が気になります。
天気予報によると今日はかなり暑くなるようですが、バイクで風を切ると体感温度が下がるので、防寒対策は欠かせません。予想以上の暑さで、心地よかった風はほんのわずか。到着する頃には、じっとり汗ばんでいたほどです。
有鹿神社の境内にはピンクの梅が満開、そして脇道は新緑の木々に囲まれて春満開でした。
1時間ほど散策しましたが、水の綺麗な小川はどこにも見当たりません。そこで地元の人に聞いてみると、もう一か所同じ名前で存在することが分かり、15分程離れたその場所に移動です。
動画と同じ場所に到着
整備された駐車場にバイクを置き、木の生い茂る細い道を下ってゆくと、太陽が良く当たる広場に出ました。
「あ、この場所だ。間違いない」と、夫はさっさと先を歩いていってしまいました。
動画と同じ長いデッキ(木道)を興奮気味に歩き進めて行くと、湧水があちこちから出ていて、緩やかに流れています。太陽の光を反射した水面に手を入れてみると……。冷たさとキラキラ感が私の心にふいに染み入ってきて、幼い頃に初めて心を奪われたあいまいな記憶がよみがえりました。
しばらくこの場にしゃがみ込み、このきらめきの虜になっていたのです。神聖な神社での湧水のせいなのか、とても不思議な感覚でした。
背後から夫が「それがクレソンだよ」と湧水の中に根を張る小ぶりの植物を指差しました。事務所でいただいたクレソンの葉と比べるとあまりにも小さくて、ちょっとがっかりでした。
自然の恵みは、時期やちょっとした環境の変化に左右されることを改めて実感しています。
収穫なしでも素敵な思い出
今回は成長途中だったので、クレソンの収穫を見送り、時期を見定めてチャレンジする次回に期待します。
私も夫も術後結果へのモヤモヤを抱きながら、新しい命の芽吹く春を喜ぶという複雑な思いを心に秘めた旅行となりました。
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