痛みと不調の元凶⁉

猫背、肩こり、腰痛…「背骨のゆがみ」は自分で正す!

猫背、肩こり、腰痛…「背骨のゆがみ」は自分で正す!

更新日:2025年10月23日

公開日:2025年09月18日

猫背、肩こり、腰痛…痛みと不調の元凶「背骨のゆがみ」は自分で正す!

私たちが動くために欠かせない背骨は、年齢を重ねるにつれ柔軟性が低下し、ゆがみやすい構造になっています。何げないクセが“背骨ゆがみ”のもとに。そこで、生活の中でゆがみを改善し、背骨を守る方法を3回に分けて紹介します。

教えてくれた人:山口正貴(やまぐち・まさたか)さん

教えてくれた人:山口正貴(やまぐち・まさたか)さん

東京大学医学部附属病院リハビリテーション部理学療法士
1980(昭和55)年生まれ。東京理科大学理学部在学中にぎっくり腰になり、リハビリテーションに関心を持つ。2005年理学療法士免許を取得し、現職。腰痛の研究も行い、2016年日本理学療法士学会の第8回優秀論文優秀賞を受賞。著書に『背骨の医学』『姿勢の本』(ともにさくら舎刊)など。

背骨のゆがみがあらゆる不調を招きます

私たちの体は、大小さまざまな形をした約200個の骨で形成されています。その根幹となっているのが背骨です。

「背骨は体を支え、手足の動きの軸になっているだけではなく、神経や内臓を守っています。背骨がゆがんで姿勢が悪くなると、肩や首のこり、ひざや腰、股関節の痛み、頭痛、呼吸機能の低下、逆流性食道炎、便秘など、さまざまな不調が生じます。背骨のゆがみは、万病のもとと言っても過言ではないのです」

姿勢と背骨に詳しい、東京大学医学部附属病院リハビリテーション部理学療法士の山口正貴さんはそう解説します。

背骨のゆがみがあらゆる不調を招きます

背骨の大切な役割とは?

  • 体を支え、姿勢を真っすぐに保つ
  • 座る、立つなど動きの軸になる
  • 脳からつながる神経を保護する
  • ろっ骨とともに内臓を守る

背骨のゆがみが招く不調は?

  • 猫背など姿勢の悪化
  • 肩や首のこり
  • 顔やお腹のたるみ
  • ひざや腰など関節の痛み

背骨は、ゆるやかなS字カーブを描き、体を支えています。「背骨は放っておくと、加齢とともに硬くなる関節で、顔やお腹のたるみ、肩やひざなどの痛みも背骨のゆがみと関係しています」(山口さん)

老化しやすい背骨。何気なくしがちな動作もゆがみの原因に

背骨がゆがむ最大の要因は、加齢です。年齢を重ねると、背中の骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が劣化して背骨が動かしにくくなって猫背になります。

「背骨は特に老化が進みやすい場所です。年を取ると、体の中で慢性的に炎症が起こっているような状態になり、背骨を支える筋肉量も減少します。そうなると、さらに背骨がゆがみ、いつの間にか背骨の一部がつぶれる圧迫骨折や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などが生じやすくなり、見た目も衰えて見えます」と山口さん。

実は背骨のゆがみにつながるNG動作

  • 立ったまま靴下をはく
  • しゃがんで草むしりをする
  • 背中を曲げてくしゃみをする

首や肩、腰の痛みは背骨がゆがんでいる証拠

背骨のゆがみは、自分でも気付かないうちに進行します。

「一見、姿勢がいいように見える人でも、首や肩、腰、ひざなどに痛みがある場合は、背骨に負担がかかり、24個ある背骨のどこかがゆがんでいる証拠です。また、荷物をいつも片方の側にかけている、座っているときにいつも同じ脚を組むという人も、背骨がゆがんでいる可能性があります」と山口さんは指摘します。

 

首や肩、腰の痛みは背骨がゆがんでいる証拠

首や肩、腰の痛みは背骨がゆがんでいる証拠

いい姿勢は背骨にかかる負担が少なく筋力が強化できる半面、筋肉への疲労がたまります。一方、楽な姿勢は筋肉への負担が少ない半面、背骨の骨同士をつなぐじん帯などへの負担が大きいのがデメリット。「いい姿勢も楽な姿勢も続け過ぎると痛みやゆがみの原因に。同一姿勢を避けることが肝心です」

普段何げなくやっている動作やクセが、背骨のゆがみを助長しているかもしれません。まずは、下にある2つの「背骨ゆがみレベルセルフチェック」で、自分の背骨のゆがみがどの程度なのかチェックしてみましょう。

チェックの結果、すでに背骨がゆがんでいても、がっかりすることはありません。

「加齢や体のクセによる背骨のゆがみは、背骨を守るストレッチや筋トレで改善できます。背骨を守る習慣を身に付け、年齢を重ねても、痛みや不調のない生活を目指しましょう」と山口さんは強調します。

「背骨のゆがみレベル」をセルフチェック!

背骨に負担がかからない理想的な姿勢は、脊柱が自然なS字カーブを描いた状態です。まずは、あごを引いて壁に背をつけて立ち、“背骨ゆがみレベル”を確認しましょう。

さらに、背骨の一つ一つが正しく動き、柔軟性が保たれているかも重要です。それは両足を軽く開いて立っておじぎをし、背中のカーブを誰かに見てもらうか、写真を撮ってもらうとチェックできます。

「自分のゆがみに気付くことが、背骨を守る第一歩になります」と山口さん。

理想的な姿勢

「背骨のゆがみレベル」をセルフチェック!

腰と壁のすき間が手のひら1枚分。バンザイしても同様ならより理想的。

チェック1:背中を壁につけたとき、腰と壁のすき間はどのくらい?

チェック1:背中を壁につけたとき、腰と壁のすき間はどのくらい?

ゆがみレベル…1
あごを引いて立ったとき、努力すれば壁に頭がつく。初期の猫背。

ゆがみレベル…2
腰のすき間が手のひらより厚いのは反り腰。より背中の丸みが進んだ猫背。

ゆがみレベル…3
後頭部が壁につかず、腰と壁の間に手が入らない。猫背が進んだ平たい腰。

チェック2:おじぎをしたとき、背中のカーブはどうなっている?

チェック2:おじぎをしたとき、背中のカーブはどうなっている?

物干しざおのように平らな場合は……
一部分でも、物干しざおのように平らになっていたら、背骨を一つ一つ動かせておらず、柔軟性が低い証拠です。

釣りざおのように丸い場合は……
頭からお尻まで釣りざおのように弧を描いていれば、頸椎から腰椎まで24個ある背骨を一つ一つ動かせています。

次回は姿勢の偏りを改善する、「ながらリセット体操」 を紹介します。

取材・文=福島安紀、イラストレーション=堀川直子、構成=新井理紗(ハルメク編集部)

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年2月号を再編集しています

HALMEK up編集部
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