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- 北海道・帯広を拓く~六花亭の銘菓~
北海道・帯広
今や北海道に行かなくても、通信販売や全国のうまいもの展などで購入できる、北海道の有名菓子のお話です。
六花亭は、北海道帯広に本店を置きます。店にも深い歴史があるようですが、お菓子に秘められた歴史について書かせていただきます。
現在の帯広市は豊かな緑、牧草地、農場、温泉地、美しい庭園に囲まれた都市として皆さんはご存じのことと思います。かつて、帯広の大地は静岡県伊豆半島の松崎の人々によって開拓された地域です。
依田勉三(よだ・べんぞう)を代表とした人々により、何度も繰り返される調査、試行錯誤、強靭な意思、屈強な体、あきらめない柔軟性のあるメンタルを持つ人たちによって艱難辛苦(かんなんしんく)の末、開拓されていきました。
帯広だけでなく、北海道全体は数々の民の力により開拓されてきたわけですから、故郷の名前をあえて名乗る地名が残っています。そのため、北海道には広島、鳥取など数々の地名が存在するのです。
観光目的や行楽で北海道の地を踏むときに、開拓者の血と汗を忘れてはいけないと心して赴くのは私一人ではないはずです。ただ単にきれいだ、自然が雄大だ、と堪能するには恐れ多い偉大な人々によって、しかも名もなき人々の力によって拓かれた土地だということは、受け止めておきたいと常々思う次第です。
お菓子の名に込められた歴史
六花亭の「マルセイバターサンド」や「ひとつ鍋」を、多くの方がご存じのことと思います。おいしいお菓子ですね。
前述の伊豆半島から入植した依田勉三が組織した「晩成社」から名付けられたのが「マルセイバターサンド」です。
晩成社のまん中の文字の「成」を用いたのが丸に成で、マルセイなのです。そして、バターを作ったのも依田勉三だということですから、開拓者の心が秘められたお菓子ということができます。
開拓に入っても食べるものを自ら調達するしかないので畑を作るのですが、病害虫や獣害などで収穫することができず食べるものにも事欠く日々です。その中で工夫しつつ考えて、牧畜が開始されていきます。
しかし軌道に乗るまでは、その家畜の豚が食べるものと同じようなものを食べていたといいます。開拓当時に詠んだ句「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」。同じ鍋から食べるという意味から「ひとつ鍋」の由来があるのです。
今まで「おいしいね」と食べていたお菓子も、深い歴史と意味を知ったうえで食べると北海道に対する熱い思いが沸き上がってきます。
帯広開拓の歴史が小説『チーム・オベリベリ』(乃南 アサ/講談社)に詳しく書かれていますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
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