バードドッグとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】

バードドッグとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年10月10日

バードドッグとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
プラナ / PIXTA

バードドッグのトレーニングに関心のある50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、日本医師会認定健康スポーツ医の菊池大和先生の監修のもと、「バードドッグ」で効果的に体を鍛える方法について、どこよりも分かりやすくお伝えいたします。

菊池大和
監修者
菊池大和
監修者 菊池大和 きくち総合診療クリニック

この記事3行まとめ

✓ バードドッグは体幹を安定させ、美しい姿勢と健康な身体の土台を作る重要なトレーニングです。
✓ 50代・60代の女性でも、自宅で安全に、自分のペースで取り組める効果的な方法をご紹介します。
✓ トレーニング効果を最大限に引き出すには、正しいフォームと継続、そして食事が鍵となります。

バードドッグとは?

 

takeuchi masato / PIXTA

「バードドッグ」という少しユニークな名前のトレーニングを聞いたことがありますか?これは、猟犬が遠くの鳥を見つめてぴたりと静止する、あの美しいポーズに似ていることから名付けられました。

この運動は、主に「体幹」と呼ばれる、お腹や背中、腰回りといった体の中心部を支えるインナーマッスルを鍛えるためのものです。私たちの体は、大きな木に例えることができます。体幹がその木の「幹」にあたり、手足は「枝」です。幹がしっかりしていないと、少しの風で枝が大きく揺れ動き、不安定になってしまいますよね。

50代、60代と年齢を重ねるにつれて、知らず知らずのうちにこの「幹」の力は弱まりがちです。バードドッグは、この大切な体幹を、ジャンプしたり走ったりといった激しい動きなしで、じっくりと安定させてくれる、まさに私たち世代にぴったりの、賢いトレーニングなのです。

バードドッグのメリット

バードドッグで体幹を鍛えることは、私たちの暮らしにたくさんの嬉しい変化をもたらしてくれます。

  • 美しい姿勢で、若々しい印象に: 背中側の「脊柱起立筋」や、お腹の深層にある「腹横筋」が鍛えられることで、自然と背筋が伸び、若々しい立ち姿を維持できます。ショーウィンドウに映った自分の姿が、すっと伸びて美しく見えるようになります。
  • つらい腰痛の予防・改善: 体幹の筋肉は、まるで天然のコルセットのようにお腹周りを360度支え、腰への負担を軽減してくれます。長時間の立ち仕事や、庭仕事の後のつらい腰の痛みが和らぐのを実感できるでしょう。
  • 気になるぽっこりお腹の引き締め: お腹のインナーマッスルである腹横筋が引き締まることで、内側からお腹を支え、ぽっこりと出ていた下腹がすっきりします。昔履いていたスカートが、また似合うようになるかもしれません。
  • キュッと上がったヒップラインに: トレーニングの際にお尻の筋肉「大臀筋」も使うため、垂れ下がりがちだったヒップが引き締まり、パンツスタイルに自信が持てるようになります。
  • つまずき・転倒を防ぎ、安心して外出を楽しむ: 動作を通じてバランス感覚が養われるため、駅の階段や少しの段差でひやっとすることが減ります。お孫さんと手を繋いで歩くときも、安心して一歩を踏み出せるようになります。

統計データ(厚生労働省、スポーツ庁などの調査より)

スポーツ庁の「令和4年度 体力・運動能力調査」によると、日本の高齢者の体力は年々向上傾向にありますが、特に65歳以上では、筋力やバランス能力の維持が健康寿命を延ばす上で非常に重要であると指摘されています。

同調査では、週1回以上運動・スポーツを実施する60代女性の割合は50%を超えていますが、その多くはウォーキングが中心です。もちろんウォーキングも素晴らしい運動ですが、体幹を専門的に鍛える機会は少ないのが現状です。

バードドッグのようなトレーニングは、こうした現代のライフスタイルの中で、手軽に筋力とバランス能力を補うことができる有効な手段と言えるでしょう。

筋力低下が招く心身のトラブル

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「最近、何だか体のラインが崩れてきた気がする」「ちょっとしたことでよろけてしまう」。そんなふうに感じていませんか? それはもしかしたら、体幹の筋力が衰え始めているサインかもしれません。でも、ご安心ください。

