食べていないのに太るのは病気?むくみの解消法も!

むくみの体重増加はどれくらい?原因や考えられる病気

公開日:2023.05.02

むくみによって体重増加が起こることがあります。脂肪が原因の肥満の場合、急激に太ることはないものの、ひどいむくみの場合は3~4日で10kgも体重が増えることも。むくみの原因や考えられる病気・機能低下、むくみの解消法などについて詳しく解説!

むくみとは

むくみとは、皮膚の下の細胞と細胞の間の水分が増え過ぎた状態のことで、医学的には浮腫といいます。人間の体の60%は水分が占めており、普段は心臓や筋肉のポンプ作用によって体の中の水分や栄養が循環し、健康な状態を保っています。

なんらかの原因によって心臓や筋肉のポンプ作用が落ちると、体内の水分の循環が悪くなり、血管内の水分が血管外に漏出し、組織間液が異常に増加し、むくみとなるのです。

特に、顔や足はむくみやすいといわれています。顔の場合、皮下組織に水分がたまることでむくみが起こります。水分は高いところから低いところに流れるため、朝起きたときが一番顔のむくみを感じるタイミングです。

足がむくむのは、重力の影響によって水分が下半身にたまることや、デスクワークで長時間座りっぱなし、立ち仕事で立ちっぱなしといった同じ姿勢を取り続けることが原因です。ふくらはぎの筋肉を使わない状態が続くと全身の血行が悪くなり、むくみにつながります。「夕方になると足がむくむ」という症状を感じやすいのは、このためです。

また、きつい下着による圧迫などで血行が妨げられ、むくみにつながることもあります。

むくみで体重増加することはある?

むくみで体重増加することはある?

体重増加の原因で最も多いのは食べ過ぎなどエネルギーの過剰摂取による「肥満」です。しかし、むくみでも体重が増加することがあります。

肥満の場合は脂肪分が増えることで体重が増えますが、むくみの場合は体の水分が異常に増えることで体重増加につながります。

むくんでいると思う部分(足のすね部分がわかりやすい)を強く押したときに、指の形にへこんでしばらく戻らない場合は、むくみの可能性があるため、チェックしてみましょう。

むくみで増えるのは何kgくらい?

むくみの程度にもよりますが、ひどいむくみの場合は3~4日で10kgも体重が増加することもあります。肥満の場合は、このように短期間で極端に体重が増加することはありません。

むくみの原因

むくみの原因

ここからは、体にむくみが起こる原因について見ていきましょう。

食生活

塩分の摂取量が多過ぎると、体は塩分濃度を下げるために水分をため込もうとし、むくみやすくなります。水分の取り過ぎも体内の水分量の増加につながり、むくみの原因に。

余分な水分の蓄積は、顔や体がむくむ代表的な原因の一つです。顔の中でも目のまわりの皮膚は薄く、目の下はむくみやすい部位です。

また、無理な食事制限を伴うダイエットは、水分代謝に必要な栄養素不足を招き、むくみを引き起こす原因となります。

ビールやワイン、ウイスキー、日本酒といったお酒の飲み過ぎにも注意が必要です。アルコールを過剰に摂取すると血液中のアルコール濃度が上昇し、血管が拡張して静脈やリンパによる水分処理が間に合わなくなり、むくみやすくなります。

水分不足

水をたくさん飲むと一時的にむくむことがありますが、通常であれば尿として排出されます。しかし、水分不足になると体内の水分の循環が悪化し、余計な水分を排出できずにむくんでしまいます。

そのため、むくみが気になるからといって水分を取らないのはNGです。

姿勢・体勢

デスクワークで長時間同じ姿勢でいることが多い人や、立ち仕事をしている人は、血液の流れが悪くなってむくみやすいです。むくんだ状態をそのままにしておくと、「水太り」につながる可能性も。

