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- 30年の時を経て出会った、奇跡のひな人形
30年以上前、娘の初節句に、博多人形のおひな様を伯母にもらいました。それが、いつのまにか割れていることに最近気がつきました。伯母に申し訳なく、似たひな人形を苦労して探しているうちに、奇跡の出会いがありました。
割れたひな人形
今年(2022年)もコロナ禍でおうち時間が続く中、久しぶりにおひな様を出してみようと思いました。娘の初節句に伯母にもらった、とっておきの博多人形のおひな様です。
娘が小さい頃は何度か飾りましたが、成長してからは箱に入れて、しまいっ放しでした。
ところが、箱を開けてびっくり。なんと女雛が真っ二つに割れていたのです。それほど丁寧に梱包していなかったので、何度かの引越しの際に割れてしまったのだと思います。
割れていることにさえ気づかず、本当に伯母に申し訳ないことをしました。
伯母との思い出
母の3歳年上の伯母は、若い頃小学校の教員だったので、私や兄にはどちらかというと厳しく接していました。悪いことをすると、容赦なく叱られました。
でも、その言葉に愛情を感じていたのか、私は厳しくも優しい伯母に会うのを、いつも楽しみにしていました。
その伯母も、2009年84歳でこの世を去りました。伯母にはいろいろよくしてもらったのに、大切な贈り物のひな人形を割ってしまうという、取り返しのつかないことをしてしまいました。もう、会って謝ることもできません。
ひな人形を探してみよう
「この顔が好きなのよねぇ」と伯母は人形を見ながらつぶやいていました。このままでは伯母に申し訳が立ちません。そこで、なんとか同じ人形を探してみることにしました。
作者の名前がわかれば探せるかもしれないと思い、人形の足の裏を見てみました。何やらサインが書いてありましたが、達筆すぎて読めません。
インターネットで「博多人形のおひな様」と検索したり、中古品のネットショップなどあれこれ探してみましたが、同じような人形は見つかりません。
諦めかけたとき、人形の販売だけでなく、修復もやっている人形店が博多にあることがわかりました。藁をもつかむ気持ちで、この店に割れた人形と作者名のサインの写真を送り、同じ作家の作品がないかメールで問い合わせてみました。
すると、数日経って「同じ人形の在庫があります」と返事が来ました。30年以上も前に購入したものと同じ人形の在庫があるとは、最初は信じられませんでした。
人形店に写真を送ってもらい、間違いないことを確認しました。そして、雄雛と女雛の二体分の代金を振り込み、自宅に送ってもらいました。
作者は、博多人形美研工芸社代表の松尾明歳という、とても実績のある方だということがわかりました。
こうして奇跡のように、同じひな人形が私の手元に届きました。
「大切なものはもっと大事にしなさい」と伯母に教えられたような、甘酸っぱい気持ちでした。
今年のひな祭りには、私が作った布のおひな様と一緒に飾り、にぎやかに祝いました。
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