50代女性に贈る~ヒップリフトで体を鍛えるには?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
ヒップリフトで体を鍛えるには?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月10日
この記事3行まとめ
✓ ヒップリフトはお尻の引き締めや姿勢改善に繋がります
✓ 50代・60代女性も無理なく安全にできる方法をご紹介
✓ トレーニング効果を高める食事や生活のポイントも解説
ヒップリフトとは?
「ヒップリフト」という言葉、耳にしたことはありますか?これは、仰向けに寝てお尻を持ち上げる、シンプルながらも非常に効果的なトレーニングです。
この動きで主に鍛えられるのは「大臀筋(だいでんきん)」、つまりお尻の一番大きな筋肉です。大臀筋は、私たちが立ったり、歩いたり、階段を上ったりする時に体を支える、まさに土台とも言える重要な筋肉。
さらに、太ももの裏側にある「ハムストリングス」や、正しい姿勢を保つために欠かせない背中の「脊柱起立筋」、お腹周りを引き締める「腹横筋」といった「体幹」の筋肉も同時に鍛えることができる、優れたトレーニングなのです。
年齢とともにお尻の形が気になってきた、姿勢が悪くなった気がする…そんなお悩みを持つ私たち世代にとって、ヒップリフトは美しさと健康の両方を手に入れるための、心強い味方になってくれるはずです。
ヒップリフトのメリット
ヒップリフトを続けることで、私たちの心と体には嬉しい変化がたくさん訪れます。
- ヒップアップ効果:なんといっても一番の魅力は、キュッと引き締まった上向きのヒップラインが手に入ること。パンツスタイルに自信が持てるようになります。
- 姿勢の改善:体幹が安定することで、自然と背筋が伸び、若々しい立ち姿に。猫背が改善されると、見た目の印象がぐっと変わります。
- 腰痛の予防・改善:腹筋や背筋が強化されることで、腰への負担が軽減されます。長年の悩みだった腰の違和感が、楽になるかもしれません。
- 基礎代謝のアップ:お尻のような大きな筋肉を鍛えると、体全体の筋肉量が増え、基礎代謝が上がります。つまり、何もしなくても消費されるエネルギーが増え、太りにくく痩せやすい体質へと変わっていくのです。
- つまずき予防:お尻や足腰の筋肉がしっかりすることで、歩行が安定し、つまずきや転倒のリスクを減らすことができます。
統計データ(スポーツ庁調査などより)
スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(令和5年度)によると、20歳以上の女性で週に1回以上スポーツを実施している人の割合は49.4%でした。年代別に見ると、子育てや仕事で忙しい30代・40代で一度運動習慣が遠のき、50代から再び健康への意識が高まる傾向が見られます。
しかし、厚生労働省の調査では、60代女性が運動をしない理由として「面倒だから」「仕事や家事で忙しいから」といった声も挙げられています。
ヒップリフトは、そんな忙しい毎日の中でも、自宅でテレビを見ながら、寝る前のちょっとした時間でできる手軽なトレーニングです。まずは週に2〜3回から、ご自身のペースで始めてみませんか?
お尻の筋肉の衰えが招く心身のトラブル
「最近、なんだか体のラインがぼんやりしてきた」「ちょっとしたことで、すぐ疲れてしまう」……そんなふうに感じていませんか? もしかしたら、それはお尻の筋肉の衰えが原因かもしれません。でも、ご安心ください。ヒップリフトのような適切なトレーニングで、多くの悩みは解決へと導かれます。
筋力低下が招く身体的な問題
お尻の筋肉である大臀筋が衰えると、体に様々な影響が出てきます。
- 姿勢の悪化:体を支える土台が弱くなるため、骨盤が後ろに傾きやすくなり、猫背やぽっこりお腹の原因になります。
- 腰や膝への負担増:お尻の筋肉がうまく使えないと、歩いたり立ったりする動作を腰や膝が代償しようとします。これが、腰痛や膝痛を引き起こす一因となるのです。
- 疲れやすさ:大きな筋肉が衰えると、全身の持久力が低下し、以前より疲れやすくなったと感じることがあります。
- スタイルの崩れ:ヒップが垂れるだけでなく、お尻と太ももの境目が曖昧になり、脚が短く見えてしまうことも。
体の変化が心に与える影響
体の変化は、私たちの心にも影響を与えます。「好きだったお洋服が似合わなくなった」「鏡を見るのが少し憂鬱」そんな気持ちから、外出がおっくうになったり、人と会うことに消極的になったりすることも。また、腰や膝の痛みが続くと、旅行や趣味を心から楽しめなくなり、気分が落ち込んでしまうこともあるでしょう。
