「なぜ鳥取に」の第二弾

そして鳥取

公開日:2022.03.04

「なぜ鳥取に」の続編です。夫が鳥取に通い始めたその後をお話しましょう。楽しい展開になりました。

鳥取で

なぜ鳥取に」の続編です。

不可解な夫の鳥取通いが5年を過ぎて、ついには毎年夫婦で通い始めました。待っているのは長い髪の女性ではなくて、坊主頭の寿司屋の大将。

鳥取に到着すると、まずは市内循環バスで加露(かろ)港という漁港に行きます。地元の魚、カニ、野菜などを販売する市場に立ち寄ります。市場ではカニや大きな梨を買って、自宅や友人知人宅に発送してもらいます。鳥取には「愛宕梨」という冬に食べる大きな梨が名産です。子供の頭ほどの大きさの梨で珍しいので、届いた先では喜んでいただいています。

港から戻ると、翌日はゆっくり市内をレンタサイクルでまわります。あ、そうそう、我が家の夫婦はホテルはシングルを別々に取り、レンタサイクルの行き先も一人ずつ別の場所を目指します。夜になって食事のときに、その日、自分が見つけたお手柄の場所自慢をします。

しかし、川沿いのベーグルのおいしいカフェも街中のケーキ屋も、市内に何軒かある温泉も、二人は同じような場所を廻っていたので、お手柄ではなくなってしまいます。部屋は別々で仲が悪そうでも、感性はきっと似ているのでしょうね。同じ場所をチョイスしていることに、二人で大笑いの似たもの夫婦です。

ご馳走三昧

夜は待っていてくれるお寿司屋さんに直行です。カウンターに二人分の席がしつらえてあり、次々にご馳走が並びます。

ご馳走三昧

当然ブランドタグ付き香住港のカニ、八角の煮魚(高級魚)、新鮮な刺身の盛り合わせ、茶わん蒸し、珍しい珍味や腕を振るったご馳走の数々でお酒も進みます。

お店のお客の波が引くと合間に大将と話が弾みます。一年分のおしゃべりをして楽しい時間が過ぎていきます。もう、今では何を食べても何を飲んでもお金を受け取ってくれず、すべてご馳走になっています。

何年も通っているうちに、こちらからは季節ごとにお茶やミカンを送るようになり、鳥取からはスイカやラッキョウ、菓子などが届くようになりお付き合いが続いています。

大将、陶芸をする

あるとき、カウンターで飲んでいる時に夫が「もう、俺は10年以上通っているぞ、そろそろこちらにも遊びに来ないかい」と誘うと「よしゃ、次の五月には行きます」との返事。

なんと、鳥取の大将が我が家にやってくるようになりました。夜通し運転して、朝早くやってきます。そしてひと休みすると、夫の手ほどきで手びねりの箸置きを作りはじめます(夫は陶芸教室をしています)。

お寿司屋さんでは、毎年箸置きが50個ほど無くなるそうです。補充をするために、この年からは自作の箸置きにするという事で毎年我が家に来ては箸置きを作ります。

夜は、きりたんぽ鍋やしょっつる鍋で、夫がシェーカーを振っていくつものカクテルを作り、自慢のウイスキーを開け、楽しい時間を過ごします(なぜ鍋料理かというと、なんといってもプロの料理人ですから、なにを作っておもてなししてよいのやら……無難なところでついつい鍋料理になってしまうのは仕方がありません)。

こうして鳥取のお寿司屋さんの大将との交流が続いています。ね、素敵なご縁でしょ。

しかしこの1年はコロナ禍で行き来ができなくなっているのが残念です。

 

■もっと知りたい■

富士山の見える町で暮らす元気なアラウンド70歳。半日仕事をし、午後はジムで軽く運動。好きなことは絵画を見ることと針仕事。旅先の町で買い求めた布でポーチやバッグを作っています。雨の土曜日は映画を観て、晴れた土曜日には尾根道を3時間ほど歩く。楽しいことが大好きです

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