秋保温泉の渓谷美と伊達文化!豊かな山海の恵みを堪能
2024.09.192024年10月17日
四季を楽しむ!大人の湯めぐりグルメ紀行7
大自然と歴史的街並み!両方楽しめる欲ばり温泉旅
今月は岐阜県の奥飛騨、平湯温泉へ。北アルプスの雄大な山々に囲まれ、澄んだ空気に思わず深呼吸したくなります。鍾乳洞で自然が織りなす神秘的な風景に出合ったり、飛騨高山の歴史的な街並みを散策したり。街と自然の両方を満喫する豊かな旅になりました。
探検隊の気分で自然の神秘に魅せられる!飛騨大鍾乳洞へ
今回は、岐阜の名湯、平湯温泉へ(東京・新宿から便利な直行バスも出ています)。そこから車で30分くらいのところにある飛騨大鍾乳洞へ行ってみました。平湯温泉からは路線バスもあります。バス停から鍾乳洞までは無料のシャトルバスがあるので、それに乗って入り口まで行きましょう。
ちなみに鍾乳洞に入る前には、発見者の大橋外吉が世界中から集めた約1000点の美術品や工芸品を展示した「大橋コレクション館」があります。アートや骨董好きな方にはこちらも面白いので、ぜひ寄ってみてください。(同じ入場券で入れます)さらに奥の通路を進むと、いよいよ鍾乳洞の入り口があります。
飛騨大鍾乳洞は全長約800m。3つのエリアがあり、見どころのメインは第1洞です。洞窟内は滑りやすいので、動きやすい格好と歩きやすい靴で行きましょう。温度は通年約12℃です。夏は涼しく快適ですが、寒い場合は羽織るものをお忘れなく!
入ってすぐにどーんと広がるのは「竜宮の夜景」と呼ばれる一番の見どころです。この地域は2億5千年前には海だったそうで、貝殻やサンゴなどが積み重なり、石灰岩に変化し、雨水に打たれ、いつしか鍾乳洞がつくられていきました。壮大な時を経て、少しずつ堆積した自然の不思議な造形に、太古のロマンを感じます。
洞窟内には自然がつくり上げた芸術的な風景をあちこちに見ることができます。中にはユニークなタイトルの物があり、いつまでも眺めてしまうような世界です。
少し歩いたところには貯蔵庫があり、この地域の日本酒や焼酎を長期低温貯蔵しています。洞窟の中でお酒を保存すると、まろやかな味わいになるそうです。貯蔵したお酒はショップでも販売していますので、興味のある方はお土産にどうぞ。
第2洞、第3洞はかなり道が険しいので要注意。足腰の弱い方、体力に自信のない方は、途中で外に出られる出口があるので、どうか無理のないように。
洞窟を出てから入り口へ戻るまでの通路沿いには、緑に囲まれたのどかな池や庭園があって、ちょっとひと休みできます(ベンチなど座れるスペースもあります)。冬の間はダイナミックな「氷の渓谷」が見られることも。入り口まで少し距離がありますので、のんびり散策を楽しみながら向かいましょう。
自然の神秘的な世界を大いに満喫できる、見どころ盛りだくさんの鍾乳洞でした。
歴史的建造物が建ち並ぶ!飛騨高山の街並みを散策
街へ出たい場合は、平湯温泉から飛騨高山行きの路線バスが出ています(約1時間強)。午前中に着いたら、まず行ってみたいのは朝市。宮川の川沿いの道に白いテントが点々と並ぶ「宮川朝市」と、高山陣屋の前で開催される「陣屋前朝市」があります。今回は「宮川朝市」を訪ねてみました。
飛騨高山の朝市の歴史は古く、始まりは江戸時代といわれます。昔は「桑市」と呼ばれる養蚕の市が、夏の間の夜に行われていたようで、次第に野菜や花などが売られるようになりました。戦後は闇市に姿を変え、一時期は廃業に陥りそうな危機もあったそうですが、近年は海外からの観光客も増え、また新たな盛り上がりを見せています。
朝市には、旬の野菜や果物、この地域らしい漬物や民芸品、お菓子、コーヒーなど、様々な店が出店していました。特に赤かぶ漬は飛騨の郷土食として人気です。川沿いは景色も良いので、散歩がてらのんびり楽しめます。
その後はさらに街中へ入ってみると、まるで江戸時代にタイムスリップしたような街並みが広がっていました。
古い建物はショップやレストランになっていることも多く、実際に中に入って建物を体感できることが大きな魅力です。特に多いのは酒蔵。高山市内だけで7軒あり、歩いて回れるので、蔵見学や飲み比べをするのも楽しいです。味わい深い古い喫茶店も多く、情緒ある街並みを眺めながら、ちょっとひと休みするのもおすすめです。
下の写真は国指定重要文化財の「日下部家住宅」。現在は「日下部民藝館」として民藝の展示とともに一般公開されています。
山に囲まれ木材が豊富な飛騨高山は昔から木工の技術が優れていたといわれており、その匠の技が生かされた、見応えあるたくさんの歴史的な建造物に出合えます。
四方を山々に囲まれ、大自然に包まれた宿「界 奥飛騨」
本日のお宿は、2024年9月にオープンした「界 奥飛騨」。平湯温泉のバスターミナルから徒歩4分ほどです。
