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すべらず地蔵
目指すは、静岡県島田市にある、諏訪原城跡(すわはらじょうあと)。
JR東海道線・金谷駅で下車し、左手の信号機を南に登る坂道を歩きます。左手にはJRの線路と旧東海道・金谷宿の町並みを見ながら7~8分ほど登ります。右手に石畳入口の案内を目当てに曲がりこみます。
少し行くと江戸時代の石畳が始まります。ほんの30mほどですが、かつての面影をたどりながら楽しみます。その先は市民総出で修復された石畳が430mほど続きます。
平日の午後、誰も人影のない石畳を登り行くと「すべらず地蔵」が見えてきます。この坂道はすべらないということで、受験をする人たちがお地蔵さまを訪れるようです。祠の扉が開いていたので、お地蔵様のかわいらしくありがたいお顔を拝見することができました。
諏訪原城跡
かつて武田軍・馬場美濃の守が築城し、武田流築城方法の特徴でもある「まる馬出し」が見ごたえのある城跡です。
「馬出し」とはくるわから突き出た部分で、兵をためおくことができる場所の名称です。出撃の折にも防御の折にも利用できる築城法で、この諏訪原城跡には大小いくつもの馬出しがあり中々見ごたえがあります。
空堀(からぼり・水のない堀)は深くうがたれて城を守る際には、よく工夫されたカーブの三日月掘りになっています。
武田軍のあとには徳川家康軍が入り、多少武田流を活かしつつ手を加えてあります。現在は修復作業や発掘説明会が現地の学芸員の手で計画され、文化的に楽しめる城跡になっています。
二のくるわは、多少高低差のある長方形で南方面、西方面に馬出しが配備されています。かつては土橋もしくは可動式の橋があったと思われる先には、本くるわに続く虎口(こぐち・城の出入り口)があり、その先は東側を断崖絶壁で守る造りになっています。
本くるわの東端からは左から右に流れる大井川、島田宿から先の東海道まで眺めることができる雄大な景色が広がります。
風に吹かれ、草の上に腰を下ろしてかつての兵士の気分になって空想の世界に入り込み、城好きの私には至福の時間が流れていきます。
牧の原台地
牧の原はかつて自然のままの原野、幕府直轄地でしたが、武士の世界が崩壊し職を失った武士たちが徳川慶喜と共に家族もろとも200人ほどが静岡に帰ってきました。
勝海舟に相談すると、幕府直轄地の牧の原を開墾したらどうだということで払い下げてもらいます。そこへ川渡しが廃止され失業した大井川の川越人足とその家族も加わり、牧の原台地を開墾。当時横浜からアメリカや西洋に向けて、需要のあったお茶が植えられていきます。
集団で農場経営に成功し、茶の品質の良い製茶法も定着。横浜商館でも質の良いお茶という評価を得た静岡茶だったのです。
現在も諏訪原城を一足外に出ると、辺り一面のお茶畑が広がります。お茶に関わるミュージアムも30分ほど足を延ばすとありますので、城跡めぐりと共にお茶文化も楽しめるのではないでしょうか。
ぜひ、金谷の諏訪原城址とお茶畑を楽しんでいただきたいと思います。
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