水太りとはむくみが慢性化した状態のことで、濃い味付けの食べ物を好んで食べる人、運動不足の人、冷たい食べ物や飲み物をよく取る人に多く見られます。

水太りの人は体の中に老廃物がたまっている可能性が高く、放置すると脂肪太りにつながる可能性もあるため注意が必要です。

生活習慣・ストレス

睡眠不足や不規則な生活といった生活習慣の乱れやストレスは、自律神経の働きを乱してしまいます。水分代謝がうまくいかなくなると老廃物や余分な水分を体外へ流しにくくなり、むくみにつながることに。

きつい下着やガードル、サイズの合っていない靴などもむくみの原因です。

運動不足による筋力不足

運動不足による筋力不足も、むくみの原因です。

中でもふくらはぎの筋肉は「第2の心臓」と呼ばれるほど重要で、ふくらはぎの筋力が低下すると筋肉によるポンプ機能が低下してしまい、足の血液を心臓に送り出す働きが悪くなってむくみが起こります。

女性は男性に比べて筋肉が少ないため、むくみやすい傾向にあります。

女性ホルモンの影響

女性は、生理などの影響で女性ホルモンバランスが変わると、むくみやすくなります。生理前後の体重の変化は、女性ホルモンのプロゲステロンが影響していると考えられています。

一方、エストロゲンは腎臓におけるナトリウム排泄に関与しており、更年期におけるエストロゲンの減少は体重増加と血圧上昇の要因です。また、更年期には血管の収縮や拡張をコントロールする自律神経の乱れを引き起こしやすく、むくみにつながることがあります。

病気や心臓・腎臓・肝臓・甲状腺などの機能低下

中には、病気や心臓・腎臓・肝臓・甲状腺などの機能低下が原因となってむくみが生じることもあります。むくみや体重増加が見られる病気や機能低下については、次の項目で解説します。

むくみや体重増加が見られる病気・機能低下

むくみや体重増加が見られる病気・機能低下としては、以下があります。

  • 心臓機能低下
  • 腎臓機能低下
  • 肝機能低下
  • 甲状腺機能低下
  • 心不全
  • 腎不全
  • ネフローゼ症候群
  • 糖尿病性腎症(初期症状)
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性甲状腺炎
  • 肝硬変
  • エコノミークラス症候群(急性肺動脈塞栓症) など

むくみが出ているのが体の片側の場合、「局所性浮腫」の可能性が考えられるでしょう。原因によって、むくみの他にも発赤、熱感、変色、圧痛などが起こることがあります。

局所性浮腫が起こる主な原因は、以下です。

  • 炎症によるもの(蜂窩織炎など)
  • 静脈の閉塞によるもの(深部静脈血栓症など)
  • 下肢静脈瘤 
  • リンパ浮腫(子宮がんや乳がんの手術などが原因のリンパ管の閉塞)
  • アレルギーによるもの(蕁麻疹など)

また、糖尿病の薬(チアゾリジン)、高血圧の薬(カルシウム拮抗薬)、非ステロイド性抗炎症薬などの薬による薬剤性の浮腫が起こることもあります。薬を飲んでいる場合は、飲んでいる薬についても医師に相談してみるといいでしょう。

なお、女性の場合、更年期症状としてもむくみが見られることがあります。

むくみの解消法

むくみの解消法

ここからは、むくみの解消法についてご紹介します。

塩分の取り過ぎに注意する

塩分は水分をため込む性質があるため、過剰摂取には注意が必要です。塩の代わりに酢やハーブを活用したり、だしをしっかり取ると減塩につながります。塩抜きレシピもおすすめです。

体を温める

冷え性になると血や水分の巡りが悪くなり、体の水分が血液やリンパ管中から漏れ出し、たまることでむくみにつながります。

普段シャワーだけという人は湯船に浸かって体をしっかり温めると、冷えやむくみの解消につながるでしょう。熱過ぎるお風呂は交感神経を刺激し、血管を収縮させて逆に体を冷やしてしまうことになるため、ぬるめのお湯(38℃~40℃ほど)がおすすめです。