関連する他の不調やトラブル
お尻の筋力低下は、全身のバランスを崩す引き金にもなります。例えば、歩き方が不安定になることで足首に負担がかかったり、上半身の歪みから肩こりや頭痛に繋がったりすることも。体はすべて繋がっているからこそ、土台となるお尻の筋肉を鍛えることが、全身の健康を守ることに繋がるのです。
トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談
安全にトレーニングを始めるために
ヒップリフトは比較的安全なトレーニングですが、持病をお持ちの方、特に腰や股関節、膝に痛みや疾患がある方は、自己判断で始めず、必ずかかりつけの医師や理学療法士に相談してください。「このくらいの運動なら大丈夫だろう」という油断が、症状を悪化させてしまう可能性もあります。
また、体力に自信がない方も、無理は禁物です。まずは回数を減らす、お尻を上げる高さを低くするなど、ご自身が「少し物足りないかな?」と感じるくらいの強度から始めてみましょう。
専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット
自己流のトレーニングは、間違ったフォームで行ってしまい、効果が出ないばかりか、かえって体を痛めてしまうリスクがあります。
専門家の指導を受ける一番のメリットは、あなたの体力や体の状態に合わせた、最も安全で効果的な方法を教えてもらえることです。正しいフォームを身につけることで、狙った筋肉に的確にアプローチでき、トレーニングの効果を最大限に引き出すことができます。
また、目標達成までの計画を一緒に立ててくれたり、くじけそうな時に励ましてくれたり、モチベーションを維持する上でも心強い存在となるでしょう。
良い専門家の見つけ方
信頼できる専門家を見つけるには、いくつかのポイントがあります。
- 資格の有無:理学療法士や、信頼できる認定団体が発行するパーソナルトレーナー資格を持っているかを確認しましょう。
- 経験と専門分野:特に、中高年層の指導経験が豊富なトレーナーは、私たちの体の特性をよく理解しているため安心です。
- カウンセリングの丁寧さ:あなたの悩みや目標を親身になって聞いてくれるか、質問に分かりやすく答えてくれるかなど、コミュニケーションの相性も大切です。
お住まいの地域のフィットネスクラブや、自治体が運営する健康増進施設などで相談してみるのも良いでしょう。
ヒップリフトの具体的なトレーニング方法
トレーニング方針の決定
まずは、あなたがヒップリフトで何を目指すのかを考えてみましょう。「キュッと上がったヒップラインを手に入れたい」「腰痛を気にせず旅行を楽しみたい」「健康のために体力をつけたい」など、目的によって適切な負荷や回数は変わってきます。
最初は専門家の指導のもと、ご自身の目標に合った計画を立てるのが理想です。ここでは、基本的な方法をご紹介します。
1. 自重トレーニング(基本のヒップリフト)
自宅で器具を使わずにできる、最も基本的なヒップリフトです。
- 準備:仰向けに寝て、両膝を90度くらいに立てます。足は腰幅に開き、足裏全体をしっかりと床につけましょう。両手は体の横に置き、手のひらを床につけて体を安定させます。
- 持ち上げる:息を吐きながら、お尻の筋肉を意識して、ゆっくりと腰を持ち上げます。肩から膝までが一直線になるのが目標です。
- キープ:お尻を上げた位置で、お尻の穴をキュッと締めるように意識しながら2〜3秒静止します。
- 下ろす:息を吸いながら、ゆっくりと元の位置に戻します。この時、お尻が床に完全につく直前で止めると、さらに効果が高まります。
- 回数の目安:まずは10回を1セットとして、1日に2〜3セットを目標に始めてみましょう。
よくある間違いと正しいフォーム
×間違い:お尻を高く上げようとして、腰を反らせてしまう。
〇正しいフォーム:お腹に軽く力を入れ、腰を反らさず、お尻の力で持ち上げることを意識します。上がりすぎは禁物です。「一直線」を意識しましょう。
×間違い:膝が開いたり、内側に入ったりしてしまう。
〇正しいフォーム:膝の間にクッションや丸めたタオルを挟むと、膝が安定し、内ももの筋肉も同時に鍛えられます。
2. 器具を使ったトレーニング(応用編)
自重トレーニングに慣れてきたら、少し負荷を上げてみましょう。
- ペットボトルやダンベルを使う:水を入れたペットボトルや、軽いダンベル(1〜2kg程度)を下腹部のあたりに乗せて行うと、負荷が高まります。
