病気・不調のポジティブな向き合い方
【体験談】50代女性が緑内障を受け入れ、豊かな人生を歩むまで
【体験談】50代女性が緑内障を受け入れ、豊かな人生を歩むまで
更新日:2025年09月25日
公開日:2025年08月29日
ものもらいから緑内障が発覚! 思いもよらぬ診断
私が緑内障かも、と指摘されたのは、50歳の秋のことでした。
夏バテによる免疫力の低下から、ものもらいができてしまいました。「ほおっておけばすぐ治るだろう」と軽視していたものの、なかなか改善せずにいました。
そんなある日、コンタクトレンズの処方を受けるために眼科を訪問した際、その医師にものもらいについて相談すると、診察をしてくれたのです。…が、そこで医師に言われたのは、ものもらいの対処法ではなく「緑内障の可能性があります。再度、検査をしましょう」という一言。
緑内障?何その病気……?
未知の病名を言われ、一気に私の心に不安が広がります。病気の詳細を知らない私は、心に疑問を抱えたまま帰路につきました。
緑内障とは? 知っておくべき基本情報
帰り道、スマホで「緑内障」を検索しました。その瞬間「失明」という言葉が目に飛び込んできて、心臓が飛び出るほどショックを受けました。
近視で視力が低いけれど、目は見えているし何の変化も感じていないのに……?
調べてみたところ、緑内障は中途失明の原因として最も多い目の病気で、40歳以上の成人の中で多く見られるそう。
◆緑内障の特徴
- 視神経に障害が生じ、視野の欠損が早期に進行する
- 日本人の約70%は、眼圧が正常なタイプの緑内障
- 症状の進行が遅いため自覚しづらい
「失明」の言葉が脳内をリフレインして涙が出そうになります。
緑内障は早期発見、治療が大事。めそめそしているヒマはありません。すぐに適切な対策が必要なため、診察できる病院を探し始めました。
緑内障の治療を開始!専門医を探す際のポイント
ネットで緑内障専門医のいる病院を情報収集し、通いやすい立地の中で口コミで評判の良い眼科を選び、専門医の診察日に予約を取りました。予約の電話で病状を伝え、診察日には視野検査や眼圧検査も受けることに。
視力検査、眼圧検査、視野検査……と検査を重ねた結果、医師からは軽度の緑内障と診断されました。ああ、やっぱりそうなのか。何が原因だったんだろう、今からでも何かすれば改善の余地はあるのだろうか?思わずたくさん質問をしてしまいましたが、医師からは下記の答えが返ってきました。
- 遺伝と体質的要因が関与する可能性はあるが、生活習慣はそこまで影響しない
- コンタクトレンズから眼鏡に変えても、病状の改善には繋がらない
- 大切なのは、適切な治療をしてこれ以上の悪化を防ぐこと
そして治療法は眼圧を下げる目薬を1日1回点眼する、というものでした。
診察代は私の場合、普通の定期健診は2000円程度。視野検査などをする場合は5000円くらいかかりました。視野検査を行う日は時間がかかるし、集中力が必要なので、スケジュールを見て設定しています。
緑内障の点眼治療、まつ毛が伸びるってホント?
医師は点眼薬の3つの選択肢を説明してくれました。
- まつ毛が長くなり、目の周りに副作用が出やすい
- 副作用が少なく、使いやすいが軽い乾燥感がある
- 効果が高いが、点眼時に痛みを感じることがある
まつ毛が長くなる?それはちょっと魅力的です。でも、クマができるのは避けたい……。それに毎日点眼するのに痛いなんて苦痛過ぎる!ということで、医師のススメもあり、まだ病状が軽度の私は、副作用が少ない2番目の選択肢、βブロッカー(β遮断薬)を選択しました。
その後、薬局で処方箋を出すと、薬剤師から「ステロイド治療を受けていると失明の可能性がある」と言われ、びっくり。すぐに薬剤師に病院に確認の連絡をしてもらい、問題なしと医師に確認して薬を受け取りました。
何がどう作用するかわからないため、普段からお薬手帳を持ち歩いたり、自身のアレルギーの情報を把握する重要性を実感。私はスマホにお薬手帳アプリを入れ、そこに情報をまとめるようにしています。
数か月後の診察時に相談したところ、ジェネリックの目薬でも問題ないと言われ、ジェネリックの目薬に変更し薬代をコストダウン。とはいえ月に1本で1500円ほどのコストがかかりますが、目の健康のためには必要経費と考えています。
不安な気持ちの解消法&点眼治療を習慣化するコツ
点眼治療の指導で言われたのは「適量を毎日使うこと」が大切だということ。
毎朝、コンタクトレンズを付ける前に点眼するルールにする、コンタクトレンズとセットでベッド脇に置く、など、習慣化して忘れないようにしています。
また、眼鏡の日で途中で気付いたり、旅行などに持っていき忘れることもあったので、常に持ち歩くポーチに予備を入れるようにしています。
たまに忘れてしまうのですが、定期健診時に「毎日忘れず点眼を。緑内障の治療法としては眼圧を上げないようにすることが大切ですよ」と医師には口酸っぱく注意されるので、これだけは!と思っています。
「もっと早寝早起きしたら、この眼、治りますかねえ?」
「健康的にはいいかもしれませんが、緑内障の改善効果は見込めません」
「じゃあ、ブルーベリーを食べたらどうですか?」
病院に行くたび、こんな会話を繰り返しても、冷静に答えてくれる医師は、カウンセラーの役割も担っているのかもしれません(笑)
緑内障の発覚から3年、不安を乗り越えて
最初はショックで、失明の恐怖におびえていた私ですが、いい担当医と出会い、不安や疑問を一つ一つ解消していくことで、だんだん悩むのが馬鹿らしいとポジティブ思考に変わっていきました。
緑内障は完治しない、うまく付き合っていく病気。この事実は変わりません。
だったら、もし失明しても後悔しないよう、今のうちに美しい景色、読みたい本、観たい映画、素敵な人たち、たくさんのものを「見よう」そう意識するようになりました。そうすると、なんだか毎日が新鮮で感動深くなっていくんです。
さらに、これは突っ走りすぎかもしれませんが、もし目が見えなくなっても楽しいものをつくっておきたいな。と、音楽もより楽しむようになりました。
今は、年末に第九を合唱するサークルに参加したり、大好きなチェロの演奏会に出かけたり。緑内障になってから、「いつか」「落ち着いたら」という気持ちがなくなり、積極的に「自分を楽しませる」「後悔しないで生きる」癖がついたような気がします。
この年になると、何かしら体にガタがくるもの。頼りになる医師と正しい知識、そしてちょっと楽観的なくらいの心の持ち方で、乗り越えていきたいものです。
※本記事は筆者の個人的体験に基づくもので、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。症状や治療は個人差があります。診断・治療・費用については、必ず医師・医療機関にご相談ください。




