血糖値を下げるには?食事・運動・生活習慣の改善とよくある質問【医師監修】
血糖値を下げるには?食事・運動・生活習慣の改善とよくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月15日
この記事3行まとめ
✓血糖値が高くなる原因は食事や運動不足、加齢などさまざまです。
✓食事療法や運動療法が基本ですが、必要に応じて薬物療法も行います。
✓気になる症状があれば、自己判断せず早めに専門医に相談しましょう。
血糖値とは?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。食事をすると誰でも一時的に血糖値が上がりますが、健康な場合はインスリンというホルモンの働きですぐに正常値に戻ります。
しかし、何らかの原因でインスリンが効きにくくなったり、分泌量が減ったりすると、血糖値が高い状態(高血糖)が続いてしまいます。この状態を放置すると、血管が傷つき、将来的に糖尿病や、さらには心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気につながる可能性があるため、早期の対策が非常に重要です。
特に50代・60代の女性は、加齢や閉経に伴うホルモンバランスの変化により血糖値が上がりやすくなるため、正しい知識を持って生活習慣を見直すことが大切です。
よく見られる身体的症状
高血糖の状態が続くと、以下のような症状が現れることがあります。50代・60代の女性にとっては、更年期症状と似ているものもあり、「年のせいかな?」と見過ごされやすいので特に注意が必要です。
- のどが渇きやすい、水分をよく摂る
- トイレが近くなる、尿の量が増える
- しっかり食べているのに体重が急に減る
- 全身の倦怠感、疲れやすい、だるさを感じる
- 手足のしびれや冷え、じんじんする感じ
- 目がかすむ、視力が落ちたように感じる
- 皮膚が乾燥してかゆい、傷が治りにくい
- 膀胱炎や歯周病など、感染症にかかりやすくなる
心理的な変化
高血糖は、気分の落ち込みやイライラ、無気力、集中力の低下といった心理的な変化を引き起こすこともあります。これは、血糖値の不安定な変動が自律神経のバランスを乱すことに加え、体のだるさなどが精神面にも影響を与えるためと考えられています。
統計データ(厚生労働省調査より)
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、年齢とともに増加する傾向にあります。特に50代からその割合は上昇し、60代では男性の約4人に1人、女性の約6人に1人が該当すると報告されています。
自覚症状がないまま進行することも多いため、定期的な健康診断でご自身の血糖値を知っておくことが、健康長寿の第一歩と言えるでしょう。
血糖値が上がる原因とメカニズム
主な原因
血糖値が上がる主な原因は、以下の3つに分けられます。
1. 生理学的要因
加齢に伴うすい臓の機能低下によるインスリン分泌量の自然な減少や、インスリンの働きを妨げる「インスリン抵抗性」の発現が大きな原因です。
特に50代以降の女性は、閉経を迎えることで女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。エストロゲンには内臓脂肪の蓄積を抑える働きがあるため、その減少によってお腹まわりに脂肪がつきやすくなり、インスリン抵抗性が高まってしまうのです。これが、同年代の男性と同じような生活をしていても、女性の方が血糖値が上がりやすくなる一因です。
2. 環境的要因
食生活の乱れ(食べ過ぎ、糖質の多い食事、早食い、夜遅い食事など)や、車社会やデスクワーク中心の生活による運動不足が直接的な原因となります。
また、現代社会で避けては通れないストレスや、睡眠不足も血糖値を上げるホルモン(コルチゾールなど)を分泌させるため、血糖コントロールを乱す無視できない要因です。
3. 心理社会的要因
50代・60代は、子どもの独立による喪失感(空の巣症候群)、親の介護による心身の負担、仕事上の責任の増大や退職など、生活環境が大きく変わる時期です。
こうした社会的な役割の変化に伴うストレスが、無意識のうちに食生活の乱れ(甘いものへの依存など)や運動不足につながり、結果的に血糖値を上げる引き金となることがあります。
発症メカニズム
食事で摂取した糖質は、消化酵素によってブドウ糖に分解され、血液中に入り全身の細胞のエネルギー源となります。このとき、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが、いわば”鍵”の役割を果たし、細胞の”扉”を開けてブドウ糖を取り込ませます。