筋肉量を増やす

ふくらはぎをはじめとした下半身は、血液を心臓に戻すためのポンプの役割を果たしているため、筋肉量が少ないと水分が滞りやすくなり、むくみにつながります。

筋肉量が増えると熱量も増加するため、体の冷え改善にも効果的です。

むくみ解消マッサージ

むくみ解消には、マッサージが効果的です。優しくなで上げるようにふくらはぎをマッサージすると、血液やリンパの流れを促進する効果が期待できるでしょう。

デスクワークでは、いすに座ったままつま先と踵を交互に上げる運動を繰り返すとふくらはぎのポンプ作用を促せます。また、腸もみもむくみ解消に効果的です。

むくみや水太りにいい食べ物・飲み物を取る

むくみや水太りにいい食べ物・飲み物を取るのもむくみを解消する対策の一つです。むくみ解消に効果的な栄養素としてはカリウム、マグネシウム、ポリフェノールがあります。

  • カリウムを含む食べ物・飲み物
    昆布、ヒジキ、あおさ、サツマイモ、ほうれん草、アボカド、大豆、納豆、切り干し大根、あんず、イチジク、干しブドウ、柿、バナナ、緑茶(煎茶)、抹茶、小豆茶、ローズヒップティーなど
  • マグネシウムを含む食べ物・飲み物
    アーモンド、落花生、きな粉、あおさ、ヒジキ、ワカメ、干しエビ、玄米、ほうれん草、緑茶(煎茶)、抹茶、そば茶、ルイボスティーなど
  • ポリフェノールを含む食べ物・飲み物
    ブルーベリー、ナス、玉ネギ、チョコレート、玄米、豆類、緑茶(煎茶)、紅茶、そば茶、赤ワイン、コーヒー、ココアなど

漢方薬を飲む

むくみに効果的な漢方薬を飲むのも一つの方法です。

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)という漢方薬は、体内の余分な「水(漢方でいう血液以外の体液などのこと)」を体外に排出させたり、体内の「水」のバランスを調整する作用があり、むくみや水太り、関節痛、多汗症、などに効果を発揮します。

むくみで病院に行った方がいいケース

食生活の改善や運動、マッサージなどを行ってもむくみが改善されない場合や、他にも気になる症状がある場合は病気の可能性も考えられます。病院で検査を受け、原因に合った治療を受けることが大切です。

  • 座りっぱなしで急激に足がむくんだ
  • 息切れや呼吸困難がある
  • 急激に体重が増加した

上記は、むくみで病院に行った方がいいケースです。

特に、座りっぱなしで急激な足のむくみが見られた場合、深部静脈血栓症によるエコノミークラス症候群(急性肺動脈塞栓症)の可能性があり、すぐに医療機関を受診する必要があります。

心臓疾患や心臓機能低下で肺に水がたまって息切れや呼吸困難を起こすと左心不全、一方、2~3kg程度の体重増加と下腿の浮腫が見られたら右心不全といい、虚血性心疾患のほかにも高血圧性心臓病、心臓弁膜症、心房細動など命にかかわる疾患が隠れているかもしれません。

急激な体重増加が見られる場合、病気が悪化している可能性も考えられるため、早めに病院を受診して詳しい検査を受けましょう。

長引くむくみや急激な体重増加は病院へ

むくみの原因は食生活や水分不足、生活習慣やストレス、姿勢や筋力不足、女性ホルモンの影響などさまざまです。自分のむくみの原因に合わせて対処しましょう。

なお、慢性的なむくみや急激なむくみは、病気が原因となっている可能性もあります。他の症状や急激な体重増加が見られる場合は、早めに病院を受診しましょう。

監修者プロフィール:田中裕幸さん(循環器専門医)

監修者プロフィール:田中裕幸さん(循環器専門医)

たなか・ひろゆき ニコークリニック名誉院長。1954(昭和29)年生まれ。長崎大学医学部卒業。九州大学医学部皮膚科、久留米大学第三内科(循環器)を経て、医療法人ニコークリニック開業。日本循環器学会認定循環器専門医、日本性差医学・医療学会評議員、更年期と加齢のヘルスケア学会幹事などを務める。著書に『男は40代、女は50代から悪玉コレステロールの罠にはまるな』(青萠堂刊)。

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