バードドッグのような適切なトレーニングで、これから起こりうるかもしれない様々なトラブルを防ぎ、心も体も健やかな毎日を取り戻すことができます。

筋力低下が招く身体的な問題

体幹の筋力が低下すると、私たちの体には様々な変化が現れます。まず、体を支える力が弱まるため、無意識のうちに猫背や反り腰といった悪い姿勢になりがちです。この姿勢の崩れが、慢性的な肩こりや、何をしても取れない首の痛みを引き起こすことも少なくありません。

また、体の軸が不安定になることで、歩行がふらついたり、バスや電車で立っているのがつらく感じられたりします。お腹周りの筋力が弱まると、内臓が本来の位置より下がり、ぽっこりお腹や頑固な便秘の原因になることも。

さらに、腰椎を支える天然のコルセットが緩むことで、重い荷物を持った瞬間や、くしゃみをしただけでぎっくり腰になるような、急な痛みや慢性的な腰痛のリスクが格段に高まってしまいます。

体の変化が心に与える影響

体の変化は、私たちの心にも静かに影を落とします。「好きなブランドの洋服が、なんだか似合わなくなった」「疲れやすくて、友人との旅行や観劇が楽しめない」といった悩みは、自信を失わせ、気持ちを沈ませてしまうことがあります。

また、転倒への不安から「雨の日は出掛けない」「混雑している場所は避ける」など、無意識に行動範囲が狭まり、社会的な孤立感につながることも。体の不調は、知らず知らずのうちに私たちの生活の質(QOL)そのものを低下させてしまうのです。

関連する他の不調やトラブル

体幹の衰えは、一見関係ないように思える場所にも影響を及ぼします。例えば、体のバランスが崩れたまま歩き続けることで、膝や股関節に余計な負担がかかり、変形性膝関節症や股関節痛の原因となることがあります。また、腹部のインナーマッスルの機能低下は、咳やくしゃみをした時の尿もれといった、骨盤底筋群のトラブルと密接に関連していることも指摘されています。

体はすべて精巧につながっている機械のようなもの。その中心である体幹を整えることは、全身の健康を守る上で非常に重要なのです。

トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談

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安全にトレーニングを始めるために

バードドッグは比較的安全なトレーニングですが、特に持病をお持ちの方(コントロールされていない高血圧、心臓疾患、重度の骨粗しょう症など)や、現在、腰や膝に強い痛みがある方は、自己判断で始めずに、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。「このくらいの運動なら大丈夫だろう」という油断は禁物です。ご自身の体の状態を正しく把握し、医師から運動の許可を得てから始めることが、安全への第一歩です。

専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット

自己流のトレーニングは、知らず知らずのうちに間違ったフォームで行ってしまうリスクが伴います。間違ったフォームは、効果が出ないばかりか、かえって腰や首を痛めてしまう原因にもなりかねません。

理学療法士や信頼できるパーソナルトレーナーといった専門家は、あなたの体力や体のクセ、目標に合わせて、最も安全で効果的な方法を指導してくれます。正しいフォームを一度身につけてしまえば、それは一生の財産になります。

また、「今日は少しきついですね」「この動き、とても上手になりましたよ」といった専門家からの励ましが、モチベーションを維持し、途中で挫折することなくトレーニングを続ける大きな力となるでしょう。

良い専門家の見つけ方

信頼できる専門家を見つけるには、いくつかのポイントがあります。まず、理学療法士やNSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)など、解剖学や運動生理学に基づいた質の高い資格を保有しているかを確認しましょう。また、特に私たち世代の体のことをよく理解し、指導経験が豊富なトレーナーを選ぶことが大切です。

体験セッションなどを利用して、実際に指導を受けてみたり、カウンセリングでじっくり話を聞いてくれたりするかどうかを確認するのも良い方法です。健康や体づくりに関する様々な講座やイベントなど、専門家から直接指導を受けられる機会もありますので、ぜひチェックしてみてください。

