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- 50代からは注意!「白内障」と「加齢性黄斑変性」
50代以降が特に気を付けたい目の病気と予防法を紹介する特集2回目は、「白内障」と「加齢性黄斑変性」について。いずれも進行すると日常生活に支障をきたす厄介な病気です。日頃の予防や早期発見を心掛け、目の健康を保ちましょう。
教えてくれた人:清水公也(しみず・きみや)さん
1976年、北里大学医学部卒業。武蔵野赤十字病院眼科部長、北里大学医学部眼科学教室主任教授を経て、現在は山王病院アイセンター・センター長、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授。著書に『1回1分~ 自宅でできる 目の検査BOOK 見るだけで目の病気が見つかる本』(文響社刊)がある。
原因の9割以上が加齢!「白内障」とは
白内障(はくないしょう)は、水晶体のにごりが原因で、目に入った光が拡散して網膜に正しく像が結べなくなる病気。視界がぼやける、物が二重に見えるなどの症状が出ます。
「白内障全体の9割以上が、加齢で起こる老人性白内障で、水晶体内のたんぱく質が加齢により変性し、にごることが原因とされています。他に、糖尿病やアトピー性皮膚炎の合併症で白内障が起こるケースもあります」と話すのは、山王病院アイセンター、センター長の清水公也さん。
白内障は緑内障と同様、症状がゆっくりと進むため、自覚症状が出にくいそう。「重症化すると手術による治療もリスクが増します。『年だから仕方ない』と思わず、定期的なセルフチェックや検診を」(清水さん)
高齢になるほど発症率が高くなる
白内障は、高齢になるほど発症率が上がることがわかっています。症状の出方は個人差がありますが、80代以上ではほぼ全員の方に水晶体のにごりが生じるといわれています。
「白内障」危険度チェック
□視界がぼやける
□物が二重、三重に見える
□明るいところで異常にまぶしく感じる
□薄暗いところで異常に見えにくい
□老眼が治ったような気がする
□目が白くなってきた
1つでもチェックがついた人は白内障の可能性が!
白内障の治療について知っておきたいこと
軽症なら点眼で進行を遅らせる治療が基本。水晶体のにごりが進んでいれば人工レンズに取り換える手術の選択肢も。人工レンズは水晶体のようなピント調節が難しく、生活スタイルに合った焦点距離のものを選ぶのが大切。
失明のリスクが高くなる「加齢黄斑変性」とは
眼球の奥にある網膜には、光や色を感じる視細胞が集まっています。その中心部にある黄斑部は、色を識別したり、物の細部を見分けるなど、視力を司る働きをする部位。ここが加齢で異常をきたす病気が「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」です。
「物が歪んで見えたり、中心部が暗く見えたりするのが特徴です。特に、黄斑部の中心にある『中心窩(ちゅうしんか)』と呼ばれる直径0.4mmほどの小さなくぼみには視細胞が集中しているため、ここに変性が及び重症化すると、失明のリスクも高くなります」と清水さんは警鐘を鳴らします。
実際に、失明原因の第4位の病気です。加齢以外に、ストレスや紫外線、遺伝的な要因も危険因子と考えられています。
網膜の「黄斑部」に変性が起きる病気です
加齢黄斑変性には変性の仕組みによって「滲出型(しんしゅつがた)」と「萎縮型」があり、日本人に多いのは「滲出型」です。黄斑部の網膜の下に、本来存在しない「新生血管」が増殖し、そこからの出血などが原因で発症します(上図)
「加齢性黄斑変性」危険度チェック
□物が歪んで見える
□中心が暗くてよく見えない
□物がぼやける
□物が小さく見える
□色が前と違った色に見えることがある
□作業している手元が見えにくい
1つでもチェックがついた人は加齢黄斑変性の可能性が!
加齢性黄斑変性の治療について知っておきたいこと
滲出型の加齢黄斑変性の治療はレーザー照射が主流でしたが、近年は新生血管の成長を抑える物質を眼球に直接注射する「抗VEGF療法」が第一選択肢に。処置は数分で入院の必要もなく、負担の小さい治療法といえます。
次回は他にも気を付けたい目の病気とチェック法を紹介します。
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部)、イラストレーション=落合恵
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年3月号を再編集しています
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