しかし、インスリンという”鍵”の数が減ったり(インスリン分泌不全)、”鍵穴”が錆びついてうまく”鍵”が合わなくなったり(インスリン抵抗性)すると、血液中のブドウ糖が細胞に入れずにあふれてしまいます。この状態が、高血糖です。
リスク要因
- 肥満(特に内臓脂肪型肥満)
- 糖尿病の家族歴(両親や兄弟姉妹にいる)
- 高血圧、脂質異常症(悪玉コレステロールや中性脂肪が高い)
- 運動不足(座っている時間が長い生活)
- 不規則な食生活(朝食を抜く、まとめ食いなど)
- 喫煙、過度の飲酒
- 慢性的なストレスや睡眠不足
- 妊娠中に高血糖を指摘されたことがある(妊娠糖尿病)
放置するリスクと知っておきたい合併症
高血糖の状態を放置すると、全身の血管が少しずつダメージを受け、さまざまな合併症を引き起こします。特に糖尿病の三大合併症は、生活の質を大きく損なう可能性があるため、正しく知っておくことが予防の第一歩です。
1. 神経障害
最も早く現れることが多い合併症です。手足の末端の神経が障害され、「手足がしびれる」「じんじんする」「感覚が鈍くなる」といった症状が出ます。進行すると、足の傷に気付かずに放置してしまい、壊疽(えそ)を起こして切断に至るケースもあります。
2. 網膜症
目の奥にある網膜の血管が障害される病気です。初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると視力が低下し、最悪の場合は失明に至ることもあります。日本の成人の失明原因の上位を占めており、定期的な眼科検診が非常に重要です。
3. 腎症
腎臓の毛細血管が障害され、老廃物をろ過する機能が低下する病気です。初期は症状がありませんが、進行すると体にむくみが出たり、だるさを感じたりします。さらに悪化すると、人工透析が必要になります。透析導入の原因の第1位は、この糖尿病腎症です。
4. 動脈硬化による病気
高血糖は、太い血管の動脈硬化も促進します。これにより、心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」や、脳の血管が詰まったり破れたりする「脳梗塞・脳出血」のリスクが大幅に高まります。これらは命に関わる危険な病気です。
これらの合併症は、静かに進行します。しかし、怖い話ばかりではありません。早期から血糖値を良好にコントロールすることで、これらの合併症の発症や進行を十分に防ぐことができるのです。
診断方法と受診について
次に、受診する場合の流れについて説明します。
いつ受診すべきか
以下のような症状が見られる場合は、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
- 健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された(最も重要な受診のきっかけです)
- のどの渇き、多飲、多尿、体重減少などの自覚症状がある
- 原因不明のだるさや疲れが取れない
- 手足のしびれや、視界のかすみを感じる
これらの症状は、体が発している重要なサインです。自己判断で「大丈夫だろう」と放置せず、専門医に相談してください。
診断の流れ
高血糖や糖尿病の診断は、主に問診と血液検査によって行われます。
1. 問診で確認すること
医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。
- 自覚症状の有無とその内容、いつから始まったか
- 家族(特に血縁の近い方)に糖尿病の人はいるか
- 現在の食生活(朝食は食べるか、間食の習慣など)や運動習慣
- 既往歴(高血圧、脂質異常症など)や服用中の薬
- 体重の変化(特に意図しない減少)
この後、より詳しい検査に進みます。
2. 身体検査
血圧測定や体重・腹囲の測定を行い、肥満の程度や高血圧の有無などを確認します。これにより、生活習慣病のリスクを総合的に評価します。次に、血液検査で血糖の状態を詳しく調べます。
3. 代表的な検査例
高血糖の診断には、主に以下の血液検査が行われます。
- 空腹時血糖値:食事を10時間以上とらずに測定する血糖値
- 随時血糖値:食事の時間に関係なく測定する血糖値
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す指標。この数値が特に重要視されます。
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT):ブドウ糖液を飲んだ後の血糖値の変動を調べ、インスリンの分泌能力などを詳しく評価する検査。
これらの検査結果を総合的に判断し、診断が確定します。
受診時の準備