バードドッグの具体的なトレーニング方法

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トレーニング方針の決定

まずは、あなたがバードドッグを通じて何を目指したいのかを考えてみましょう。「腰痛を予防したい」「姿勢を良くして若々しく見られたい」「ゴルフの飛距離を伸ばしたい」など、目的によって意識するポイントや頻度も変わってきます。

どのような目的であれ、最初は専門家の指導のもとで正しいフォームを習得することを強くおすすめします。正しい動きを体に覚えさせてから、ご自宅でのトレーニングに移行するのが最も安全で効果的なのです。

1. 自重トレーニング

自宅で器具を使わずにできる、基本的なバードドッグの方法です。ヨガマットなどを敷くと、膝への負担が和らぎます。

  1. 四つ這いになる: 肩の真下に手首、股関節の真下に膝がくるように、四つ這いの姿勢になります。背中は丸まったり反ったりせず、テーブルのように床と平行になるようにまっすぐに保ちます。目線は両手の間、少し先の床に向けましょう。
  2. 手と足を伸ばす: 息を「ふーっ」と吐きながら、ゆっくりと右腕を前方に、同時に左脚を後方に伸ばします。腕と脚が床と平行になる高さまで上げましょう。このとき、体が左右にぐらつかないように、お腹にキュッと力を入れて体幹を安定させることが最も重要です。
  3. キープする: 腕と脚を伸ばしきった状態で、3〜5秒ほど静止します。指先からつま先までが、一本の線で引っ張られているようなイメージです。お尻の筋肉(大臀筋)が引き締まっているのを感じましょう。
  4. ゆっくり戻す: 息を吸いながら、伸ばした腕と脚をコントロールしながらゆっくりと元の位置に戻します。ガクンと下ろさないように注意しましょう。
  5. 繰り返す: 今度は反対に、左腕と右脚を同じように伸ばします。左右交互に繰り返しましょう。

よくある間違いと正しいフォーム

×間違い:腰が反ってしまう
 なぜNG?: 腰椎に過度なストレスがかかり、腰痛の原因になります。
〇正しいフォーム: お腹に力を入れ、おへそを背骨に引き寄せるような意識を持つと、腰の反りを防げます。骨盤を少し後ろに傾ける(後傾させる)イメージです。

×間違い:手足を高く上げすぎる
 なぜNG?: 高く上げようとすると、体のバランスが崩れ、腰が反りやすくなります。
〇正しいフォーム: 手足は床と平行の高さで十分です。高さよりも、体を一直線に保つことを優先しましょう。

×間違い:動作が速すぎる
 なぜNG?: 反動を使ってしまい、体幹の筋肉が使われません。効果が半減してしまいます。
〇正しいフォーム: 一つ一つの動きをゆっくりとコントロールすることで、インナーマッスルを効果的に使うことができます。「1秒で伸ばし、3秒キープし、2秒で戻す」のように心の中で数えるのもおすすめです。

×間違い:体が左右に揺れる
 なぜNG?: 体幹が安定していない証拠です。バランスを取ろうとして、他の部分に余計な力が入ってしまいます。
〇正しいフォーム: 残っている手と膝で床をしっかりと押し、体の軸を安定させましょう。お腹周りの筋肉で体を固めるイメージです。

2. 器具を使ったトレーニング

自重トレーニングに慣れてきて、フォームが安定したら、少し負荷を上げてみましょう。ただし、最初から高重量の器具を使うのは絶対に避けてください。

  • 水を入れたペットボトル: 500mlのペットボトルを手に持って行うことで、肩周りの筋肉にも適度な負荷を加えられます。
  • トレーニングチューブ: 足首にチューブを巻き、もう片方の端を手で持つ、あるいは柱などに固定して行うと、脚を伸ばす際の抵抗が加わり、お尻や太もも裏の筋肉(ハムストリングス)への効果が高まります。

