落語自由自在(57)

二刀流の風柳オータニさん

公開日:2022.05.05

伝説の落語協会誌『ぞろぞろ』が3月6日『そろそろ』として復刊しましたが、あっという間に完売。Twitterでは「届きました」と、皆さんうれしそうにつぶやいていて、私は完全に出遅れました。

創刊したばかりの落語協会黙認誌『そろそろ』

落語協会黙認誌『そろそろ』創刊号

落語協会黙認誌『そろそろ』創刊号

数日後、二次募集をしますと発表があり、すぐに飛びつきました。こうして手にしたのが落語協会黙認誌『そろそろ』です。

届いたスマートレターを開封すると、五明楼玉の輔師匠の手紙が入っていました。早速Twitterに手紙と『そろそろ』の写真を投稿したら「その手紙が欲しい」とすぐに反響がありました。これは宝物ですね。編集長は柳家小はださん、責任者ならぬ無責任者は五明楼玉の輔師匠となっていました(笑)。

この春、落語協会には4名の真打が誕生しました。その1人鈴々舎やゑ馬改め、柳家風柳さんの記事が、真っ先に飛び込んできました。

日本で唯一無二の演芸誌『東京かわら版』

こちらは48年の歴史を誇る『東京かわら版』です。ここでも、落語協会の新真打の4人が、表紙を飾っていました。

横浜にぎわい座で、やゑ馬さんの高座を何度も観ていたため、親しみを感じ、その記事から読み始めました。

風柳さんは、落語協会で唯一の上方弁使いです。大阪府枚方市の出身で、近畿大学を卒業後、漫才師を目指しますが、芽が出ず、コンビを解散。一人ならば漫談だと思い、勉強のつもりで寄席にいきますが、やがて落語の魅力にとりつかれ、鈴々舎馬風師匠に弟子入りします。

「前座のうちはしっかり江戸を学びなさい。二ツ目になったら上方落語もやりなさい。」と師匠に教えられたそうです。

この度、真打に昇進、亭号も鈴々舎から柳家に変わり、名も風柳になりました。そして、江戸落語と上方落語の二刀流です。本名は大谷亮さん、まさにオータニさんなので「二刀流の風柳オータニさん」と呼ばれたいそうです。

上方落語界が舞台の『甘夏とオリオン』

先日増山実さんの小説『甘夏とオリオン』を読みました。

これは上方落語界が舞台で、ヒロインは今をときめく女流噺家桂二葉さんです。

小説に出てくる演目「宿替え」は、江戸では「粗忽の釘」と言います。また「仔猫」と言う噺が出てきますが、私は聴いた事がなく、YouTubeで米朝師が演じるのを、初めて聞いてみました。

二葉さんがNHK新人落語大賞を受賞した演目「天狗さし」も、東京ではやる方がいませんで、新鮮でした。こうしてみると、つくづく落語は奥が深いなと思いました。

国立演芸場の晴れ姿

国立演芸場の晴れ姿

国立演芸場5月中席、風柳師匠の真打昇進披露公演があり、運よく4列目の席が取れました。風柳さんの晴れ姿を目に焼き付けたいと、今から楽しみにしています。そして、私も江戸と上方落語の両方に詳しい二刀流を、目指したいと思います。

 

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さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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