受診の際は、健康診断の結果(過去数年分あると望ましい)や、お薬手帳など現在服用中の薬がわかるものを持参するとスムーズです。また、日頃の食事内容や運動習慣、気になる症状の変化などを簡単にメモしておくと、医師に正確な情報を伝えやすくなります。
受診すべき診療科
血糖値の高さを相談する場合は、まず「内科」や「糖尿病内科」「内分泌内科」を受診するのが一般的です。かかりつけ医がいる場合は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。お住まいの地域の保健所や医療機関情報サイト、日本糖尿病学会HPで専門医を探すこともできます。
血糖値を下げるための治療法
治療方針の決定
血糖値を下げる治療は、画一的なものではありません。医師は、患者さん一人一人の年齢、体力、ライフスタイル、合併症の有無などを総合的に考慮し、相談しながら最適な治療方針を決定します。治療の主役はあくまで患者さん自身であり、医師や医療スタッフはチームとしてそのサポートをします。
薬物療法
一般的には食事療法や運動療法を2〜3か月続けても血糖コントロールの目標が達成できない場合に、薬物療法が検討されます。血糖値を下げる薬には、インスリンの分泌を促す薬、インスリンの効きを良くする薬、糖の吸収や排泄を調整する薬など、さまざまな種類があります。どの薬を選択するかは、医師が専門的な知見から判断します。
注意:薬の使用については、必ず医師の指示に従ってください。自己判断で中断したり、量を調整したりすることは大変危険です。
非薬物療法:食事と運動が治療の柱
血糖値を下げる治療の基本であり、最も重要なのが「食事療法」と「運動療法」です。薬物療法を開始した後も、この2つは継続して行う必要があります。
食事療法のポイント
栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂ることが基本です。
食べる順番療法「ベジファースト」を徹底するのも有効です。食事の最初に、食物繊維が豊富な野菜、きのこ、海藻類のおかず(味噌汁の具なども含む)から食べ始め、次に肉や魚などのたんぱく質、最後にごはんやパンなどの炭水化物を食べる方法です。
食物繊維が糖の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急上昇(血糖値スパイク)を効果的に防ぎます。
「GI値」を意識した食品選び GI(グリセミック・インデックス)とは、食後の血糖値の上昇度を示す指標です。GI値が高い食品ほど血糖値が急上昇しやすく、低い食品ほど穏やかに上昇します。
白米より玄米や雑穀米、食パンより全粒粉パン、うどんより蕎麦など、精製度の低い茶色い炭水化物を選ぶのがコツです。
血糖値コントロールに役立つ食品をプラス
- お酢:食前に大さじ1杯程度のお酢を摂ると、食後の血糖上昇が緩やかになるという研究報告があります。酢の物や、飲み物に加えてみてはいかがでしょうか。
- 青魚:サバやイワシに含まれるEPA、DHAという油は、インスリンの働きを良くする効果が期待できます。
- ナッツ類:食物繊維や良質な脂質が豊富で、間食におすすめです。ただしカロリーは高めなので、手のひらに軽く一杯程度にしましょう。
外食・コンビニ食の選び方としては、定食スタイルのものを選び、丼ものや麺類などの単品メニューはなるべく避けます。野菜の小鉢を追加したり、お弁当を選ぶ際は揚げ物が少なく野菜が多いものを選ぶと良いでしょう。
運動療法のポイント
運動は、ブドウ糖を消費して血糖値を直接下げる効果と、継続することでインスリンの効きやすい体質に変える効果があります。
有酸素運動で脂肪を燃やす ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水中ウォーキングなどがおすすめです。少し汗ばむくらいの強度で、1回30分以上、週に3〜5日行うのが理想です。まずは「1日10分プラスして歩く」から始めてみましょう。
筋力トレーニングで燃費の良い体に 筋肉は、体の中で最も多くのブドウ糖を消費する場所です。筋肉量を増やすことで、基礎代謝が上がり、血糖値が上がりにくい体になります。
- 簡単スクワット:肩幅に足を開き、椅子に座るようにお尻をゆっくり下ろします。ひざがつま先より前に出ないように注意しましょう。
- かかと落とし:立ったままつま先立ちになり、ストンとかかとを落とします。ふくらはぎの筋肉が鍛えられます。家事の合間にも手軽にできます。
運動を続けるコツ:一人で黙々と続けるのが苦手な方は、家族や友人を誘ったり、地域のサークルに参加したりするのも良いでしょう。歩数計アプリで記録をつけたり、好きな音楽を聴きながら歩いたりと、楽しみながら続ける工夫が大切です。