- トレーニングチューブを使う:両膝の少し上にトレーニング用のゴムチューブを巻き、チューブの抵抗に逆らうように膝を少し外に開く意識で行うと、お尻の横側にある「中臀筋」も鍛えられ、ヒップアップ効果がさらに高まります。
よくある間違いと正しいフォーム
×間違い:最初から重すぎる負荷をかけてしまう。
〇正しいフォーム:まずは一番軽い負荷から試し、正しいフォームを維持できる範囲で少しずつ調整していくことが大切です。重さよりも、正しいフォームを優先しましょう。
トレーニングの頻度と期間の目安
筋肉は、トレーニングで傷つき、休息を経て回復する過程で成長します(これを超回復と呼びます)。そのため、毎日行うよりも、週に2〜3回、1日おきくらいのペースで行うのが効果的です。
効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には1〜2か月続けると、「お尻の形が変わってきたかも?」「姿勢が良くなった気がする」といった変化を感じ始める方が多いようです。焦らず、気長に続けることが何よりも大切です。
トレーニング効果を高める生活習慣
1. 食事のポイント(タンパク質など)
筋肉は、私たちが食べたものから作られます。特に、筋肉の材料となる「タンパク質」をしっかり摂ることが重要です。
- タンパク質を多く含む食品:肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)
- 摂るタイミング:トレーニング後30分〜1時間以内は、体が栄養を吸収しやすい「ゴールデンタイム」と呼ばれています。この時間にタンパク質を補給すると、効率的に筋肉の回復を助けることができます。運動後に牛乳や豆乳を一杯飲むだけでも違います。
- バランスの良い食事:タンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルも筋肉の働きを助けるために不可欠です。特定の食品に偏らず、様々な食材をバランス良く食べることを心がけましょう。
2. 休息と回復の重要性
トレーニングと同じくらい、体を休ませることも大切です。筋肉は休んでいる間に成長します。十分な睡眠時間を確保し、質の良い眠りを心がけましょう。寝る前にスマートフォンを見るのを控えたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりするのもおすすめです。筋肉痛がひどい日は、無理せずトレーニングを休み、ストレッチなどで体をほぐす日にしましょう。
3. 日常生活で意識するべきこと
トレーニング以外の時間も、少し意識を変えるだけで効果を高めることができます。
- 正しい姿勢を保つ:椅子に座る時は深く腰かけ、骨盤を立てるように意識しましょう。信号待ちの時間などに、お腹とお尻にキュッと力を入れるだけでも、立派なトレーニングになります。
- 歩き方を意識する:歩く時は、かかとから着地し、お尻の筋肉を使って地面を押し出すように意識すると、一歩一歩がヒップアップに繋がります。
- 階段を使う:エスカレーターやエレベーターをなるべく使わず、階段を選ぶ習慣をつけましょう。階段を上る動作は、ヒップリフトと同様にお尻を鍛える絶好の機会です。
よくある質問(FAQ)
Q1: ヒップリフトは、具体的にどこに効くのですか?
A: 主に、お尻の一番大きな筋肉である「大臀筋」に効果があります。その他にも、太ももの裏側(ハムストリングス)、背中(脊柱起立筋)、お腹のインナーマッスル(腹横筋)など、体の後ろ側と体幹の筋肉を同時に鍛えることができます。
ヒップアップだけでなく、姿勢改善や腰痛予防にも繋がる、とても効率の良いトレーニングです。
Q2: 効果はどれくらいで実感できますか?
A: 個人差はありますが、週に2〜3回のペースで継続した場合、1〜2か月ほどで「お尻の筋肉が引き締まってきた」「姿勢が良くなった気がする」といった変化を感じ始める方が多いです。大切なのは焦らず、ご自身のペースで続けることです。
Q3: どのくらいの頻度や時間行えば良いですか?
A: 筋肉の回復と成長のため、毎日行うよりは1日おき、週に2〜3回のペースがおすすめです。時間は、まずは「10回×3セット」を目標に、5〜10分程度から始めてみましょう。慣れてきたら、回数やセット数を少しずつ増やしてみてください。
Q4: 年齢や体力に自信がなくても安全にできますか?
A: はい、ヒップリフトは自分の体重を負荷にするため、年齢や体力に合わせて調整しやすい安全なトレーニングです。最初はお尻を高く上げすぎず、少ない回数から始めてみてください。「少し物足りない」と感じるくらいが、安全に始めるためのちょうど良い強度です。
Q5: 腰痛持ちなのですが、行っても大丈夫ですか?
