脳に「よい油」と正しい食事法で病気リスクを低減

【実践編】脳によい油を摂る「脳の健康」食事法!簡単4つのポイント

【実践編】脳によい油を摂る「脳の健康」食事法!簡単4つのポイント

更新日:2025年09月04日

公開日:2025年08月14日

【実践編】脳によい油を摂る「脳の健康」食事法!簡単4つのポイント

オリーブオイルなど脳に「よい油」も、摂り方を間違えれば逆効果! 脳の健康をサポートするどころか、太り過ぎてしまう可能性も……。食事の油をよい油に置き換える「脳の健康」食事法について、4つの実践ポイントを解説します。

教えてくれたのは、根本千代子(ねもと・ちよこ)さん

オリーブソムリエ/国際予防医学協会認定アドバイザー。広告代理店に勤務後、独立。多くの企業とともに、食と油、そして予防医学の知見を融合させたメニュー開発に関わり、そのレシピ数は2000件を超える。最新著に『脳のオイル交換: 油を変えるだけで認知症を防ぐ!』(Gakken刊)

【医学監修者】塚本 浩(つかもと・ひろし)さん

脳神経内科医/けんせいクリニック院長。日本神経学会神経内科専門医・指導医/日本リハビリテーション医学会専門医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医/日本内科学会総合内科専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター。大学病院で脳神経疾患の専門診療に携わりながら、地域のかかりつけ医として、患者に寄り添った診察・治療に務める。

※本記事は、根本さん著・塚本さん監修の書籍『脳のオイル交換: 油を変えるだけで認知症を防ぐ!』より一部抜粋して構成しています。

「脳によい油」はたくさん摂ったほうがいい、は間違い?

「脳によい油」はたくさん摂ったほうがいい、は間違い?
_human / PIXTA

第1回は、日々の食事で摂る油を、脳に悪い油から脳によい油に置き換える「脳のオイル交換」、第2回では、脳を危険にさらす「悪い油」と4つの「よい油」を解説しました。

今回は、実践編として脳のオイル交換を賢く行う4つのポイントを紹介していきます。

近年、オリーブオイルが健康によい油であることを知らない人は少ないと思います。しかし、気になるのは、オリーブオイルならいくら摂ってもいいという印象を与えるような情報が散見されることです。

例えば、「とにかくオリーブオイルをかければいいんでしょ?」とばかりに、アイスクリームにまでかけてしまう人がいたりして……。確かにおいしいです。

でも、これはやり過ぎです。オリーブオイルがとても健康によい油であることは間違いありません。しかし、際限なく摂っていいわけではありません。

どんな油でも1gあたりのカロリーは約9kcalです。摂り過ぎればエネルギーや細胞膜などの材料として使い切ることはできませんし、使い切れなかった油は体脂肪として蓄えられてしまいます。

ポイント1:ただ足すのではなく、控えるべき油と「置き換える」

ポイント1:ただ足すのではなく、控えるべき油と「置き換える」
カリスタ / PIXTA

そこで声を大にして言いたいのは「置き換え」をすることです。ほんの一例ですが、炒め油や揚げ油、ドレッシングなどにサラダ油を使っているのなら、それをオリーブオイルに置き換えるなどです。そうすれば、油の摂取量を増やすことなく、脳によい油の摂取量を増やすことができます。

「じゃあ、コーヒーや味噌汁などに、えごま油やアマニ油、MCTオイルをちょい足しするのはどうなの?」と思う人もいるかもしれませんね。確かに、それは油を足すことになります。

その場合は足した分を、調理で使う油や食品から摂る油の量を減らして、置き換えを行ってください。

例えば、えごま油、アマニ油は1日あたり小さじ1杯摂れば、ひとまず厚生労働省が提示している1日あたりのオメガ3系脂肪酸の摂取目安量は満たすことができます。実は、小さじ1杯くらいの油なら置き換えが簡単にできてしまいます。

唐揚げなら約20g(小1個)、チョコレートなら約10g(2片程度)、ポップコーンなら約10g(ひとつかみ程度)、ポテトチップスも約 10g(5~6枚)、マヨネーズなら小さじ1杯強を減らせばいいだけです。

置き換えがもっとも簡単にできるのは、炒め物や揚げ物などに使う調理用の油です。例えば、これまで使っていたサラダ油やキャノーラ油を、オリーブオイルやココナッツオイルにするだけで簡単に置き換えることができます。

ついつい摂ってない?身近にたくさんある避けたい油!

