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- 目の病気を予防&悪化させない3つの心得
50代以降が特に気を付けたい目の病気と予防法を紹介する特集です。最終回では、より身近な目の病気とセルフチェック法に加え、目の病気を予防&悪化させない方法を専門医に聞きました。
教えてくれた人:清水公也(しみず・きみや)さん
1976年、北里大学医学部卒業。武蔵野赤十字病院眼科部長、北里大学医学部眼科学教室主任教授を経て、現在は山王病院アイセンター・センター長、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授。著書に『1回1分~ 自宅でできる 目の検査BOOK 見るだけで目の病気が見つかる本』(文響社刊)がある。
まぶたの開閉が困難に「眼瞼下垂」
加齢によってまぶたの筋肉やそれを支える腱膜がたるみ、上まぶたが開きにくくなってしまう症状を「(加齢性)眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。
視野が狭まるだけでなく、頭痛やめまいを引き起こし、日常生活に支障をきたすことも。山王病院アイセンター、センター長の清水公也さんは「たるんだ皮膚を切除したり、伸びた腱膜を縫いとめたり、まぶたを持ち上げる手術を行うのが一般的です」と話します。
最近まぶたが重く感じる、上まぶたが瞳孔にかかってしまうという方は、一度形成外科や眼科に相談しましょう。
「眼瞼下垂」をセルフチェック!
Q.上まぶたはどこにありますか?
眼瞼下垂の症状は瞳孔(黒目)に対する上まぶたの位置で確認できます。瞳孔のすぐ上にまぶたの縁が来る人は軽症。瞳孔の上半分に来る人は中等症。瞳孔が半分以上隠れる人は重症です。
網膜が傷つき、視野に異常が「網膜剥離」
ボクサーに多い印象のある網膜剥離(もうまくはくり)も、実は加齢によって起こりやすくなる病気です。
「眼球内を満たす『硝子体(しょうしたい)』というゲル状の物質が加齢とともに萎縮すると、それに網膜が引っ張られ、穴や裂け目ができます(網膜裂孔-もうまくれっこう-)。そこから眼球内の水分が流れ出ると、網膜が剥がれる網膜剥離が起きます」と清水さん。
一方で網膜裂孔も網膜剥離も、「早期に治療すれば視力も見え方もほぼ回復する」病気だそう。発症のサインを見逃さないことが大事です。
「網膜剥離」をセルフチェック!
Q.視界にこんな異常がありませんか?
硝子体や網膜の異常で起きる代表的な症状が、ゴミや虫のような影が見える「飛蚊症(ひぶんしょう)」です。「点滅する光が見える」「幕が下りたように視野が欠ける」といった症状にも注意!
放っておくと頭痛や肩こりの原因に!「老眼」
40歳を過ぎると、多くの方が自覚し始める「老眼」。年齢とともに水晶体が硬くなるなど、ピントの調整機能が衰えることで起こります。
「『年寄りっぽくて嫌だから』と、老眼鏡をかけず、手元にピントが合いにくいまま過ごしていませんか? 眼精疲労からくる肩こりや頭痛に悩まされる原因にもなります」と清水さんは指摘します。
まずは下の方法で進行度合いを確認。既製品の簡単な老眼鏡で済ませず、眼科に相談して正しく視力矯正をしましょう。
「老眼」をセルフチェック!
Q.人さし指の指紋がくっきり見える位置は?
●約30cm=目安年齢40歳〜45歳
●約40cm=目安年齢46歳〜50歳
●約60cm=目安年齢51歳〜55歳
●約80cm=目安年齢56歳〜60歳
●80cm以上=目安年齢61歳以上
角膜を傷つける原因「ドライアイ」
目が乾いた感じがする、ゴロゴロするという方は、ドライアイの可能性があります。
「これは涙の分泌量や質が低下することで目の表面が乾燥してしまう、れっきとした病気です。涙の量が十分でも、まつ毛の生え際にある『マイボーム腺』が詰まり、眼球を覆う油分が減ることでも起きます。症状が長引くと、角膜が傷ついたり、角膜に血管が伸びて白濁し、視覚障害を引き起こす恐れも」(清水さん)
目が赤くなりやすい、疲れやすい方も要注意です。
「ドライアイ」をセルフチェック!
Q.10秒間、目を開けていられますか?
目を開けたまま、10秒数えてみましょう(目は見開かず、いつも通りの開き方で)。瞬きが我慢できない人は、ドライアイの可能性が。
ドライアイは生活習慣の工夫で予防できる病気です
パソコン作業などに集中すると、瞬きが減り目が乾きやすくなります。適度に目を休め、作業の前後で点眼するのがおすすめです。市販の目薬なら、ドライアイ用で防腐剤不使用のものを。
またマイボーム腺の詰まりには目のまわりを温めたり、やさしくマッサージするのが効果的です。
目の病気を予防&悪化させない3つの心得
心得1:目薬は正しく差す
目薬を差すときは手指をきれいに洗い、目の粘膜に触れないように注意しながら下まぶたを引いて点眼します。量は1滴で十分です。点眼後は目をパチパチ開閉せず、軽く閉じたまま数分間待つと、点眼液が行き渡ります。
心得2:近親者が目の病気にかかったら自分も意識する
「目の病気には、緑内障や加齢黄斑変性など、遺伝的な要因が指摘されているものも少なくない」と清水さん。家族に罹患者がいる場合は、「自分もなる可能性が高い」と考えて、今回解説した各症状がないか特に注意を払いましょう。
心得3:かかりつけの眼科を持ち年1回は検診を受ける
「目の病気の早期発見・早期治療には、異常があったらすぐに相談できるかかりつけの眼科を持つことが大事」と清水さんは言います。自覚症状が出たときには症状が進んでいることもあるため、異常がなくても1年に1回は検診を受けましょう。
3回に分けて紹介した「怖い目の病気」。「人は、情報の8割を視覚から得ている」といわれるように、目の健康は将来の生活の質を大きく左右します。気になる症状がある人は早めの対策を!
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部)、イラストレーション=落合恵
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年3月号を再編集しています
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