A: 腰に痛みや疾患がある場合は、自己判断で行わず、必ず事前にかかりつけの医師や理学療法士にご相談ください。許可が出た場合も、腰を反らさないように常にお腹に力を入れ、痛みを感じたらすぐに中止することが大切です。
Q6: トレーニング中に膝や腰が痛くなります。
A: 痛みの原因は、フォームが間違っている可能性が高いです。特に、お尻を高く上げようとして腰を反らせてしまうと腰痛の原因になります。また、足の位置が不適切だと膝に負担がかかることも。一度、鏡の前でフォームを確認したり、専門家に見てもらうことをおすすめします。
Q7: 自重トレーニングと器具を使うのは、どちらが良いですか?
A: まずは器具を使わない自重トレーニングで、正しいフォームを身につけることから始めましょう。物足りなくなってきたら、軽いダンベルやトレーニングチューブを使って少しずつ負荷を上げていくのが、安全で効果的なステップアップの方法です。
Q8: ぽっこりお腹にも効果はありますか?
A: はい、期待できます。ヒップリフトはお腹の深層部にあるインナーマッスル「腹横筋」も鍛えます。この筋肉は天然のコルセットのような役割を果たしており、鍛えることで内臓が正しい位置に収まり、ぽっこりお腹の解消に繋がります。
Q9: 食事はいつ、何を摂るのが効果的ですか?
A: トレーニング後30分〜1時間以内に、筋肉の材料となるタンパク質を摂るのが最も効果的です。ゆで卵や、無糖のヨーグルト、牛乳、豆乳などが手軽でおすすめです。もちろん、日々の食事で肉や魚、大豆製品をバランス良く摂ることが基本です。
Q10: モチベーションが続きません。どうすれば良いですか?
A: 最初から高い目標を立てず、「まずは週2回、5分だけ」といった簡単な目標から始めてみましょう。好きな音楽を聴きながら行ったり、カレンダーにシールを貼ったりするのも良い方法です。小さな成功体験を積み重ねることが、継続の秘訣です。
Q11: 他の人と比べてしまい、落ち込んでしまいます。
A: 筋肉のつき方や体力は、本当に人それぞれです。大切なのは、過去の自分より少しでも成長できたことを褒めてあげること。他人と比べるのではなく、ご自身の体の変化に意識を向けてみましょう。
Q12: プロテインなどのサプリメントは必要ですか?
A: 必ずしも必要ではありません。まずは日々の食事から、バランス良くタンパク質を摂ることを第一に考えましょう。もし、食事だけでは不足しがちな場合や、より手軽に栄養補給をしたい場合に、補助的に利用するのは良い選択肢です。利用する際は、ご自身の目的に合ったものを選びましょう。
Q13: 毎日やらないと効果はないのでしょうか?
A: そんなことはありません。筋肉はトレーニングで受けた刺激を、休息中に回復させることで成長します。そのため、休息日を設けることは非常に重要です。毎日頑張るよりも、週2〜3回のペースで継続する方が、結果的に高い効果が期待できます。
Q14: ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせた方が良いですか?
A: はい、組み合わせることで相乗効果が期待できます。ヒップリフトのような筋トレで基礎代謝を上げ、ウォーキングなどの有酸素運動で脂肪を燃焼させることで、より効率的に体を引き締めることができます。筋トレの後に有酸素運動を行うのがおすすめです。
Q15: 家事をしながら「ながらトレーニング」はできますか?
A: 素晴らしいアイデアですね。例えば、洗い物をしながらつま先立ちを繰り返したり、料理中にシンクに手をついてお尻を後ろに引くような動きをしたりするのも良いでしょう。日常生活の動作にトレーニングの意識をプラスすることで、効果はさらに高まります。
Q16: トレーニングを続けると、どんな良い未来が待っていますか?
A: トレーニングを続けることで、まず体に自信が持てるようになります。そして、体力がつくことで、旅行や趣味、お孫さんと遊ぶ時間などを、これまで以上にエネルギッシュに楽しめるようになるでしょう。健康で、美しく、活動的な毎日。トレーニングは、そんな輝く未来への、ご自身への最高の投資です。
Q17: スクワットとヒップリフト、どちらが効果的ですか?