よくある間違いと正しいフォーム

器具を使う場合も、基本は自重トレーニングと同じです。

負荷が加わることでフォームが崩れやすくなるため、よりいっそう、背中をまっすぐに保ち、体幹を安定させることを意識してください。少しでもフォームが乱れると感じたら、無理せず器具を外すか、より軽い負荷に戻しましょう。安全が第一です。

トレーニングの頻度と期間の目安

まずは「週に2〜3回」から始めてみましょう。1回のトレーニングで、左右それぞれ10回を1セットとし、2〜3セット行うのが目安です。大切なのは、一度にたくさん行うことよりも、継続すること。

効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には1〜2か月ほど続けると、「姿勢が良くなった」「体の軸が安定してきた」といった変化を感じられる方が多いようです。焦らず、ご自身のペースで続けていきましょう。

トレーニング効果を高める生活習慣

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1. 食事のポイント(タンパク質など)

トレーニングで使われた筋肉が修復され、より強くなるためには、栄養が不可欠です。特に、筋肉の材料となる「タンパク質」を意識して摂取しましょう。

肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)に豊富に含まれています。毎食、手のひら1枚分くらいの量のタンパク質を摂ることを心がけてみてください。例えば、朝食にヨーグルトと卵、昼食に焼き魚、夕食に豆腐の味噌汁といった具合です。一度にたくさん食べるのではなく、3食に分けてこまめに摂るのが効果的です。

2. 休息と回復の重要性

筋肉は、トレーニングで傷つき、その後の休息中に修復される過程で成長します。これを「超回復」と呼びます。トレーニングをがんばった後は、筋肉をしっかりと休ませてあげることが、効果を高める上で非常に重要です。

毎日同じ部位を鍛えるのではなく、トレーニングをしたら1〜2日は休息日を設けましょう。また、質の良い睡眠も筋肉の回復を助けます。寝る前にスマートフォンを見るのを控えたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、リラックスできる音楽を聴いたりして、心身ともに休まる時間を作りましょう。

3. 日常生活で意識するべきこと

トレーニングの時間以外でも、少し意識を変えるだけで効果は大きく変わります。

  • 座っている時: 椅子に深く腰掛け、坐骨(お尻の下にある硬い骨)で座面をとらえるようにして骨盤を立て、背筋を伸ばすことを意識しましょう。お腹に軽く力を入れておくと、自然と体幹が使われます。
  • 立っている時: 頭のてっぺんから糸で吊るされているようなイメージで、すっと立つことを心がけます。顎を軽く引き、肩の力を抜きましょう。
  • 歩いている時: 少し大股で、かかとから着地し、お腹を引き締めて歩くと、体幹を使った美しい歩き方になります。腕を軽く振ると、さらに効果的です。

日常生活のふとした瞬間に「体幹」を意識することが、トレーニング効果を持続させ、美しい姿勢を保つ秘訣です。
 


よくある質問(FAQ

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Q1: バードドッグは具体的にどんな効果があるのですか?

A: バードドッグは、体の中心部である「体幹」を安定させる効果が非常に高いトレーニングです。具体的には、背筋が伸びて姿勢が美しくなる、腰への負担が減り腰痛が予防・改善される、お腹周りが引き締まる、バランス感覚が向上し転倒しにくくなる、といったメリットが期待できます。地味な動きに見えますが、健康で若々しい体を維持するための土台を作ってくれる、とても重要な運動なのです。

Q2: 効果はどのくらいで実感できますか?

A: 効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には週に2〜3回のペースで1〜2か月ほど続けると、多くの方が「姿勢が良くなった」「体の軸がしっかりしてきた」「階段の上り下りが楽になった」といった変化を感じ始めます。

大切なのは焦らず、ご自身の体の声を聞きながら継続することです。昨日より今日、少しでも楽にできるようになったら、それが成長の証です。

Q3: どのくらいの頻度や時間行えば良いですか?

A: まずは週に2〜3回から始めてみましょう。1回のトレーニングでは、左右それぞれ10回ずつを1セットとして、体調を見ながら2〜3セット行うのが目安です。時間にすると5〜10分程度です。無理のない範囲で、生活の中に組み込んでみてください。

「朝起きて着替える前」や「夜、テレビを見ながら」など、時間を決めると習慣にしやすくなりますよ。

Q4: 年齢や体力に自信がないのですが、安全にできますか?

