昆布漁の女性
2023.08.30シャロームの歌
シャローム・ハベリム シャローム・ハベリム
シャーローン シャーローン
レヒットラオト レヒットラオト
シャーローン シャーローン
※イスラエル民謡 :『シャローム・ハベリム』(Shalom Chaverim)
いつの頃だろうか、一つ覚えの横文字の歌を何度も何度も繰り返して歌っていた時がありました。言葉の意味も知りません。
ずいぶん時間が経過してから、シャロームと言う言葉がヘブライ語でイスラエルの歌であること、「あなたに平和がありますように」という挨拶の言葉であることなどを知りました。
心の中に残っていた
北海道・釧路の街に毎年訪れるようになり、その都度「お寿司屋を見つける」や「カフェを探す」などの課題を夫婦で作り、レンタサイクルで走り回る「住むように暮らす・釧路生活」です。
夏の間の20日間を釧路で過ごすようになって5年が経ちます。
お互いが珈琲が好きなので「カフェを探す」課題には夫は熱心です。ある日、お気に入りの喫茶店を見つけたようです。
夫がおすすめのお店に二人で出かけてみました。マンションの一階部分に、今風ではない少し前のいかにも喫茶店と言うたたずまいのお店です。
なんと、店名が漢字で「舎爐夢」……シャロームではないですか。
私の心の中で、急にあのシャロームの歌が駆け巡りました。
「あなたの心に平和がありますように」「あなたの心に平和がありますように」
何度も何度も繰り返し歌とともに言葉の意味が心の中で反響していました。
想いがあふれる喫茶店
入口の左手の出窓になっているような場所にソファがあります。小さなテーブルには冊子や本、ファイルなどが積み重なってあります。
その場所にゆったりと座る女性、私たちが店に入るとゆっくりと立ち上がり「いらっしゃいませ」の声が優しく響きます。白髪交じりのボブカットのすらりとした方です。
店内は所々に天井からランプが下がり、いかにも山小屋ふうのしつらえです。カウンター席のほかに広い間隔を開けて、テーブル席が並びます。
自然の風が渡る窓辺のナチュラルなテーブルの上に手彫りフクロウの人形があります。そして、テーブル席を仕切るコーナーにはずらりと本が並ぶ丈の低いブックコーナー。珈琲を待つ間にゆっくり本棚を見ていくと、旅の本、山の本、詩の本、写真集、山の小説などが並びます。
ははぁ~、この店主は山好きだな……と。
急ぐでもなくゆっくり淹れている珈琲の香りが店内に流れます。夫は以前来た時に読んだ短歌の本の続きのページに見入っています。窓辺にはカーテンが揺れ、テーブルのフクロウ人形がほほ笑んでいるようです。
時間の流れってこんなにゆっくりだったかな、と思える店内。
ドリップで淹れた珈琲は、ほのかにコロンビアのブレンド?
帰り際に、「熱中症予防です」と小さい器を差し出して、はちみつ漬けの梅干しをすすめてくれました。
「昔は山ばかり登っていました。山登りには適度な塩分の梅干しが役立ったのですよ」と。上品な声とほほ笑みでボブカットが揺れます。
「また来年、来させていただきますね」
二人ともすっかりお気に入りの喫茶店になり、今では釧路に行くたびに立ち寄っています。また、来年、お元気でいてください。
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