北アルプスの名峰に囲まれ、自然の中に溶け込むように、フロントや客室、湯小屋、食堂などの各棟が敷地内に点々と緩やかに配され、湯の川が流れる中庭をそぞろ歩きながら、山や木々、鳥の声など自然を身近に感じつつ、ゆったり回遊できる楽しさがあります。
中庭にある源泉掛け流しの足湯に浸かると目の前には活火山のアカンダナ山がそびえ、四季折々の美しい風景にハッとさせられます。
館内に入ると、随所に天然木が用いられ、まるで森の中にいるようなすがすがしさがあります。飛騨の魅力が存分に感じられる、全室がご当地部屋の客室「飛騨MOKUの間」は、扉を開けて驚きました。
この印象的な曲木のヘッドボードは、ブナ、タモ、桜、ナラの木など、飛騨地域の代表的な広葉樹でつくられています。寝転んでみると森の木々に優しく包まれているようで、これはぐっすり眠れそう(熟睡でした)。客室内は地元家具メーカー・飛騨産業の曲木チェアや、800年の歴史ある山中和紙の行灯など、飛騨の工芸がインテリアとしてあちこちに贅沢に取り入れられています。
次はお楽しみの大浴場へ。日本屈指の湯量を誇る奥飛騨温泉郷には、5つの温泉地があり、平湯温泉は1日当たり1200万リットルの湯が湧き出ているそうです。活火山温泉のため源泉の最高温度は98℃。泉質はナトリウム・カルシウム−炭酸水素塩・塩化物泉で、筋肉や関節の慢性的な痛み、冷え性、疲労回復などに嬉しい効果があり、美肌の湯でもあります。
露天風呂は豪雪地帯でもある飛騨の雪の回廊をモチーフにしているそうで、天井にぽっかり空いた穴から空が見え、不思議なリラックス感がありました。
囲炉裏を囲む、飛騨の伝統的な風習をアレンジしたディナー
いよいよ夕食タイムです。最初にユニークな御膳が出てきました。飛騨では寒い冬に囲炉裏を囲んで食事をする風習があり、この先付けも囲炉裏をモチーフにしているそうです。添えられた個性的な風貌の人形は「山彦人形」。飛騨の山々の精霊をイメージした開運・魔除けのお守りです。
炎をイメージした赤い碗の中には、飛騨の郷土食である、大豆をすり潰して作る“すったて”を茶碗蒸しにアレンジした料理が入っています。
「宝楽盛り」は、こちらも囲炉裏をイメージしつつ、酒樽板の上にディスプレイ。飛騨高山は酒蔵が多く、それぞれ個性があります。おすすめされた奥飛騨酒造の「初緑 純米吟醸 無濾過原酒」をいただきました。フルーティーですっきりとバランス良く、キレのあるお酒です。八寸に盛られた合鴨、秋刀魚、胡桃味噌など、どんな料理にも合わせやすく、おいしくいただきました。
メインは「飛騨牛の朴葉つと焼き」。飛騨牛が “つと”(わらづと)に包まれて登場。つとを外すと朴葉の中に飛騨牛のロースとヒレが入っています。手前の焼き石で、自分好みの焼き加減に仕上げます。
朴葉は飛騨の人々にとって欠かせないもの。殺菌作用があり、古くから器代わりや食材を包むために使われてきました。味噌とさまざまな具材を朴葉の上に乗せて火で炙る「朴葉味噌」は飛騨の代表的な郷土食です。そんな飛騨らしい食文化を体感できる料理でした。
さて、最後に出てきた甘味ですが、一見すると七輪に乗ったみたらし団子?のよう。 団子は高山の街中でもよく見かける人気のおやつです。
実はこれ、焼きマシュマロに、みたらしのタレをかけたもの。飛騨のみたらしは、醤油ベースで甘さ控えめ。意外や、マシュマロとベストマッチ!
そしてさらに驚きなのは、網を外すと下には、炭に見立てた竹炭のクランブルと黒ごまのアイスが!網から垂れたみたらしがかかって、程よく塩味を添えています。ちょっとびっくり。ユニークなサプライズデザートでした。
今回宿泊した温泉宿はこちら:界 奥飛騨
北アルプスの名峰に囲まれ、豊かな自然を身近に感じる宿「界 奥飛騨」。地域の文化を体験できる「ご当地楽」では曲木のハンドルを作り、“飛騨の匠”をリアルに感じることができます。
周りには日帰り温泉や足湯がいくつかあり、散策しながらさまざまなタイプの温泉を巡るのも楽しいです。「70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』」の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気の温泉宿です。
●住所:〒506-1433 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯138
取材協力:星野リゾート 文・写真:江澤香織 編集:鳥居史(ハルメク365編集部)
「界 奥飛騨」ペア宿泊(1泊2食付き)プレゼント
星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」の、24施設目となる「界 奥飛騨」が2024年9月にオープン。北アルプスの雄大な山々の恵みと温泉、「飛騨の匠」による木工技術といった伝統ある文化を堪能できる宿の宿泊券(1泊2日)を、1組2名様にプレゼントします。(有効期限:2025年2月1日~7月末日)
※宿泊券の発送は1月初旬になります。