注意:持病がある方や、これまで運動習慣がなかった方は、どのような運動が適しているか、必ず医師に相談してから始めましょう。
生活習慣による管理
規則正しい生活、十分な睡眠(6〜8時間が目安)、禁煙、節酒など、日々の生活習慣を見直すことも、血糖コントロールには欠かせません。特にストレスは血糖値を上げる原因になるため、趣味の時間を持ったり、ゆっくり入浴したりと、自分なりのリラックス法を見つけることも大切です。
治療期間と予後
高血糖の治療は、基本的に生涯にわたって続きます。しかし、血糖値を良好な状態にコントロールし続けることで、怖い合併症を予防し、健康な人と変わらない、あるいはそれ以上に健康的な生活を送ることが可能です。定期的な通院と検査で、自分の状態を正しく把握し、治療を継続していくことが何よりも重要です。
予防法と日常生活での注意点
一次予防(発症予防)
血糖値が正常なうちから、バランスの取れた食事、適度な運動、適正体重の維持を心がけることが、将来の高血糖や糖尿病を防ぐ最も効果的な方法です。
二次予防(早期発見・早期治療)
定期的に健康診断を受け、血糖値の変動をチェックすることが大切です。もし異常を指摘された場合は、放置せずに速やかに医療機関を受診し、早期に治療を開始することで、病気の進行や合併症を防ぐことができます。
日常生活の工夫
- 食べる順番を工夫する:野菜・海藻・きのこ→たんぱく質(肉・魚・大豆製品)→炭水化物(ごはん・パン)の順で食べる。
- よく噛んでゆっくり食べる:一口10回を目標に。満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを防ぎます。
- 間食を見直す:糖質の多いお菓子やジュースは控え、素焼きのナッツ、無糖のヨーグルト、ゆで卵などを選ぶ。
- こまめに動く「ながら運動」:テレビを見ながら足踏みする、歯磨きしながらスクワットするなど、日常生活の中で活動量を増やす。
家族・周囲のサポート
ご家族や周囲の方が、食事療法や運動療法に協力してくれると、本人の負担は大きく軽減されます。一緒にウォーキングを楽しんだり、健康的な食事メニューを考えたりするなど、楽しみながら取り組める環境づくりが大切です。
また、本人が治療に対して前向きになれるような、「がんばっているね」といった励ましの言葉など、精神的なサポートも大きな力になります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 血糖値が高いと言われました。すぐに糖尿病になるのでしょうか?
A: 健康診断などで血糖値が高いと指摘されても、すぐに糖尿病と診断されるわけではありません。多くは「境界型(糖尿病予備群)」という段階です。これは、いわば糖尿病への”黄色信号”の状態。
この段階で食事や運動などの生活習慣をしっかりと見直すことで、糖尿病への進行を防いだり、正常な状態に戻したりすることも十分に可能です。大切なのは、指摘を放置せず、一度専門医に相談してご自身の状態を正確に把握することです。
Q2: どんな食べ物が血糖値を下げるのに効果的ですか?
A: 特定の食品だけを食べれば血糖値が下がる、という魔法のような食べ物はありません。大切なのは、さまざまな食品をバランス良く食べることです。
特に、食物繊維が豊富な野菜、きのこ、海藻類は糖の吸収を穏やかにするため、毎食たっぷり摂ることを意識しましょう。また、糖質の多いごはんやパン、麺類を少し控えめにし、食べる順番を工夫する(野菜から先に食べる「ベジファースト」)ことが非常に効果的です。
Q3: 運動はいつ、どのくらいすれば良いですか?
A: 運動は、食後の血糖値が上がりやすい食後30分〜1時間後に行うのが最も効果的です。ウォーキングやスロージョギングなどの有酸素運動を1日30分程度、週に3〜5日行うのが目標です。
ただし、無理は禁物です。「10分多く歩く」「寝る前にストレッチをする」など、できることから始めて、少しずつ習慣にしていくことが何よりも大切です。運動を始める前には、安全のためにかかりつけ医に相談しましょう。
Q4: 「血糖値スパイク」とは何ですか?
A: 「血糖値スパイク」とは、食後に血糖値が正常範囲を超えてジェットコースターのように急上昇し、その後急降下する状態のことです。健康な人でも起こることがありますが、この血糖値の乱高下は血管に大きなダメージを与え、気づかないうちに動脈硬化を進める原因になると考えられています。
早食いや、おにぎり・パン・麺類だけといった糖質に偏った食事は血糖値スパイクを起こしやすいので特に注意が必要です。
Q5: 薬を一度飲み始めたら、一生やめられないのでしょうか?