ついつい摂ってない?身近にたくさんある避けたい油!
Graphs / PIXTA

 ここからは「置き換え」で減らす(控えるべき)油を具体的に解説します。

トランス脂肪酸が含まれた油で、マーガリンやショートニングなど。次に、バター、ラード(豚の脂)、牛脂、鶏肉の脂や皮。そして、リノール酸のサラダ油、キャノーラ油などです。

外食が多い人はラードやバター、サラダ油などを多く使う洋食や中華料理を減らし、それらの使用量が少ない和食を増やすことです。さらに、和食でもDHA・EPAが摂れる魚介類を使ったメニューにすればなおよしです。

一番のおすすめは生魚(刺身)を使ったメニュー。スーパーやコンビニのお惣菜も、揚げ物や肉、加工食品を使ったものを極力避け、魚介類のお惣菜にする。これだけで控えるべき油から脳によい油への置き換えができます。

サラダは、マヨネーズやオイルで和えてあるようなものは避け、ドレッシングは別売りの野菜サラダにして、オリーブオイルと塩・こしょうをかけて食べる。間食はケーキやクッキー、スナック菓子などからナッツ類に変えることをおすすめします。

ポイント2:脳によい油はサプリメントではなく食事から摂る

ポイント2:脳によい油はサプリメントではなく食事から摂る
pearlinheart / PIXTA

巷では、DHA・EPAや中鎖脂肪酸など、脳によい油が摂れるサプリメントが数多く販売されています。しかし、私は脳によい油は食事から摂るべきと考えています。

いくら脳によい油をサプリメントから摂ったとしても、摂取した油の働きを助ける栄養素が不足していては、脳のオイル交換を効率よく進めることはできないからです。

例えば、食品に含まれるビタミンやミネラルは、摂取した油を脳の脂質の材料として使うときの働きを助ける役割を果たします。ビタミンやミネラルが不足した状態のまま脳によい油が届けられたとしても、それをうまく材料として使うことができません。

「じゃあ、ビタミンやミネラルのサプリメントを摂ればいいのでは?」と思うかもしれませんが、サプリメントには、さまざまな添加物が使用されています。ですから、あれもこれもと、たくさん摂取することはおすすめできません。あくまでも、栄養が極端に足りないときの栄養補助食品として活用してください。

ポイント3:「まごわやさしい」で脳のオイル交換を促進

ポイント3:「まごわやさしい」で脳のオイル交換を促進
ゆこみ / PIXTA

脳によい油を摂っても、栄養バランスが崩れているとチカラを十分に活かせません。

そこで取り入れてほしいのが「まごわやさしい」です。

これは「豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いも」の頭文字をつなげて作られた言葉で、これらを1日1回食べることで体が必要とする栄養が摂れるというものです。

脳によい油を摂るだけではなく、「まごわやさしい」の食品を一緒に摂ることが、脳のオイル交換をスムーズに進める秘訣といえるでしょう。

豆類、納豆・豆腐・味噌などの大豆製品
ごま・ナッツなどの種子類
わかめ・こんぶなどの海藻類
野菜類
魚(魚介類)
しいたけ・まいたけなどのきのこ類
いも類

ポイント4 :たんぱく質は過不足なく摂って脳に材料を補充

ポイント4 :たんぱく質は過不足なく摂って脳に材料を補充
gontabunta / PIXTA

脳の6割以上は脂質ですが、残りの約4割はたんぱく質やミネラルなどの成分で占められています。

中でもたんぱく質は、髪の毛、皮膚、骨、筋肉、内臓など、体のあらゆる組織の材料になる栄養素で、脳細胞もたんぱく質を材料として作られています。ですから、不足させてはいけません。

たんぱく質の1日の摂取量の目安は、運動量や年齢、性別によって異なりますが、基本的には体重1kgあたり1g前後です。

動物性食品はたんぱく質を効率的に摂れる食品ですが、肉を選ぶときは赤身の多い肉、脂身を取り除くなどの工夫を。薄い肉の場合、しゃぶしゃぶにして食べると脂の摂取量を減らせます。また、しゃぶしゃぶや、煮込み料理などの場合はアクとともに浮き出た脂はこまめに取り除きましょう。

例外は魚です。魚からは、良質なたんぱく質と脳によい油が一緒に摂れるので、毎日でも食べてほしい動物性食品です。魚のほかに積極的に摂ってほしいのは、納豆や豆腐などの大豆製品に含まれる植物性たんぱく質食品です。

あなたの脳も、間違いなく脂質(あぶら)で出来ています。早すぎる遅すぎるということはありません。今から一緒に「脳のオイル交換」を始めましょう。

※本記事は、書籍『脳のオイル交換: 油を変えるだけで認知症を防ぐ!』より一部抜粋して構成しています。
※効果には個人差があります。試してみて合わない場合はおやめください。

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■「脳を元気にして認知症を防ぐ!脳のオイル交換」をもっと読む■

#1:摂っている油で見直す脳の健康チェック
#2:脳の健康維持のための「悪い油」と4つの「よい油」
#3:脳の健康維持に役立つ油のとり方と食習慣のコツ

もっと詳しく知りたい人は、根本さんの書籍をチェック!

人間の脳は、水分を除けば6割以上が脂質でできています。脳によい油の種類と選び方、効果的な摂り方、簡単においしく作れるレシピまで、「脳のオイル交換」を手軽に実践できる方法を紹介します。

HALMEK up編集部
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