A: はい、バードドッグは動きがゆっくりで、体への負荷も調整しやすいため、体力に自信がない方でも安全に始めやすいトレーニングです。最初は手か足のどちらかだけを、床から少し浮かせることから始めてみましょう。

それでも不安な場合は、壁に手をついて立ったまま、片脚を後ろに引く動作から始めるなど、体を支えながら行うとさらに安全です。決して無理をせず、「気持ちいい」と感じる範囲で行うことが大切です。

Q5: 腰痛や膝痛があるのですが、行っても大丈夫ですか?

A: 慢性的な腰痛で、医師から運動をすすめられているような場合には、体幹を強化することで改善が期待できる場合があります。しかし、ぎっくり腰のような急な痛みがある場合や、動かすと痛みが強くなる場合は、症状を悪化させる可能性があるため運動は避けるべきです。

膝に痛みがある方は、四つ這いの際、膝の下に厚手のタオルやクッションを敷くと負担を和らげることができます。いずれの場合も、自己判断せず、まずはかかりつけの医師や理学療法士に相談し、許可を得てから行うようにしてください。

Q6: トレーニング中に痛みを感じたらどうすればいいですか?

A: トレーニング中に鋭い痛みや「ピキッ」というような違和感を感じた場合は、すぐに運動を中止してください。筋肉が疲れてくることによる「だるさ」や「疲労感」と、関節や筋を痛めている「痛み」は異なります。

無理して続けると、怪我につながる可能性があります。数日経っても痛みが続くようであれば、整形外科など専門医の診察を受けることをおすすめします。

Q7: 自宅でのトレーニングと、ジムでのトレーニングはどちらが良いですか?

A: バードドッグは、基本的には自宅でご自身の体重だけでも十分効果が得られる、非常にコストパフォーマンスの良いトレーニングです。まずは自宅で正しいフォームを身につけることを目指しましょう。

もし、より高い効果を求めたい、他のトレーニングも組み合わせてみたい、専門家のアドバイスを受けながら進めたいという場合は、ジムでパーソナルトレーナーの指導を受けるのが良いでしょう。ご自身の目的やライフスタイル、お財布と相談しながら選んでみてください。

Q8: ぽっこりお腹に特に効果的なやり方はありますか?

A: ぽっこりお腹の解消には、バードドッグの動作中に、常におへそを背骨に引き寄せるように意識し、お腹を薄く保つことが非常に効果的です。これは「ドローイン」というテクニックで、お腹の最も深層にある腹横筋という筋肉を刺激します。この筋肉は天然のコルセットとも言われ、鍛えることで内側からお腹を引き締めてくれます。息を吐くタイミングで、お腹をへこませる意識をプラスしてみてください。

Q9: トレーニング効果を高める食事について教えてください。

A: 筋肉を作るためには、材料となるタンパク質が欠かせません。トレーニング後30分〜1時間以内に、牛乳やヨーグルト、豆乳、ゆで卵など、手軽に摂れるタンパク質を補給すると、筋肉の回復が促され効果的です。

また、日々の食事でも、肉、魚、大豆製品などをバランス良く取り入れ、特定の食品に偏らないようにすることが大切です。例えば、鮭にはタンパク質に加え、筋肉の炎症を抑える効果が期待できるオメガ3脂肪酸も含まれており、おすすめです。

Q10: なかなかモチベーションが続きません。

A: 一人で続けていると、つい億劫になってしまう日もありますよね。そんな時は、完璧を目指さなくても大丈夫。「今日は左右5回ずつだけ」とハードルを下げてみましょう。また、カレンダーにシールを貼るなど、がんばりを可視化するのもおすすめです。

あるいは、ご友人やご家族に「一緒にやらない?」と声をかけてみるのも良いかもしれません。「週末に一緒に5分だけやろう」と約束するだけでも、良いきっかけになりますよ。

Q11: 他の人と比べてしまい、自分の成長が感じられません。

A: 大切なのはご自身のペースです。骨格や体力、生活習慣は一人一人違います。比べるべき相手は、過去の自分自身です。「1か月前より、少しだけ体が安定するようになった」「先週は3秒しかキープできなかったけど、今週は5秒できた」という小さな変化を見つけて、ご自身をたくさん褒めてあげてください。

Q12: プロテインなどのサプリメントは摂った方が良いですか?