A: どちらも素晴らしいトレーニングですが、目的によって得意なことが異なります。「トレーニングの王様」と呼ばれるスクワットは、お尻だけでなく太ももや体幹など、より多くの筋肉を動員するため、全体の筋力アップや消費カロリーの面で優れています。
一方、ヒップリフトは、お尻の筋肉(大臀筋)に集中的にアプローチできるのが特徴です。膝や腰への負担が少ないため、運動に慣れていない方や、特定の部位に痛みがある方でも始めやすいというメリットがあります。
まずヒップリフトで眠っているお尻の筋肉を目覚めさせてから、スクワットに挑戦するのも良い方法です。
Q18: 産後の体型戻しにも効果はありますか?
A: はい、効果が期待できます。特に、妊娠・出産でゆるみがちな骨盤周りの筋肉を引き締めるのに役立ちます。ただし、産後の体はデリケートですので、必ず医師に相談し、運動の許可が出てから始めるようにしてください。
一般的には産後1か月検診で問題がなければ、軽い運動から開始できることが多いようです。焦らず、ご自身の体と対話しながら進めましょう。
Q19: トレーニングをしても筋肉痛になりません。効いていないのでしょうか?
A: 筋肉痛がこないからといって、効果がないわけではありませんのでご安心ください。トレーニングを始めたばかりの頃は筋肉痛が起きやすいですが、体が慣れてくると、同じ負荷では筋肉痛になりにくくなります。
お尻の筋肉を使っている感覚(ぎゅーっと収縮する感じ)があれば、しっかりと効いています。もし物足りなさを感じるようになったら、回数を増やしたり、少し負荷を加えたりするステップアップのサインかもしれません。
Q20: トレーニングマットなどの器具は必要ですか?
A: 必ずしも必要ではありませんが、あるとより快適にトレーニングができます。フローリングなどの硬い床で直接行うと、背中や尾てい骨が痛くなることがあります。トレーニングマットを敷くことで、体を保護し、滑りも防いでくれるため、より集中して取り組むことができます。バスタオルやラグなどで代用することも可能です。
Q21: 片足で行うヒップリフトのやり方を教えてください。
A: 片足で行う「シングルレッグ・ヒップリフト」は、より高い負荷をかけたい上級者向けのトレーニングです。
まず、基本のヒップリフトの姿勢から、片方の膝を胸に引き寄せるように抱えます。そして、床についている方の足裏とお尻の力で、体を持ち上げます。体がぐらつかないように、両手でしっかりバランスを取りましょう。左右それぞれ、まずは5回ずつから挑戦してみてください。
Q22: 朝と夜、トレーニングするならどちらが良いですか?
A: 基本的には、ご自身のライフスタイルに合わせて、継続しやすい時間帯に行うのが一番です。一般的に、朝のトレーニングは交感神経を活発にし、その日1日の代謝を高める効果が期待できます。
一方、夜のトレーニングは、成長ホルモンの分泌を促し、筋肉の修復や成長に繋がりやすいと言われています。ただし、就寝直前の激しい運動は眠りを妨げる可能性があるので、寝る2〜3時間前までには終えるようにしましょう。
まとめ
大切なポイント
- ヒップリフトは、お尻だけでなく体幹も鍛え、美しい姿勢と健康な体を作る基本のトレーニングです。
- 腰を反らさない、お腹に力を入れるなど、正しいフォームで行うことが安全と効果の鍵です。
- 食事(特にタンパク質)と十分な休息を組み合わせることで、トレーニング効果は格段にアップします。
- 痛みや不安がある時は無理せず、医師や専門家に相談することが、長く続けるための秘訣です。
ヒップリフトは、ただ体を鍛えるだけのものではありません。それは、自分自身と向き合い、自分の体を慈しむ時間です。お尻がキュッと上がれば、心も自然と上向きになります。自分の足でしっかりと大地を踏みしめられるようになれば、どこへでも行けるような自信が湧いてきます。大丈夫、私たちの体には、まだまだたくさんの可能性が眠っているのですから。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。
監修者プロフィール:菊池大和 先生

きくち総合診療クリニック(神奈川県綾瀬市)院長。医療法人ONE理事長。日本慢性期医療協会総合診療認定医。日本医師会認定健康スポーツ医。認知症サポート医。身体障害者福祉法指定医(呼吸器)。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」を理念に診療にあたる。著書に『「総合診療かかりつけ医」が患者を救う』(2021年)、『「総合診療かかりつけ医」がこれからの日本の医療に必要だと私は考えます。』(2024年)