A: 血糖値を下げる薬は、食事療法や運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合に、将来の合併症を防ぐために使用します。生活習慣の改善によって血糖値が安定し、医師が不要と判断すれば、薬を減らしたり、やめたりすることも決して珍しくありません。
しかし、自己判断で中断するのは非常に危険です。薬は、ご自身の努力をサポートしてくれるお守りのようなものと考え、必ず医師の指示に従ってください。
Q6: 甘いものがやめられません。どうしたら良いですか?
A: 甘いものを完全に断つのはストレスになりますよね。まずは、食べる量や回数を減らすことから始めてみましょう。
例えば、「毎日食べていたお菓子を週3回にする」「洋菓子より糖質の少ない和菓子やハイカカオチョコレートを選ぶ」「飲み物は無糖のお茶や水にする」など、小さな目標を立ててクリアしていくのがおすすめです。
食後のデザートではなく、時間を決めて少量を楽しむなど、上手に付き合っていく方法を見つけましょう。
Q7: 低血糖になるとどうなりますか?怖い症状ですか?
A: 低血糖とは、血糖値が下がりすぎた状態で、冷や汗、動悸、手足の震えなどの症状が出ます。重症化すると意識を失うこともあり危険ですが、通常はブドウ糖や砂糖、ジュースなどを摂ることで速やかに回復します。
血糖値を下げる薬を使用中の方は、低血糖のリスクについて医師から説明を受け、いざという時のためにブドウ糖などを常に持ち歩くようにしましょう。
Q8: 遺伝すると聞きましたが、親が糖尿病だと自分も必ずなりますか?
A: 糖尿病には、遺伝的な要因が関係している「なりやすい体質」というものは確かにあります。しかし、遺伝だけで決まるわけではありません。むしろ、食生活や運動習慣といった環境要因の方が大きく影響します。
ご両親が糖尿病であっても、ご自身が若い頃からバランスの取れた食事や運動習慣を心がけることで、発症のリスクを大幅に下げることができます。遺伝はあくまで要因の一つと考え、生活習慣を見直す良いきっかけと捉えましょう。
Q9: サプリメントで血糖値は下がりますか?
A: 「血糖値の上昇を穏やかにする」などと表示された特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品はありますが、これらはあくまで食事療法を補助するものです。サプリメントだけで血糖値が下がることはありませんし、治療の代わりにもなりません。
基本はあくまで食事療法と運動療法です。もしサプリメントを利用したい場合は、有効性や安全性を確認するため、まずかかりつけ医や薬剤師に相談してください。
Q10: 治療を続ければ、元の生活に戻れますか?
A: 高血糖の治療は、血糖値をコントロールし、怖い合併症を防ぐことが目的です。治療をしっかり続けることで、血糖値を良好な状態に保ち、健康な人と変わらない、活動的な毎日を送ることが十分可能です。
病気と向き合い、上手に付き合っていくことで、治療前よりも健康的な生活習慣が身につき、結果としてより豊かな人生を送っている方もたくさんいらっしゃいます。希望を持って、前向きに治療に取り組みましょう。
まとめ
大切なポイント
- 血糖値の高さは自覚症状がないまま静かに進行し、放置は大変危険です。
- 治療の基本は「食事療法」と「運動療法」。薬はあくまでその努力を後押しするサポーターです。
- 「ベジファースト」や「低GI食品」など、賢い食べ方の工夫で血糖コントロールはもっと楽になります。
- 不安なことは一人で抱え込まず、専門医や家族、友人に相談し、チームで取り組むことが成功の鍵です。
血糖値が高いと聞くと、不安な気持ちになるのは当然です。でも、大丈夫。今、ご自身の体と向き合う機会を得たことは、これからの人生をより健やかに、そして輝いて過ごすための大切な一歩です。
正しい知識を身につけ、専門家と相談しながら、ご自身に合ったペースで一歩ずつ進んでいきましょう。未来の健康は、今日の小さな、そして賢い積み重ねから作られます。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。
監修者プロフィール:押切 佳代さん

沢岻美奈子女性医療クリニック(兵庫県神戸市)院長。日本内科学会認定医。日本糖尿病学会専門医。ダイエット外来担当医。