A: 基本的には、毎日の食事からバランス良く栄養を摂ることが最も重要です。もし、小食でたくさんは食べられない、食事だけではタンパク質が不足しがち、といった場合には、サプリメントの利用も一つの選択肢です。

ただし、サプリメントはあくまで食事の補助です。利用する際は、ご自身の体質や目的に合ったもの(例えば、女性向けのソイプロテインなど)を選び、過剰摂取にならないように注意しましょう。

Q13: 毎日トレーニングした方が効果がありますか?

A: 筋肉は、トレーニングによって受けたダメージを修復する過程で成長します。そのため、毎日同じ部位を鍛えるよりも、1〜2日の休息日を設けた方が、かえって効果的です。この休息期間を「超回復」と呼びます。焦って毎日行うよりも、「月・水・金」のように曜日を決めて行うなど、メリハリをつけることが、結果的に成長への近道になります。

Q14: ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせる場合、どちらを先にやるべきですか?

A: 筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせることは、脂肪燃焼や心肺機能の向上にとても効果的です。一般的には、先に筋トレ(バードドッグなど)を行い、その後にウォーキングなどの有酸素運動を行うのがおすすめです。筋トレによって成長ホルモンの分泌が促され、その後の有酸素運動での脂肪燃焼効果が高まると言われています。

Q15: 日常生活の中で、バードドッグの効果を高める工夫はありますか?

A: はい、たくさんあります。例えば、スーパーで少し離れた場所にある商品を取る際に、つま先立ちで手を伸ばすのではなく、お腹に力を入れて体の軸を保ちながら手を伸ばすように意識するだけでも、体幹を使う練習になります。また、掃除機をかける際に、腰を曲げるのではなく、股関節から体を倒すように意識すると、腰への負担が減り、体幹を安定させる筋肉が使われます。

Q16: このトレーニングを続けると、将来的にはどんな良いことがありますか?

A: バードドッグを続けることで得られるのは、目先の体の変化だけではありません。体幹が安定し、自分の体をコントロールできるという自信は、何歳になっても新しいことに挑戦する意欲や、人生を前向きに楽しむ心の余裕につながります。将来、介護の必要なく、自分の足で好きな場所へ旅行に出かけ、生き生きとした毎日を送るための、素晴らしい「貯筋」になるのです。

まとめ

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大切なポイント

  • バードドッグは、体の中心「体幹」を鍛え、美しい姿勢と健康の土台を作る、私たち世代に最適なトレーニングです。
  • 正しいフォームを身につけ、無理のない範囲で継続することが、安全で効果的なトレーニングの鍵です。
  • 筋肉の材料となるタンパク質を意識した食事と、十分な休息が、トレーニング効果を最大限に引き出します。
  • 一人で悩まず、痛みや不安がある場合は、かかりつけ医や専門家に相談することが大切です。

私たちの体は、愛情をもって手をかければ、必ず応えてくれます。バードドッグで体の幹を一日一日、少しずつ育てていきましょう。そして、これからも自信を持って、軽やかに、人生という舞台を颯爽と歩んでいきましょう。この記事が、その輝かしい第一歩を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。

身体活動・運動について詳しく知る(厚生労働省)

 

監修者プロフィール:菊池大和 先生


きくち総合診療クリニック(神奈川県綾瀬市)院長。医療法人ONE理事長。日本慢性期医療協会総合診療認定医。日本医師会認定健康スポーツ医。認知症サポート医。身体障害者福祉法指定医(呼吸器)。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」を理念に診療にあたる。著書に『「総合診療かかりつけ医」が患者を救う』(2021年)、『「総合診療かかりつけ医」がこれからの日本の医療に必要だと私は考えます。』(2024年)

HALMEK up編集部
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